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ハイスペック・タンクウォーリア ‐コストがかかると追放された壁役重戦士はS級冒険者になって無双する‐  作者: 兎藤うと
序章 追放重戦士編

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20. レイテコル鉱石山脈

アクセスありがとうございます。

 レイテコル鉱石山脈。ブルース地方とミガル王国を隔てるように存在する巨大な山脈。最高で雪が積もるほどの標高を持ち、広がる山々すべてから鉱石が採掘できるという宝の山を体現した資源の山である。


 山脈全体が迷宮化の影響を受けているため、魔力濃度が非常に高い。だが、あくまで危険なのは坑道や天然洞窟だけであり、登山や散策程度ではそれほど危険な魔物とは遭遇しない。それと、岩肌を崩しながら鉱石が生えてくるという面白い現象が見れたりする。


 歩いているだけで鉱石が採掘できるとか、都合が良すぎる。

 ザルツブルグが管轄しており、冒険者ならギルドで採掘手続きをすれば誰でも採掘が可能である。ただし、採掘した資源はブルース地方内で消費することが条件とされる。もし国外に流通させる場合はギルドで手続きが必要となる。


 ちなみに、ミガル王国は大きな川と硬度の高い山脈の岸壁に阻まれ、この山脈の資源を回収することができず、実質的にザルツブルグが独占しているという状況だ。ザルツブルグもそうだが、他国も大きな川を境界線として見ている。


 そんな山へ向かうため、リックたちはロープウェイに乗って向かっていた。


「運行していて良かったね」

「そうだな。使いたいときにかぎって壊れているからな」

「まる一年壊されてなかったのは新記録だよね。三ヵ月に一回は壊されてるくらいだし」


 ロープウェイの終着点に降りたリックたちは地図を見ながら目的の魔鉱石を採掘するべく、洞窟がある方向へと歩いていく。


「ザルツブルグ周辺はホントに恵まれた環境だよね。資源は豊富だし、おまけにこの山脈もあるからミガル王国の人は迂回しないと侵入してこないし」


「いちよう、ザルツブルグはミガル王国の一部なんだけどな」


「形だけでしょ。地理的にも一本道でくっついてるだけだし、その気になればいつでも独立できるわけだし。独立しないのは隣国の干渉してこないようの防波堤、って聞いたよ」


「俺は出身がミガル王国じゃないから深くはわからんが、一枚岩じゃないよな」

「山脈だけに?」

「そうだな」


 適当な話題で雑談をしながら洞窟へ向かう二人。時折、「ねぇ、あれ見て!」とカンナが鉱石が採れる割れ目を発見し、折り畳み式ツルハシで採掘しながら進んだ。


「けっこう良いの採れるね。幸先がいいね」

「物はそれほど大きくはないがな」

「チリツモだよ。チリツモ」

「チリ、ツモ? ……。今日はやけにテンション高いな」


 まるで遠足にきた子供のようにはしゃいでいるカンナ。危険は少ないとはいえ、魔物も出るというのにあまりにも警戒心がない彼女に少し呆れつつもリックは微笑した。


「ん?」


 洞窟に繋がる道の先から、明らかに戦闘をしている音が聞こえてきた。


「誰か戦ってるみたいだね」

「そうみたいだな。魔物と戦っているんだろう」


 何気ない会話を挟みながら、戦闘が行われているだろう開けた場所に二人は顔を出した。


「なっ――――」


 その先で見た光景にリックは目を見開いた。軽く様子を伺って苦戦していそうなら加勢する程度で考えていた。だが、冒険者パーティが戦っていたのは無人機ゴーレムだった。

 しかも全滅寸前。一人の女冒険者が拘束され、生きたまま解体されそうになっていた。


「まずいことになってるよ、リック!」

「ああ!」


 リックは一瞬でも見失うほどの速度で距離を縮め、地面を滑りながら取り出した大盾で〈シールドスラッシュ〉を使用してゴーレムを殴打した。

 助走をつけた一撃に、ゴーレムは拘束していた冒険者を手離して地面に転がった。


「大丈夫か! ――って、アリナか?」

「……偶然だな、リック。カッコ悪いとこ見せちまったな」


 解放された冒険者は知り合いのアリナだった。そのほかに倒れている者たちもアリナのパーティメンバーで間違いなかった。偶然、それも最悪な再会だった。


「どうしてこんなことになっているんだ?」

「わからねぇ。鉱石採掘でここに来たんだが、突然あの人工ゴーレムが襲ってきたんだ」


 無人機ゴーレムは自然に発生するような存在ではない。人の知恵が生み出した機械兵器だ。近くに操作する術者がいてもおかしくはないのだが、その影は見当たらない。


 無人機ゴーレムには二種類ある。一つ目は、七○○前の遺物の稼働、製造が自動的に行われた魔物に分類されるもの。二つ目は現代で製造された機械に分類されるものだ。

 リックの目の前で立ち上がろうとしているゴーレムはデザインからして真新しい。セキネツ武具店にあったカタログに載っていたデザインに近い。


 鋼鉄の装甲と魔導金属筋繊維で作られた機体。体高約三メートル。左手にショートバックラー。頭部は片目だけが存在し、もう片方の目の部分にはミニガンが露出するように搭載されている。弾丸を送るためのチェーンガンが胴体から伸びて繋がっている。


 そんなゴーレムは立ち上がり、少し間を開けてからリックに向かって歩き出した。


「……、チェック」


 リックはゴーレムの動向を見ながら、アリナの握りつぶされた片腕を一瞥し、収納魔法から魔道具の治癒魔法が込められた結晶を取り出して使用した。


「これ、おま――」

「話はあとだ。ゴーレムは俺が倒す。アリナは仲間を連れて岩場の影に隠れていてくれ」


 リックは言葉を遮り、一升瓶の治癒の魔法薬をアリナに渡した。


「恩に着る!」


 アリナは魔法薬を握りしめ、動けそうな仲間を叩き起こして岩場の影へ逃げ込んだ。


「さて、やるか――〈フルヘイト〉ッ!」


 リックは大盾を構え、スキルを使用するが、効果はないようだった。


「効果がないということは自動操縦か」


 一般的に人の手から離れているゴーレムには意志のようなものが存在する。機体の内部に沈殿した魔力が核となって独りでに動くようになる。魔物であるリビングメイルと同じだ。なぜか別物扱いされている。細かいことはいい。ヘイトを強制的に取る〈フルヘイト〉が効かないとなると、今も人に使用されている機体ということだ。


 だが、なぜここにゴーレムを置いたのか、リックには見当がつかなかった。


「――〈ジャイアントスイング〉ッ!」


 すると、ゴーレムの背後を取ったカンナがハンマーを振りかぶった。

 瞬間、ゴーレムの頭部が一八〇度回転し、ミニガンを発射した。


「――ッ!」


 カンナはなんとか回避するが、地面に転倒してしまった。それでも、なんとか体を転がして弾丸を避け、カバーに来たリックの後ろに飛び込んだ。

 リックは雨のように迫りくる弾丸を防ぐ。


「大丈夫か?」

「なんとかね。数発もらっちゃったけど」


 カンナの肩に青アザができていた。接近戦を得意とする職業(ジョブ)を持っている者は防御力が高い。通常の銃弾ならまず貫通することはない。だが、カンナにできた青アザからして、かなり強力な弾丸が使用されていることは明白だった。


「あぁあ。タンクトップがボロボロ……新しいの新調しなくちゃ」


 カンナはそう言いながらタンクトップを破り捨てた。すると、ファスナーが半分ほど下がって谷間が露出させるスポブラが姿を見せた。

 リックは目が釘付けになりながらも、必死にカンナの顔を見ることを意識する。


「女の子がそんな簡単に衣服を破り捨てていいのか?」

「べつにいいじゃん。もともと激しい戦闘用の物だし」

「ん? ならタンクトップいらなかったのでは?」

「細かいことは気にしない! そんなことより、早くゴーレムを倒しちゃお!」

「あ、ああ。そうだな」


 気を取り直してゴーレムに意識を向ける。


「カンナはあのゴーレムを見てどう思う?」

「製造番号も紋章もないから、たぶん違法製造のゴーレムで間違いないと思う。喰らってわかったけど、弾丸も違法製造だよ。ゴーレムに使っていい弾じゃない」

「違法製造か。なら、ぶっ壊しても問題ないな」


 リックはそう言って()(どう)巧機(こうき)重鎧(じゅうがい)を装備し、大盾から片手戦斧を抜刀する。そして、カンナを守るように大盾を地面に突き刺し、ゴーレムの前に立った。


「一気に片づける」


 ゴーレムはミニガンを発射した。正確な射撃はリックを捉えるが、金属音を短く響かせ、軽く撫でた後が残る程度である。


 リックは弾丸をまっこうから受け続けながらゴーレムに肉薄する。前傾姿勢で撃ち続けるだけで動かないゴーレムに、リックは片手斧を振りかぶる。


 ゴーレムは連射を中止し、ショートバックラーを構えたが、リックはそれを蹴ってガードできないようにのけ反らせる。そして、リックは大振りの一撃を肩に入れた。


 振動系の術式の出力を上げた片手戦斧で斬られたゴーレムの堅い装甲は歪み、叩き斬られた個所から内部が露出した。リックは攻撃の手を止めず、抵抗しようとするゴーレムの手を振り払って一切の攻撃を許させない。半壊し、後方へと飛んで回避しようとするゴーレムに、リックは片手戦斧を投擲し、頭部に突き刺さした。

 深々と戦斧の刃が頭部に入ったゴーレムはそのまま機能を停止して、岩壁にぶつかり、崩れた岩に埋もれた。


「いっちょあがり」


 リックは一息ついて、停止したゴーレムを見ながらそう言った。


「すっご。一分くらいで倒しちゃった。おつかれさま。リック」

「ああ。そう、だ、な……」


 気を抜いたリックの目に入ったのは、カンナの顔から下の胸の谷間だった。わりとガン見に近かったことで視線がカンナにばれてしまった。


「……、にひっ」


 カンナは嫌な反応をせず、むしろ少し悪ふざけを含んだ笑みを浮かべながら、胸を下から持ち上げるようにして揺らした。

 そこでリックは、狙ってるな、とカンナが挑発していることに気づいた。


「ここで押し倒してやろうか?」

「ケダモノぉ~」


 リックは両手を上げて覇気のない「ガオー」と叫ぶと、カンナは「キャー」と黄色い悲鳴を上げながら逃げる素振りを見せる。とんだ茶番である。


 瞬間、埋もれていたゴーレムは飛び起きて、リックに襲い掛かろうとした。

 だが、リックは冷静にゴーレムの頭部から片手戦斧を引き抜いて首を切断した。完全停止してうつぶせに倒れようとするゴーレムを蹴って、仰向けに倒した。


「これでよし」


読んでくださりありがとうございます。

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