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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
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第76話 私の原点

 1年3組は、確実に良い方向に向かっていた。


最近は、私が何も言わなくても音楽祭の練習を熱心に行っている。


今まで練習に積極的ではなかった男子たちも真剣に取り組み、女子たちも以前にもまして気合が入っている。


休み時間、音楽が苦手な井上美月の練習に手の空いているクラスメートが付き添っている光景は何とも微笑ましかった。


今まで不仲だった生徒も、手を取り合って、どうにか彼女の歌を上達させようとしていた。


私は、その光景を見て過去の私を思い出していた。


子どもが好きで、国語と言う教科が特に好き。


凄く単純だけど、これが私が教員になりたいと思った最初の理由。


私は、中学校の教員免許の他に小学校と高校の国語の免許も持っている。


私は中学生という年代が特に好きだけど、子ども全般が好きだし、免許を1つでも多く持っていた方がキャリアが広がりやすい。


大学の教育学部で、両方の免許を取るカリキュラムはかなり大変だったことを思いだす。


高校の国語の免許を取るには、高度な専門性が求められる。


どんな進学校に配属されようが、生徒に教えることができなければいけないからだ。


けれど、私は元から国語が得意だったから、国語に関してはそこまで苦労はしなかった。


問題は、小学校の方。


国語に加えて、算数、理科、社会、英語、音楽、体育もある程度学ばなければならない。


英語に関しては、国際コミュニケーション英語能力テスト、通称TONICで、600点以上の水準を求められた。


小学校教員も、ある程度はALTの先生とコミュニケーションを取れなければいけないから。


私は英語も算数も、そして音楽も体育も大の苦手だった。


それでも大学の友だちにも協力してもらいつつ、地道な努力を重ね、どうにか小学校で通用する最低レベルのスキルを得ることができた。


そう。私がここまで来れた理由は、周りの人たちの支えが大きい。


もちろん大学でお世話になった先生や親の先生の支えももちろんだけれど、一番大きかったのは同年代の仲間の支え。


同じ年齢の仲間との学習は、特に効果が大きい。


「先生の言っていることは良く分からないけれど、あの友だちのあの言葉なら分かる。」ということは良くあった。


学級経営において大事なこと、それは生徒同士の信頼である。


生徒全員の信頼関係ができあがっているクラスは、教師が介入するまでもなく良い方向に進む。


いじめや人間関係のトラブルが発生することもないし、万が一そのようなことが起これば、生徒が自主的に問題解決を試みる。


「やっぱり教員になって良かった。」、目の前の生徒たちを見ながら私はしみじみと思った。


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