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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
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第48話 体育祭反省会

「今回の体育祭、何がいけなかったと思う?」


1時間目の総合の時間、凛は生徒たちに問いかけた。


1年3組は4クラス中最下位という結果で体育祭を終えた。


結局勝ち星の方が多かったのは男子サッカーのみ。


運動好きな生徒の落ち込みようが凄かったので、凛としては彼等に今回の敗因をいち早く振り返ってもらいたかった。


「はい。」、山下裕也が手を挙げる。


「やっぱり一番は団結力の無さだと思います。」


何人かの生徒が彼の意見に頷いた。


「なるほど。団結力の無さ、ね。他には?」


水野真理が発言する。


「戦略不足もあると思います。」


「努力不足」、「コミュニケーション不足」など、様々な意見が出た。


ふと山田連が手を挙げる。


「仲が悪い人がいたからだと思います。」


全員の視線が真美と侑李、そして博と猛に集中する。


侑李は胸骨を骨折しているのでバストバンドを巻いている状態である。


「そうだそうだ。」


「お前らが変ないがみ合いをしてるから負けたんだよ。」


避難の声が彼らに集中する。


「はぁ?私は佐紀に突き飛ばされたのよ。あれさえなければ胸骨を骨折することもなかったのに。」


あくまで強気な態度を示す侑李。


「はぁ?証拠でもあんの?」


佐紀が眉間に皺を寄せる。


「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。」、水野真理が仲裁に入る。


「でもよ、博と猛がいがみ合ってるのはいつものことだけどよ、浅野さんと小林さんは仲が良い筈なのに何でお互いのパスを無視したんだ?」


連の言葉にクラスの多くが興味を示した。


「そ、そんなの知らないわよ。真美がすべて悪いのよ。」


「はぁ?何よ。私のせいにしないで。」


真美と侑李の間に険悪な空気が漂う。


「ま、まぁ、その話は一旦やめにしようよ。」


天使エンジェルの提案により、場の空気が少し和む。


その後も反省点や改善点を話し合って、1時間目の授業は終了した。


山川裕也が部活の練習に向かおうとすると後ろから声をかけられた。


「山川君...」


後ろを振り返ると小林侑李の姿がそこにあった。


「あの、その、この前はありがと。」


それだけ言って足早にかけ去ろうとする彼女を彼は呼び止めた。


「小林さん、浅野さんと何かあったの?」


「私、真美に悪いことしちゃった...」


少しの沈黙の後彼女は続けた。


「でも、私謝るの苦手だし、それに、もう許してもらえないかもしれない。」


そう言った時の彼女の瞳はほんの少し潤んでいるように見受けられた。


「そっか...」、裕也は静かに、そして優しく呟いた。

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