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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第3章 中学1年生3学期編
124/130

第124話 親孝行な娘!

 私、田辺日和。根暗で人見知りの中学1年生。


勉強も運動も駄目駄目だし、コミュニケーションも上手くいかない。


それに、私は生まれながらにして吃音を持っている。


吃音とは、いわゆるどもりのことだ。言葉をなめらかに言うことができず、つかえて同じ音を何度も繰り返したりする


この症状のせいで、何度も悲しい目に遭ってきた。中学入学当初も、正しい行動をしたはずなのにいじめられた。


その時にも、いつものように思ったんだ。


「私に吃音が無くて、明るい性格だったらこんな目に遭わずにすんだのかな。」って。でも、私は今までの辛い経験から学んだ。どんな災難も、耐えれば必ず光が訪れるって。


今は、私をいじめたグループの主犯者である金子沙織と親しくさせて貰っている。彼女は本当に良い人だ。いつも私に気を遣ってくれるし、いつも明るく振舞っている。運動神経も良いし、見た目も可愛い。


そんな彼女が、なぜ私をいじめたのかと不思議に思うことがある。普段の彼女は、とてもそんなことをするような人ではないのに。


いじめをする側にも、それなりの理由があるのかもしれない。私は休み中に彼女にそのことを聞いてみようかと思っている。もちろんそれがきっかけで人間関係が壊れるリスクもあるけれど、せっかくここまで仲良くなれたのだから、深い話がしたい。


私は何の取り柄もない役に立たない人間だけど、両親にはとても感謝している。私をこの世に生んで、大切に育ててくれた両親に少しでも恩返しをしたい。迷惑をできるだけかけたくない。


だから、私はいじめられていることを、両親には言わず、笑顔で振る舞っていた。また、家事も積極的に手伝うようにしていた。将来はとても不安だけど、今は目の前にあるできることをやるしかない。


宿題もしつつ、家事をやり、数少ない友達とも遊ぶ。そんな充実した冬休みを過ごしたい。


そんな願いを抱きつつ、布団の中に入った。


 日和が眠りにつくと、彼女の両親はこんな会話を行っていた。


「ねぇ、正嗣まさつぐ。日和は本当に良い子に育ったわね。吃音を持って生きることになったのも、私があの子を産んでしまったせいなのに...」


「明美、それは明美のせいじゃないよ。自分の子どもが障害を持って生まれてくるなんて、誰にも予測できないだろ。でも、確かに親として申し訳ないとは思っているよ。彼女にはやりたいことをやらせてやろう。日和は本当に良い子だからな。俺の、いや、俺たちの自慢の息子だよ。」



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