第54話 使えない教員には死を
新たに校長に赴任した松山由里、そして校長を追放されて再び教頭の座に戻ってきた今泉宗太郎は恐ろしい会話を行っていた。
「今泉先生は以前本校で校長をなされていたそうですね。」
「はい、如何にも。立花元校長に追放されるまでは。」
「あの革新派のゴミが良くもまぁ、今泉先生を陥れるなどと言う卑劣な行為をしたものです。この浜森中学校は伝統と秩序を重んじ、格式高い場所で泣けらばならない。」
「如何にも。」
「そのためにはま不要な人材を排除しなければなりません。無能な人材、使えない人材、私たちとは意見が違う人間は排除しましょう。パワハラでもセクハラでもして自殺に追いやってしまえば良い。」
「恐ろしいことをおっしゃりますな、松山校長。ですが、私もその意見には賛成です。」
「あ、そうそう。私たちの考えに合わない人間は、教育実習の時点から潰しておきましょう。」
「まずは未だに学級崩壊したクラスをまとめられていない園崎凛、そして私たちの指導方針に従わない飯沼浩史を潰すのです。」
今泉はまず園崎凛を呼び出した。
「園崎先生、どうも、お久しぶり。元校長の今泉です。私が校長だった際のあなたとの約束、覚えてらっしゃいますよね?」
「はい。承知しております...」
次のテストでクラス平均400点を取れなければ40万を払うか身体を明け渡せという滅茶苦茶な要求...
凛の心には強いプレッシャーがかかった。
次に、松山校長は飯沼浩史を呼び出す。
「失礼致します。ご用件は何でしょうか?」
「単刀直入に申し上げると、あなたの授業方針は浜森の方針から大きく外れています。すぐに修正しなければそれ相応の処罰を下します。」
「松山校長、お言葉ですが、私の授業は従来の授業よりずっと分かりやすくそして面白い。1年3組を除いては概ね好評です。そもそも授業は子どもたちのためにある。伝統ある方針などクソ喰らえです。」
「何ですか、あなた。校長の私に向かって失礼にもほどがある。校長の命令は絶対です。」
「軍隊かよ笑 私は本日をもって辞任させて頂きます。こんな腐った組織とは付き合えない。」
「1人で生きていける自信があるならどうぞそうなさってください。あとで後悔しても知りませんよ。」
「私の頭の中に、後悔という言葉はありません。こんなところは辞めて正解だった、あとで必ずそう思うでしょう。」
飯沼浩史の辞職は他の教員に大きな衝撃を与えたが、本当に衝撃だったのは、彼のその後の生き方だったのである。