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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
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第56話 無能な実習生には死を

教育実習、それは教員免許取得を目指す学生が、大学で学んだ理論や知識を実際の学校現場で実践的に体験する授業のことである。


校長の松山と教頭の今泉は不敵な笑みを浮かべていた。


「教頭先生、今度の実習生原田幸喜は、忘れ物が多い、コミュニケーション能力も欠如している極めて無能な実習生です。」


「と言いますと?」


「彼に教員としての価値はない。今のうちに潰しておきましょう。」


「相変わらず恐ろしい方ですな、松山校長...」


今泉が感心して嫌らしく微笑む。


「彼には園崎先生がいり1年3組に入ってもらいましょう。使えない人材は、この世界に入る前に消しておいた方が良い。徐々に精神的プレッシャーをかけ、自殺に追い込むのです。そして、彼が他界したらすべて園崎先生の責任にしてしまいましょう。他人を傷つけることに対して罪悪感を持ってしまう彼女の性格を利用するのです。」


「なるほど、素晴らしいアイディアですね。不良品の実習生には、不良品のクラスか...」


「私が実習生を受け持つ!?」、松山校長からその旨を告げられた凛は驚きを隠せなかった。


「もう決定したことです。私の判断で、彼にはこのクラスを担当してもらうのが一番だと判断しました。頼みましたよ。」


「承知いたしました。」、凛は深々と頭を下げた。


それから2週間ほどは、最悪な日が続いた。実習生がいる前でもクラスはいつも通り騒がしく、実習生の言うことも全く聞こうとしない。


凛は懸命に明るく振舞ったが、実習生の元気はなくなる一方だった。ある時、彼は凛に言った。


「先生、僕はやっぱり子どもが好きです。それが分かって良かった。僕は多分教員にはなれないと思いますが、僕の分まで頑張ってください。」


「それどういう意味?」と聞きたい気持ちをぐっと堪えて「何かあったら言ってね。私で良ければ相談に乗るから。」と答えた。


「ありがとうございます。」、彼は寂しげに微笑んだ。


時々校長と教頭が見学に来て何かを囁き合っている。


彼等はこんな会話をしていた。


「あの実習生、なかなかしぶといですね。たくさんいじめてやったのに。」


「ですよねー。早く死んでくれないかな。」


そして、実習が始まってから、2週間と、3日後ついに事件は起こった。休み時間にとてつもなく大きな音が響いた。


そう、まるで誰かが高いところから落ちたかのような...


凛のもとに山川裕也、山田連、植松博、相川春樹、吉田健太郎の5人が青ざめた顔で駆け込んできた。


「先生、園崎先生、大変です...原田、原田先生が...」

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