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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第3章 中学1年生3学期編
121/131

第121話 教師の冬休み!

 無事に2学期を終えて、学校は冬休みに入った。


文化祭や校外学習などがあって、忙しいけどあっという間の学期だったな。


生徒たちは府や休みの真っただ中だけれど、私たち教師に休んでいる余裕はない。


授業の準備や教材研究、部活動に事務作業など相変わらずやることは山積みだ。


良く言えば、充実しているということもできる。


「はぁぁ、疲れた。園崎先生、今日もお疲れ様です。」


仕事が終わると、鈴木林太郎に声をかけられた。


「鈴木先生も、お疲れ様です。」


「園崎先生、毎日こんな生活で体壊さない?」


「大丈夫ですよ。体力には自信がありますから。」


そう、大学時代に大の運動音痴だった私は、友人の1人であるミサに勧められて早朝ランニングと筋トレを始めたのだ。


早朝ランニングは毎日1時間、大学生の時から欠かさず行っている。


これは単に身体を鍛えられるというメリットだけでなく、精神を強くする点においても役立った。


仕事も含め、世の中を生きていれば一定の割合で嫌なことは発生する。けれど、そのような不足な事態が起きた時、すぐには諦めず物事に粘り強く取り組むという姿勢が明るい未来を齎してくれる。


敢えて厳しい運動をして、自分を追い込み、それをやりきることによって自分の心の弱さに打ち勝つというプロセスを通して、私はメンタルを鍛えているのだ。


「一緒にご飯でも行きますか。」


鈴木先生のその言葉に、私は黙って頷いた。


レストランに入って注文を済ませると、私たちはクラスの様子について話す。


個人情報を公にしてはいけないから、特定の生徒に関して名前を出して話すことはできないけれど、「ある生徒がこういった悩みを抱えていて、どう対処したら良いか分からない」、「クラスの中にこんな頼りになる生徒がいて助かっている」という取り留めのない話をするのだ。


私は話の流れの中で、ふと視線を逸らした際に、驚きを隠せなかった。見覚えのある人の姿がそこにあったから。


「園崎先生、どうなさったんですか?」


鈴木先生が心配そうに尋ねる。


「八神先生...」


「え?」


「あそこにいるお方は私が教員を目指そうって思ったきっかけを作ってくださった恩師なの。」


私の声に気づいてくださったのか、彼女がゆっくりとこちらを振り向いた。


「聞き覚えのある声がすると思ったら、凛さんじゃない。久しぶりだわね。」


「八神先生、お久しぶりです。」


私は彼女に深々と頭を下げた。


「凛さん、そんなにかしこまらないで頂戴。私は、そんな大層な人間じゃないんだから。」


八神先生は、昔と変わらぬ優しい表情で静かに微笑んでくださった。


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