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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
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第21話 集団絵画

凛がクラスの団結力を深めるために、対人関係ゲームの一環として選んだ集団絵画。全員で何を描くのかを話し合い、集団で1つのものを作り上げる。


クラスでの話し合いを通して、生徒たちは出た意見をすべて入れるという1つの結論を出した。


「多数決と言う形で決着がつかなくて良かった。」と凛は心の中で密かに思った。


多数決は、一番賛成数が多い意見を採用するという極めて合理的な方法である。けれども、そこに少数意見を持つ人の考えを聞くというプロセスは存在しない。


自分以外の人の色々な意見・考えを知ることで、価値観の幅を広げて欲しい。


「私が下書きを書くから、日和は色を塗る作業をお願い。」


すっかり田辺日和と仲良くなっている金子沙織の姿が視界に映る。


いじめる側といじめられる側の関係だったのが嘘のようだ。


その近くには小山ありさと斎藤るなの姿もあった。



ありさがるなのことが好きな一方、るなはありさが嫌いとのことだったが、ここの複雑な人間関係はまだ続いているようだった。


沙織たちから、全体に視界を移すと、集団絵画の様子からこのクラスの人間関係の全体像が、見えてくる。先ほど言ったように海の絵を協力して描いているのは、金子沙織、田辺日和、小山ありさ、斎藤るなの4人。


一方、山の絵を描いているのは、浅野真美と小林侑李。


1人で黙々と紅葉の絵を描いているのが、早乙女梨華...


部分的に女子生徒の様子を見ただけだが、これだけでも人間関係の様子を大雑把に把握することができるのだ。


普段一緒に過ごしている生徒が同じ場所に集まっており、普段1人で凄いしている生徒はやはり孤独に絵を描いている。


生徒が他の誰かと一緒に絵を描いているのは微笑ましい光景であり、仲が良さそうに見える。けれど、それはもしかすると表面上だけのことかもしれない。ありさとるなのような事例もあるのだから。


1年3組は絵を描くのが上手い人が多かった。描き終わった絵を黒板に貼ると、教室中から拍手が起こった。やはり生徒たちも、自分たちが描いた絵に満足していたようであった。


「確かに、このクラスは絵が得意の人が多いみたい。けど、何かが物足りない。」と凛は思った。


海の絵も、山の絵も、学校の絵も、紅葉も、そこだけを見れば文句なしに上出来である。けれど、問題はそれを全体として見たときである。それらのすべてを1つの作品として見てみると、まるで一体感がない。それはまさに現状のこのクラス、1年3組の特徴を表しているのであった...

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