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ハイスペック・タンクウォーリア ‐コストがかかると追放された壁役重戦士はS級冒険者になって無双する‐  作者: 兎藤うと
序章 追放重戦士編

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13. ステータスと採取依頼

アクセスありがとうございます。

 ギルドに来たリックたちは、アメリアに頼んでギルドカードの更新手続きをした。

 冒険者登録は、申し込むだけでギルドカードが発行される。登録後はカードの利用期限はなく、何十年も更新が滞っても本人確認と更新をすれば再び使用可能となる。


 運がいいことに、担当官がリックと同じアメリアということですぐに更新は終わった。


「うーん。どれもぱっとしないなぁ……」


 掲示板に貼られている依頼を眺めながらカンナは呟いた。そんな彼女の背中を見つめるリックは少しアメリアと話をしていた。


「まさかリック君に女の子の知り合いがいたなんてね」

「装備関係でお世話になってるビジネスパートナーだ。月に一回しか仕事がないからってことで、一緒に冒険することになったんだ」

「ふーん。けっこうブランクあるみたいだけど大丈夫そう?」


 アメリアはカンナを見ながらそう言った。


「大丈夫じゃないか? なにかあっても壁役の俺が頑張ればいいさ」

「そうやって甘やかすのはよくないと私は思うな。お人好しさん」

「俺はそこまでお人好しじゃないぞ」


「そうかしら? どっかの『バラン・ガタッタ』っていう変な名前のパーティメンバー内でモンスタールーキーを作った君が言ってもねぇ?」

「作った覚えがないんだが?」


 リックは眉をひそめてその事実を否定した。モンスタールーキーとは等級の高い冒険者に手伝ってもらって等級を上げた実力と経験が見合わない冒険者のことを指す。


「だよね。なら勝手にモンスタールーキーになったってことね」

「あいつらそんなに悪いか? A級相当の実力は持ってるはずだぞ?」

「持ってるだけ、よ。力に振り回されてるもの」


 リックの知っている『バラン・ガタッタ』はかなり強い部類に入る。だが、周りは声をそろえて劣っている、と言う。身近にいたせいなのか、認識のずれが物凄かった。


「それより、もっと良い服を着たらどうなの? リック君」


 すると、まじまじとリックの服装を見るアメリアがそう言った。

 リックの服装は、豆腐メンタル、と書かれただぼだぼの半袖と、隙間から下着が覗けそうな半ズボンに身を包み、サンダルを履いて、片手には食べかけの軽食を持っていた。


「あまり着込むの苦手なんだよ」


「だからといって一年通してその恰好はどうかと思うよ。もうちょっと重戦士らしい恰好をしたらどう? ほら、新調した装備があるじゃない」


「あれか。あれもう兵器の域だ。気軽に装備していいものじゃない」


 魔導巧機重鎧(まどうこうきじゅうがい)。魔導具にするなら術式と回路、そして魔法陣だけで十分だ。しかし、あの装備には有人搭乗機ゴーレムに似た機構を備えた防具だ。


 パワードスーツ。カンナはそう言った。昆虫や甲殻類のような外骨格の装備。開発はされていたが、有人搭乗機ゴーレムが開発されて以降は中止になったらしい。現在の成功例はリックの装備のみとなっている。まあ、それでも装備の力はほとんど使っておらず、稼働している間は鎧の重量を消し、リックの私服同然のように軽くしているだけに留まっている。世間からはちょっと便利になった重戦士用の装備くらいの認識である。


「なんでそんな大変なの作っちゃったかな。今後のこともあるんだから考えなさい」


 アメリアは呆れながら平然としているリックに軽く説教をした。とうの本人であるリックはさほど気に留めることなく、軽食を呑気に食べて、さらに彼女に溜息をつかれた。


「リック。良いのなかったから薬草採取の依頼でいい?」

「いいぞ。なんて薬草なんだ?」

「アクダミ草ってやつ。治癒薬の材料」

「ほう、アクダミ草の採取依頼か。カンナのウォーミングアップにはいいかもな」


 アクダミ草。どこにでも、なんなら街中でも自生している生命力の強い多年草。濃い緑色のハート形の葉で、茎や葉の縁が黄緑色の植物だ。

 街中でも採取できるなら依頼に出さなくてもよくね? と思っているそこのあなた。確かにどこでも採取できる薬草だが、自生している環境によって薬草の効能が変わる。治癒薬という魔法薬の一種に使用するなら、森などに自生するより色鮮やかな物が良い。


「わかった。アメリア。受注頼めるか?」


 カンナが持ってきた依頼書を確認後、リックはアメリアに頼んだ。

 受け取った彼女は溜息を吐きながら受諾の押印をし、受注照明の札を受け取ったリックは「ありがとう」と言った。


「そういえば、カンナさんは〝天啓(てんけい)白書(はくしょ)〟の更新はされていますか?」

「ああ……、そういえば数年前からやってない」

「もしすぐに出立するのでしたら、更新してからほうがいいですよ」


 そう言ってアメリアは会釈して受付に戻っていった。


「えーっと。〝天啓(てんえい)白書(はくしょ)〟っと。どうやるんだったったかなぁ」

「更新できるページを開いて、手をかざして魔力を送るんだ」

「あっ、そうだった。ありがとう。リック」


 カンナはお礼を言って言われたとおりに更新を始めた。ページが独りでにめくられ、彼女が手をかざして魔力を送り始めると、〝天啓の白書〟は白く淡い光を放ち始めた。


「〝天啓の白書〟って便利だよね。更新するだけで強くなれるんだから」

「そうでもないけどな。ちょっとばかしの努力じゃステータスも上がらん」

「ふーん。そんなもんなんだ。現実とあんまり変わんない感じなんだね」

「冒険者に成り立ての頃に聞いたはずなんだけどな」

「ちゃんと聞いてませんでした」


 白い本の正体は〝天啓(てんけい)白書(はくしょ)〟という、自分自身に備わるステータスを可視化し、潜在的、あるいは積み重ねてきたものを力として引き出すことのできる代物である。

 技巧の神、そう呼ばている無名の神が世界に配ったとされる魔導書。古い言い伝えでは、人類が抗うために神様が贈ったものだとされているらしい。


 元から人々の魂には、神様によって不思議な力が刻まれているらしく、‶天啓の白書〟はそれを可視化し、自分の手で強化し、可能性を広げる操作盤のような役割を持っている。


 名前の由来は、その白い外見と、他人がステータスを見ると、白くぼやけて見えることからそう名がついた。ステータスブックとも呼ばれている。


「でもすごいよね。突如現れた謎の本が、今や人々の役に立ってるなんてね」

「一部では、人間っぽい魔物でも使用者になれるらしいぞ」

「ああ、スライムなのにS級冒険者って聞いたことあるかも。どんな子なんだろう」


 そう言いながら一人想像にふけるカンナ。


「そういえば、なんで〝天啓の白書〟って誰もさわれないの?」

「わからん。だから、そういうもの、で片づけてる」

「ふーん。まあ、無害だし、難しいこと考えるよりはそう片づけたほうがいいのかもね」


 淡い光が消え、更新を終えたカンナは本を閉じる。そして、ぽいっと宙に放り投げた瞬間、〝天啓の白書〟は光になって消えた。


「更新おわったよ。早速いこうか」

「ちょっと歩くが、良いアクダミ草が生える森を知ってる」

「それじゃ、その森にレッツゴー」


 リックたちはアクダミ草を求めて森に向かった。


読んでくださりありがとうございます。

補足・【アクダミ草】のイメージ。ドクダミ

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