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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
52/140

第52話 一筋の希望

「憎たらしいほど綺麗な肌ね。今から傷をつけてあげる。まどか!」


佐紀に呼び掛けられたまどかはポケットからライターを取り出す。


理科の実験室から盗んできた鉄球を熱する。


「な、何をす...」


まどかが天使エンジェルの背中に熱した鉄球を当てる。


「っ...やめてよ...お願いだから...」


佐紀が涙目になる天使を満足げに眺める。


「天使の泣き顔も見れたことだし、そろそろ行こうか、みんな。」


佐紀の号令と共に全員が立ち去る。


天使は泣きながら家路についた。


見知らぬ人に道を聞くのが大変だった。


「お嬢ちゃんどしたん?」


心配して声をかけてくれる人には「何でもありません。」と答えた。


「何でよ、何であんなことすんのよ。私が何かした?やっぱり名前が駄目なのかな?天使って書いてエンジェルなんて、確かに普通じゃないもんね。でも、あんなことしなくても良いじゃん。」


頭の中で何度も呟く。


翌日は学校に行く気になれなかった。それでも休みたくはない。わざと遅く歩いて少し遅刻した。


「天使さんが遅刻するなんて珍しいわね。」、担任の園崎先生が言った。


「はい...」、俯いて静かに答える。


「どうした?何かあった?」


「いえ、何でもないです。」


席について気を紛らわすかのように読書を始める。


「天使、遅刻するなんて珍しいね。私でよければ話聞くよ。」


何食わぬ顔で味方を演じてくるまどか。


「あんたにだけは絶対話したくない!」


ついつい語気を荒げる。


「えぇ。酷い。私、私そんなつもりじゃなかったのに...ただ天使さんのことが心配で...」


まどかは机に突っ伏して泣くフリをする。


「ちょっと、何があったか知らないけど、天使さん、今のは言い過ぎじゃない?」


真理が穏やかな口調で言う。


それが天使の心を余計に苛立たせた。


「水野さんみたいな優等生には、私の気持ちなんて分からないでしょ!」


「何があったかしらないけどさ、周りに八つ当たりするのは良くないんじゃない?」


佐紀が口を挟む。


「昨日あんなことしといて、良くそんなことが言えるわね?」


ヒートアップする天使に佐紀が内心勝ち誇った気持ちで言った。


「昨日?昨日はほんとごめん...わざとじゃなかったんだけど、足踏んじゃって...この通りだから。」


迫真の演技で頭を下げる佐紀。


「何だよ、そんなことで怒ってたのかよ。」


「天使って名前は変わってるけど良い子だと思ってたのにがっかり。」


クラス内から冷たい反応が起こる。


天使が教室から出て行こうとした時、侑李が立ち上がった。


「私は、佐紀の方が悪いと思うけど?」

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