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中学教師園崎凛  作者: finalphase
第1章 中学1年生1学期編
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第1話 理想の職業

私、園崎凛。27歳。


私は、幼いころからの将来の夢を立派に叶えた。


誰に何と言われようとかまわない、中学教師は私が憧れていた職業。


昨今では労働環境がブラックだとか、残業がきついだとか騒がれることも多い。


確かにそういう側面があるということも否定しない。


けれど、それを補う魅力がこの職業にはある、私は自信をもってそういうことができる。


例えば、子どもの成長を見て、自分自身も成長できること。


今まで見てきた教え子たちはとても良い子たちで、私の言うことを素直に聞いてくれた。


ここ、桜坂中学はは生徒や保護者の人柄も含めてとても良い学校だ。


ありがたいことに、私は引き続き本校の教師を務めることができる。


私が担任になったクラスは1年3組。


私が初めて彼らと出会った時のことはとても良く覚えている。


私が教壇に立って自己紹介をしても、全く話を聞くそぶりを見せないのだ。


名簿を見てこれから担任を持つクラス全員の顔と名前は頭に叩き込んである。


しかし、いくら顔と名前が一致したところで彼らがどのような人間で、どんな性格をしているのかは分からないのだ。


「ちょっとみんな静かにしなよ。先生が困ってるじゃない。」


そう言ったのは水野真理。彼女は確か、ピアノを弾くことができる。


中学校のクラス分けは、通常、能力に偏りがないように編成される。


音楽、運動、勉強など、クラスによって差が出ないように配慮されているのだ。


彼女のような存在がいると非常に助かると思いつつ、私はなんて情けないんだろうと思う。


はっきり言ってクラスを求める能力は皆無。教え方も下手...


「ちっ。うっせーな。てめぇは何様なんだよ。偉そうにクラスを仕切ろうとすんな。」


そう言ったのは、山下裕也。彼は運動が好きでサッカーが得意だ。


「そういうあんたこそ何様なの、小学生の時は先生の言うことを素直に聞いてたくせに。こうやって、世の男は汚れていくのね。」


山田春奈が裕也の言葉に反応する。


初日からこの荒れっぷり、とても朝の会どころではない。


そう、私がこれから3年間見なければいけないクラスは、形容すれば本校始まって以来の問題児の集まり。


園崎凛と40人の生徒たちの3年間に渡る長き戦いが今まさに始まろうとしていた。

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