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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
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第68話 変わる風向き

 丸山望が松山由里校長と今泉宗太郎教頭の弱みを握ったことによって、浜森中学校の組織の構図は大きく一変した。


昨日の学年会議でも、「園崎先生のクラスは1学期期末テストの平均点が中間テストの時と比べて61点も上がったそうですね。それどころか、学校始まって以来の問題児の集まりと言われたクラスは今まとまりを見せ始めたといっても良い。何か意識されていることはあるのですか?」と丸山先生から尋ねられた。


因みに、この学年会議には校長と教頭も出席している。


私は堂々と答えた。


「当たり前のことですが、生徒1人1人を良く見ることです。その子の強み、得意なこと、趣味。以前の私は荒れた学級をどうにかしようとすることに必死で、生徒1人1人を良く見れていなかった。けれど、傍から見れば問題行動が多い生徒でも、そのような行動を取る理由が、きっとどこかにあるはずなんです。特に意識していることは対話です。教師側の思いや願いを一方的に押し付けてはならないと思います。このことを意識するようになってから、教え子たちの反応が目に見えて変わりました。とはいえ、私はまだまだ未熟です。生徒たちが安心して生活でき、充実した学校生活を送れるよう、さらに工夫を重ねていきたいと思っています。」


大きな拍手が沸き起こる。


「さすがは園崎先生。若手教員の期待の新星ですね。今後のさらなる活躍を期待しています。」


丸山望は、松山校長と今泉教頭の方を向いて険しい口調で言った。


「このように園崎先生は、若くて未熟な部分もあるけれど、情熱的で優秀な教師です。さらに言えば向上心もある。そんな人材に、あなた方はパワハラやセクハラを行ったんです。教師である前に、人としてありえない。あなた方の弱みは私が握っている。警察に突き出されたくなかったら、今から私の命令に従ってください。」


松山と今泉は黙って頷く。校長、教頭という肩書きはもはや飾りでしかなく、彼らは丸山の操り人形と化していた。


丸山は、2人の前にホッチキス留めされた書類を乱雑に置いた。


2人は恐る恐るそれに視線を向ける。


表題は「2025年浜森中学校エボリューション計画」。


「ご存じのように、この京東県内において、本校は伝統を重んじる中学校として根付いてきました。けれど、現状に甘んじていては進歩がない。この浜森に本校ならではの特色を持たせ、新時代の教育を目指すのです。そこで私は、経験主義的な教育及びICTの積極的導入を理念として掲げたいと思っております。すぐに手配をして頂けますね?」


丸山は校長及び教頭に静かに圧をかけた。

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