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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
55/134

第55話 Youtuberという生き方

「まさか飯沼先生が辞めちゃうなんてね。」、2組担任の丸山望がしみじみと呟く。


「ほんとに勿体無いですよね。とても生徒のことを想ってくださる先生だったのに...」と凛。


「確かに。でも飯沼先生なら何をやっても上手くいきそうですよね。」と鈴木林太郎。


その時、彼らの横に見覚えのない人影が写った。


「2組が丸山先生、3組が園崎先生、4組が鈴木先生でっしゃろうか。あたくしは辞職された飯沼先生の代わりに今後1組を担当させて頂く塚原紫苑と申します。あ、専門はもちろん社会です。ほな、今後よろしゅー。」


言葉遣いの節々に独自のなまりがあるアラフォー前後に見えるこの女は果たして凛の敵なのか、味方なのか。


凛たちは、暫く様子を見守っていた。


彼女は良く言えば要領が良い、悪く言えばずる賢い生き方をしていた。


松山校長と今泉教頭の絶対的な権力に服従し、瞬く間に彼らに気に入られた。


けれども、彼らの操り人形として生きる彼女が、幸せなのかどうか、本当のところは分からない。


信念を貫き通せば学校という組織から、極端に言えば弾圧されかねないのだから、それが彼女なりの戦略だということもできよう。


結局、5月末になっても塚原紫苑という人間がどのような思想を持っているのかを知ることはできなかった。


丁度、その頃メディアでは飯沼浩史の露出が目立っていた。


Youtubeチャンネル「現代社会の真実」で大ヒット。


「お金の仕組み」や「教師の本音」など、教育や経済関連の動画は人気を博し、チャンネル登録者数は100万人を超えている。


紫苑が自宅でテレビをつけると、彼の姿が映る。


「飯沼先生は元教員だということですが、なぜお辞めになられたのですか?」


「それは学校と言う組織が腐りきっていたからです。古くて意味のない制度に絶対的な上下関係。パワハラセクハラも日常茶飯事。はっきり言って今の教育現場は終わっています。」


「昨今は教員は社会に出たことがないという意見も目立ちますが、その点については?」


「その通りだと思います。大学の教育学部からじかに資格を取って教員になった人はある意味社会に出ていない。私は一般企業で働いたこともあるし、今はこうして活動している。Youtuberという生き方も非常に面白いと思います。やはり色々な世界に飛び込んでまだ見ぬ景色を見ることが大切だと思いますね。」


「もしYoutuberとして上手くいかなかったときはどうされるつもりだったのですか?」


「その時は投資で生きようと思っていました。資産運用に使うお金は一般企業で働いていた20代の頃から貯めてきましたから。」


「何がYoutuberという生き方よ。この人が動画を出して何百万か何千万かかせいでる間にあたくしは劣悪な労働環境で働いてて...ああもう嫌になっちゃう...」、紫苑は大きく溜息をついた。



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