第40話 教師の才能
好きな人との楽しいひと時も終わり、凛は再び普通の日常を営むようになった。
朝、支度をしながら頭の中を整理する。
今度の体育祭の種目は、ドッジボールとサッカー、それにバスケットボール。
ドッジボールだけは全員参加である。
まず任意参加の種目に参加する生徒を思い浮かべてみる。
最初に男子サッカー。
相川春樹、山川裕也、田中直人、秋田健、加藤大樹、久保和樹、佐藤雄介、清水琢磨、津田圭吾、手塚昌磨、深浦旭。
女子サッカーは、浅野真美、小林侑李、水野真理、牛島佐紀、宮島桜、如月真由、荻原まどか、横山光里、井上美月、遠藤花実、杉田天使である。
そして、男子バスケは植松博、山田連、吉田健太郎、杉田健斗、森山猛。
女子バスケは金子沙織、小山ありさ、斎藤るな、飯森杏樹、猪俣千尋である。
そして、サッカーにも出場し、かつバスケにも助っ人として出場するのは山川裕也、水野真理の2人である。
そして残りの生徒、早乙女梨華、田辺日和、中村裕太、山田春奈、及川春斗、渡辺響はドッジボールにのみ出場する。
教員は、生徒の顔と名前、性格、役割などを覚えるのが非常に得意だ。
何年か前の教え子でも顔を見れば思い出すことができる。
生徒のことを覚えられるかどうかは、人間に興味があるかどうか、人が好きかどうかに関わっている。
人間関係や家庭の事情にまで目が行ってしまうのは、一種の職業病と言えるかもしれない。
体育祭の練習を始めてから数日経ったある日、クラスの中では新たな問題が発生しようとしていた。
女子サッカーに出場するメンバーの中でこんな会話が行われていた。
「あの子、苛つかない、ほら、杉田天使」
「分かる。天使って書いてエンジェルとかマジありえない。」
「あの子サッカー結構上手くて鼻につくんだよねー。みんなではぶろうぜ、あいつ。」
杉田天使がいない間にそんな会話が行われていた。
「やるのは勝手だけど、私は参加しないよ。別にあの子のこと嫌いじゃないもの。」と小林侑李。
「私も。」、浅野真美も侑李の意見に賛同する。
「何よあんたたち、私たちに喧嘩売ってんの?」と牛島佐紀。
「いや、別にそういうつもりはないけど」、侑李が佐紀を睨みつける。
「何その目つき、気に入らないわね。なんかムカつく。私があんたたちをこれからたっぷりいじめてやるわよ、いじめっ子さん。」
「あっそ。やれるもんなら、やってみな。」
佐紀の挑発に侑李が反発する。
こうして女子グループの人間関係に新たな亀裂が入ったのだった。