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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
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第63話 爽やかな新学期

新学期は、クラスの親交を深めるレクリエーションから始める。


朝の会で、どこでもゲームを行うことにした。


どこでもゲームとは、いつ」「誰が」「どこで」「何をした」の4つの要素を組み合わせて、面白い文章や物語を作るゲームのことであり、5W1Hゲームとも呼ばれるものである。


生徒たちは、珍しく積極的にゲームに参加する姿勢を示した。


「園崎先生が、お母さんと、熱海で、宇宙人を、食べた。」


「みかんが、醤油と、香港で、タイムマシンを、捏造した。」


様々な意味の分からない文章が作られ、クラス中からどっと笑いが起こる。


このゲームの特徴の1つとして、個々の能力による差異が関係しないことが挙げられる。


フルーツバスケットやしっぽ取りゲームのようなゲームは運動神経が影響するし、マジカルバナナもリズム感がない生徒にとっては辛いかもしれない。


能力差が関係しない種類のゲームは、平等性を担保することができるのだ。


そして、次に夏休み中の過ごし方について近くの人と話し合わせた。


クラスの全員の前で発表させるようなことは敢えてしない。


人前で話すのが苦手な生徒もいるかもしれないし、まだ個々の生徒がこのクラスに打ち解けられていないと感じたからだ。


クラスメート全体の固い絆とでも言うべきネットワークを構築してから徐々に人前での発表を増やした方が、生徒たちが心地よく過ごせるようになると感じたからだ。


その代わり、話し合っている生徒たちの様子を見て回る。


「俺はゲームしかしてなかったわ。」


「私は毎日友だちと遊んでたよ。」


「家族で北海道に旅行に行った。」


休み中の生徒たちの様子を聞きがてら、人間関係にも目を配る。


「この子は普段の授業では寝てばかりだけど、休み中は意外とアクティブに活動してるんだ」とか、「ここのグループはとても仲が良いけど、あの児童は話に参加できていなくて寂しそう」だとか、重要な情報を得ることができる。


個々の児童の性格、普段の生活、人間関係、あるいは家庭環境を知ることは非常に大切なことだ。


生徒から相談を受けた際や、生徒間のトラブルを指導する際に、スムーズに事を運ぶことができるようになるからだ。


今日、3組の教え子たちは、誰一人取り残されることなく、楽しそうに休み中の出来事を語っていた。


これは凛にとっても予想外だった。本校始まって以来の問題児と言われたこことが嘘みたい。率直に言うとかなりの手応えを感じた。


「2学期はきっと良い時間になる。私も、教え子たちと共に成長しよう!」


心の中で意気込む凛。教室には爽やかな風が吹き込んでいた。

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