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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
73/139

第73話 2学期メインイベント

 2学期のメインイベントと言えば、何といっても10月に行われる文化祭。


展示、ステージ発表、模擬店、アトラクションなど、様々な内容が企画される。


凛たちのクラスも、他のクラスと同様に出し物の準備を行っていた。


企画・運営は生徒たちの自主性に任せているし、普段授業中寝ている生徒たちも張り切って準備をしてくれているので安心だ。


けれど、1つだけ避けては通れない問題がある。


それは、文化祭の中に音楽会が含まれているということだ。


クラス合唱、クラス合奏で順位を競う恒例のイベント。


凛のクラスでも、毎日その練習を行っている。


女子は熱心に練習を行っているけれど、男子の半分以上は全くと言って良いほどやる気がない。


「男子、ちゃんと練習して。」


女子たちからお約束の文句が出た。


さらに、このイベントは女子たちの間にも新たな分断を分断を生もうとしていた。


「あんた、やる気あんの?リズムもめちゃくちゃだし、歌う声も小さい。私たちのグループの恥よ。私たちは侑李や真美、それに天使エンジェルなんかに負けるわけにはいかないんだから。やる気ないならこのグループから出ていってくんない?」


牛島佐紀が井上美月に対して凄い剣幕で捲くし立てる。


彼女は、未だに侑李や真美、そして天使エンジェルと心の中で張り合っているのだ。


「そうよ。佐紀の言う通り。苦手を改善する努力を少しはしようと思わないの?」


如月真由が佐紀の意見に便乗する。


「そんなこと言ったって...」


美月が今にも消えそうな声で呟く。


「何?私に口答えするわけ?」


佐紀が彼女を睨みつける。


美月は黙って肩を震わせていた。


「まぁまぁ、その辺で。苦手なことなんて、誰にでもあるわけだし、そんなに責めなくても良いじゃない。」


学級委員の水野真理が仲裁に入る。


「真理、何度言わせるの。あんたにだけは言われたくない。小学生の頃から何をやってもクラスで一番で、何の苦労もないあんたにはね。」


佐紀が憎たらしい目で真理を睨みつける。


真理が数秒間沈黙する。


彼女は心の中で呟いた。


「私だって完璧じゃないのに...」


その時、彼女の気持ちを代弁するかのように山田春奈の声が聞こえた。


「そんなことないよ。私たちが知らないだけで、きっと真理さんにもできないことはある。誰にでもできないことはあるし、それを支え合って生きるのが人間なんじゃないかな。私で良ければ練習付き合うよ、美月さん!」


「ありがと。」


美月が小さい声でお礼を言う。


「ちっ。分かったよ。勝手にしな。」


佐紀が吐き捨てるように呟いた。

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