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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
118/130

第118話 過去の私と今の私

 私は今、私も含めた大学の同期4人と共に食事している。


明るく常に笑顔を絶やさず、私たちにも笑顔をもたらしてくれるショートヘアの女性は田中美咲、通称ミサ。彼女は私と同じで国語の教員である。生徒たちに対する面倒見が良く、文章指導に定評がある。


眼鏡をかけている物静かな女性は佐藤結衣。生物を専門とする高校教師であり、彼女の高校の生徒からは「先生に教わると不思議と覚えられる」と評判である。


そして最後に、後ろで髪を縛っている背の高い女性は山本綾乃。


地歴公民を担当する社会科教員であり、知識が深く、授業が面白いと人気である。また、生徒に論理的思考力を養わせるのが得意だ。


私は、大学時代、この3人と仲良くしていた。落ちこぼれの私を陰で支えてくれた彼女たちには、心の底から感謝している。私独りの力ではここまで来れなかった。色んな人の支えがあって、今がある。


「にしてもさ、凛がこんなに立派になるなんてね。何かある度に、私たちに泣きついてくる弱虫だったのに。」、ミサがいたずらっぽく微笑む。


「あの時は、ありがとうみんな。ほんとに助かったよ。音楽とか体育とかの練習に協力してくれたのは本当に嬉しかった。みんながいなかったら小学校の免許は取れなかったかも。私は中学の教員だから、音楽とか体育とかはやらないけど、あの時の練習が役に立ってるなって思う時があるんだ。苦手なことをどうやって克服するかとかさ、物事に粘り強く取り組む力とか、大切なことを学べたよ。」


「凛は相変わらずバカ真っすぐだね。失敗しても、1人だけ模擬授業が上手くいかなくても、全くめげずに前だけを向いて頑張っててさ。情けないように見えることもあったけど、この子かなり強いなって思ってたよ。」


ミサがしみじみと言う。


「いやぁ、それほどでも。」


「調子に乗らないの。けど、凛の強みは勉強ができない子の気持ちが分かることよね。あたしは昔から苦手なこととかなかったから、テストの点数が悪い子の気持ちとか運動が苦手な子の気持ちとか分からないんだよね正直。だから、そういう子との接し方に悩むんだ。」と綾乃。


「そんなに難しく考えなくても良いんじゃない。その子に寄り添ってあげることが一番大切だよ。まあ、それが難しいんだけどね。」


私はそう言って彼女に微笑みかけつつ心の中で呟いた。


「綾乃みたいな優秀な人間でも、悩みがあるんだ。」


そう思うと、少し勇気づけられた。教員は多忙だから、昔の友人とこうやって集まれる機会も滅多にない。


けれど、彼女たちに会う度に教員になりたいという志を持った時の初心を思い出すことができる。


彼女たちが、過去の私を成長させてくれた。過去の私の努力と、彼女たちの支えが、今の私を作っている。


ずっと傍にいれるわけではないけれど、離れていても心は繋がっている。


彼女たちは私の大切な仲間だ。



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