第67話 牛島佐紀の独白
私、牛島佐紀。自分で言うのも何だけど、このクラスの中心人物の1人。
宮島桜、如月真由、荻原まどか、横山光里、井上美月、遠藤花実の6人は、友だちというよりかは子分に近い存在だ。
私はこのクラス全員が私の権力にひれ伏すことを夢見てる。
私のことを「自己中心的」とか「支配欲が強い」と評する人間も多いけれど、私は元からこんな性格だったわけではない。
暗くて、何一つ取り柄がなくて、いじめられるためだけに存在する人間。それが私だった。
いじめは小学1年生の時から4年に渡って続いた。
机の上にはありったけの悪口が書かれていた。「死ね」とか「消えろ」とか「ブス」などの言葉である。
叩かれたりけられたりといったことも日常茶飯事だった。
私は性格が少し暗かったくらいで、他のクラスメートに嫌がらせをするようなこともしなかった。
なのに、いじめられる。そんな私を見て誰も助けてくれなかった。クラスのみんなも、先生も、親でさえ...
その時に思ったんだ。
「この世は力がすべて。強いものが弱い者を蝕むいくら理想論を振りかざしたところで最後に勝てなければ意味がない。」
だから、誰よりも強くなろう、そう決めた。
努力に努力を重ねて、小学5年生の時にはスクールカーストの頂点まで上り詰めた。
宮島桜、如月真由、荻原まどか、横山光里、井上美月、遠藤花実を従えるようになり、過去に私をいじめた奴らに復讐をした。
力で他人を押さえつけるのは快感だ。
中学校でもそう。天使や侑李をいじめたことによって、私に恐怖心を抱いた奴らもいたはずだ。
それで良い。
「あいつは怖い人間だ」と認識されればいじめの対象になることもないだろうし、周りの人間が私の指示に従順になるからだ。
「ねぇ、みんな、次のテストは頑張るわよ。全員450目指そう。あんな女に舐められてたまるもんですか。」
「あんな女」というのはもちろん天使のことである。
「佐紀の言う通りだよ。あんなブスに負けるとかありえないから。」と真由。
「あんな貧相な女より佐紀の方が何もかも上よ。この前私に嵌められたのを知った時の顔ったらざまぁねぇわ。」とまどか。
私たち7人の間で爆笑が起きる。このグループは、私のもの。私の方針に逆らう者など、誰もいない。
けれど、本当にこれで良いのだろうか。
私の中に1つの疑問が浮かび上がる。
真由もまどかはともかく、他の連中は恐怖心から私に従っているだけで、心の底では私のことを嫌っているかもしれないのだ。
「本当にこれで良いんだろうか...」、私は心の中で静かに呟いた。