第130話 冬休み最後の日!
今日は1月14日、冬休み最後の日。
生徒たちは、それぞれ別の過ごし方を送っていた。
長期休暇の過ごし方は、個々の性格がはっきりと出る。
水野真理、九条慶翔のような優等生は早めに宿題を終え、残りの時間でデートをしたり友達と遊んだり、有意義な時間を過ごしていた。
また、山川裕也や小林侑李も恋愛パワーを発揮し、早めに宿題を終え、残りの時間を遊びに費やしていた。
早乙女梨華や田辺日和、杉田天使は、計画を立てて毎日のようにコツコツと勉強をこなしていた。
及川春斗は、意外にも早めに宿題を終えていた。彼は日頃から宿題をまじめにやるタイプではない。けれど、来月の11日に数学オリンピックの本選が開催される。そこで、優勝したい、日本代表に選ばれたい、その思いが彼のモチベーションを高めたのだ。
冬休み最後の日になって、慌てて宿題に取り掛かり始めるタイプの生徒もいる。例えば、吉田健太郎や森本猛、牛島佐紀などである。
吉田健太郎は、興味を持った脚本家という職業について調べすぎて、宿題のことを半ば忘れていたのだ。
シナリオのことを沢山学んで、シナリオコンクールに応募しまくっていた。いくつかの作品は佳作に選ばれた。コンクールの結果が分かったら、自分の描いた作品の良かった点、悪かった点を分析するようにした。そして、反省点を次の作品に生かすのだ。このプロセスは、勉強にも通じると感じた。
森本猛は、英語の勉強に熱が入りすぎて、他の教科の勉強がおろそかになっていた。
「There are two types of people in this world: those who finish their homework early, and those who leave it until the last minute. I'm the latter. Well, with me, this amount is no problem.(世の中には、2種類の人間がいる。宿題を早めに終わらせる人間と、最後まで残しておく人間。俺は後者にあたるな。ま、この俺の手にかかればこのくらいの量なんて余裕だぜ。)」
彼が1人で格好つけていると、母親が入ってきて、こう言った。
「あんた、変なことばっかりやってないで、良い加減宿題やりなさいよ。」
牛島佐紀は、特に焦ることもなく淡々と宿題に取り掛かっていた。体力に自信があるからこそ、なせる業だ。
一方、彼らの教師である私はいつものように仕事に取り掛かっていた。
「みんなどう過ごしてるかな。久しぶりに会えるのが楽しみだな。」
そんな想いを、胸に秘めていた。