第49話 涙の和解
凛のもとに水野真理が相談に来た。
普段から何の心配もしていない、中学生のロールモデルのような存在である彼女が相談に来たことを凛は意外に思った。
話を聞くと、どうやら精神的な負担を感じているようだ。
責任感が強い彼女は学級委員長としてクラスをまとめられていない責任を感じているという。
「水野さんはもう十分頑張ってくれているし、助けられてるよ。」
凛はそう言ったが、彼女は今の自分の現状に納得できていない様子だった。
凛は心の中で焦りを感じた。現状クラスの要である真理が負担を感じ始めたのだ。早めに対処をしなければ手遅れになる可能性もある。
その日の放課後のことである。小林侑李はその日も暗い気持ちで学校を後にした。
あの後、真美とは一言も話していない。
「バカ。もう、真美のことなんて知らない。別に私は真美がいなくても平気だし...」
心の中で何度も呟く。
俯いて歩いていた彼女は、前が見えず誰かにぶつかる。
「あ、すみません...」
そう言って顔を上げて、思わず後退りする。
目の前にはあの牛島佐紀が立っていた。
「怪我してるみたいだし、可哀そうね、もっといじめてあげましょうか。」
「何なのよ。私は今怪我してるのよ。そういうのは治ってからにしてくれないかしら。」
「そういうわけにはいかないなぁ。」
牛島佐紀らのグループ7人がゆっくりと近づいてくる。
その時、聞き覚えのある声がした。
「やめなさいよ、あんたたち。私の侑李に、手を出さないで!」
「真美...」、侑李の顔が綻ぶ。
「侑李は怪我してるのよ。いじめるなら、私をいじめなさいよ。」
「あーうざ。あんたのことも気に入らないのよね、浅野真美。あんたたち、この女を押さえつけて。」
宮島桜、如月真由、荻原まどか、横山光里、井上美月、遠藤花実の6人が真美を押さえつける。
佐紀が、抵抗できない真美を何度も平手打ちをする。
真美は、あくまで強気な態度で佐紀を睨みつけた。
「何なのよ、あんた気に食わないわね。もう手加減しないわよ。」
佐紀たちは真美に思う存分暴行を加えると、その場を立ち去った。
真美のもとにかけよる侑李。
「大丈夫、真美?」
「やだな、あんた、なんで泣いてんのよ。」
侑李の目は確かに潤んでいた。
「だって、それは、その、私、やっぱり真美と一緒にいたい。」
「私もだよ。この前はごめんね、侑李。」
「良いよ、気にしないで。私の方こそごめんね。」
こうして2人は、元通りの仲の良い関係に戻ったのさ、良かったね、真美、侑李...