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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第2章 中学1年生2学期編
104/132

第104話 事前学習

 今日の授業は校外学習に向けての事前学習。

 

「じゃあみんな、今日は前にも言った通り、23日の校外学習に向けての事前学習の続きをしようと思うんだけど、前回の授業でやった浜森市の歴史、覚えてるかな。」


私の質問に生徒たちが一斉に手を挙げる。


「はい、山川君!」


「古代の遺跡が残っている!」


「そうだね。篠塚しのづか遺跡のことは前回学習したよね。他に覚えてることある人?」


「はい!」


「はい。植松さん」


「かつては城下町として発展していた。」


「そうだね。下町が作られた主な理由は、大名が家臣の統制や都市の発展のために、城を中心に武士、商人、職人を集住させ、行政・商業・軍事の拠点としたからってこともやったよね。」


私は生徒たちの意見に大きくリアクションを取っていく。


一通り意見が出終わったのを見計らって、私は全員にワークシートを配る。


そこには地域について調べたこと、地域のことについて調べた感想、疑問に思ったことという3つの項目がある。


「じゃあ、今から調べたことをワークシートにまとめてみてください。周りの人と相談をしても良いからね。」


私は生徒たちに指示をして、教室を巡回する。


全ての生徒が記入が終わったタイミングで、次の指示をする。


「それでは手を止めてください。地域のことについて色々新しい発見があったと思うんだけど、発表してくれる人いるかな?」


多くの生徒が挙手をしたのを確認し、私は安堵の息をついた。


というのも作業を中断させるタイミングはとても難しいからだ。


初めて自分1人で授業をしたときは、とても苦労したのを覚えている。


ワークシートを書き終える速さや問題を解く速さは生徒によって全く異なるからだ。


授業に置いていかれる生徒を作ってはならないし、だからといって早く作業が終わった生徒を退屈させてはならない。


「今回の地域学習で、私はこの地域が昔、交通の要所だったことを初めて知りました。今は静かな住宅街ですが、江戸時代にはたくさんの人が行き交う宿場町で、旅人の休む茶屋や馬を交代する場所もあったそうです。


特におもしろいと思ったのは、昔の道のカーブや石垣の一部が今も残っていて、それが昔のままの場所だと聞いたことです。ふだん通っている道に、そんな歴史があったなんて驚きました。


また、地域の人たちが、昔の建物や文化財を大事に守っているという話も心に残りました。歴史を学ぶことは、昔を知るだけじゃなくて、今の地域を知ることにもつながるんだと思いました。


これからは、自分の住んでいる場所にももっと関心をもって、身のまわりのことにも目を向けていきたいです。」


「僕は今回の地域学習を通して、私たちの住んでいる地域にも昔からの長い歴史があることが分かりました。


たとえば、篠塚しのづか遺跡では、弥生時代の人たちがこの土地で稲作をしていたことがわかるそうです。昔の人たちも、この場所で自然と関わりながら暮らしていたと思うと、今とつながっている感じがして、少し不思議でした。


また、江戸時代にはこの地域が宿場町として栄えていたことも初めて知りました。今でもそのころの町並みが少し残っていて、昔の人のくらしを感じられるのがすごいと思いました。


今回の学習で、ふだん見慣れている風景の中にも、歴史や文化がたくさんあることに気づきました。これからは地域を歩くときに、ただ通りすぎるのではなく、『ここにはどんな意味があるんだろう』と考えてみたいと思います。」


このように授業のまとめでは、生徒たちは素晴らしい発表をしてくれた。


事前学習でこれだけ理解を深めることができれば、校外学習もきっと有意義なものになる。


私も引率の一員として頑張らなきゃ。

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