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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
35/135

第35話 働き方改革!

急遽開催された学校会議。教師たちは、目の前にいる新校長の立花を見つめる。


「今日お集まりになったのは、他でもない。先生方には今の授業スタイル及び労働のやり方を一新して頂きたい。」


立花はゆっくりとした動作で教員たちにプリントを配布する。


部活動を外部に委託する、生徒の精神面の悩みはスクールカウンセラーに一任する、残業はしないなどとにかく徹底的に無駄を省く政策が挙げられている。


「労働の点に関しては、お配りした書類をお読みになればお分かりになるかと思います。問題なのは、授業スタイルの方です。」


教員たちが一斉に彼女の顔を見つめる。


「今の授業スタイル、すなわち、教師がクラスの前で黒板を使って授業を進める。娯楽に溢れた現在で、そのような授業スタイルは、はっきり言って苦痛なのです。授業は、教師側だけが満足していても意味はない。重要なのは、子どもたちのためになっているかどうかです。そのために、私が先生方が安心して教材研究にだけ取り組めるよう職場環境を整えていきます。それから、本校の新しい教頭を紹介します。」


背が高くスタイルが良い男が室内に入ってくる。


「こんにちは。初めまして。新しく本校の教頭に赴任させて頂きました。松田博人と申します。」


一見誠実そうで爽やかなこの男は、果たしてどのような人物なのか。教員たちの気が休まることはない。


 立花が校長になってから、約2週間。職場の空気は劇的な改善を見せた。多忙さが半減し、不登校への配慮が充実し、残業時間もほぼゼロになった。


園崎凛も教材研究に集中し、試行錯誤を繰り返していた。Youtubeなどを見ていると、非常に面白く、そして分かりやすく各教科を解説した動画が多い。キーワードはエンタメ性。けれど、面白さを追求すればするほど正確性が欠けるようになる。


「前は忙しくてまともに教材研究まで手が回らなかったけれど、私だって教師の端くれ...まだ教え子たちは私の授業を聞いてくれないけれど、そんなことで挫けてたまるもんですか!」


凛は頬を叩いて自分の気持ちを奮い立たせた。


授業の構成をある程度立て終わると、凛はもう1つだけ気にかかっている作業に取り掛かる。不登校の中村裕太の両親への連絡。


この前、カウンセラーと話してみることをさりげなく勧めてみたのだ。もちろん裕太君の意思が一番だから強制はできないけれど、それが何らかの解決の糸口になればと思って。


「自分のクラスを必ず全員で卒業させてみせる!」


凛は心に固く誓った。

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