85.エリザとリン
ってかさあ、なんで大声で名前を呼びながら来るかなあ! しかも自分がフェゴールだって宣伝しながら!
リンの奴もあいつがフェゴールだって気づいちゃったじゃないか!
「お待たせいたしました、レヴォ様!」
「へぇー、レヴォさんって言うんですねー」
「ん? あなたは誰ですか?」
「私はゴールドギルドを辞めて今からレヴォさんとパーティを組むリンと言います」
ちょっと待て! 誰もパーティを組むなんて言っていないんだが!
「はあ? あなた、ふざけているんですか? 私のレヴォ様に何を言っているんですか? 本当なのですか、レヴォ様?」
「お前も信じるな! ってか、お前のレヴォってなんだよ、おい!」
俺は誰のものでもないからな! 俺は俺のものだからな!
「私の身も心も全て、レヴォ様のものですから!」
「うわー。フェゴールさん……じゃなくて、エリザさんですか? やっちゃってますねー」
「お前が言うな! 何を勝手にパーティとか言っているんだよ!」
「え? 違うんですか?」
「違うわ!」
ダメだ、こいつらと会話をしていたら、俺の方がおかしくなりそうだ。
「俺は俺のやることを進めるから、お前らは勝手に何かやっていろ」
「わかりました! ついていきます!」
「それじゃあリンもついていきますー」
「あなたはついて来なくて結構です!」
「エリザさんの方こそ、ダンジョンからサヨナラしたらどうですかー?」
……いや、二人ともついて来なくて結構なんですが。
「ご主人様、こいつらもぶっ飛ばすのー?」
「フィーに頼めるなら頼みたいんだが、たぶん二人相手は無理だろう」
「むー、悔しいのー! ご主人様のためにもっと強くなるのー!」
フィーの奴、俺のためにそんなことを言えるようになったんだなぁ。
この二人にはフィーを見習ってもらいたいものだ。
「ところでご主人様。いったい何をするのにゃ?」
「ここでしか取れない素材を取りに来たんだ」
「レヴォ様。素材というのはブルースパイダーの粘液でしょうか?」
俺がどうして朽ち果てたダンジョンに来たのかをエリザは気になったようだ。
そして、ここでしか取れない素材の代表格であるブルースパイダーの粘液の名前を挙げたのだが、俺が欲しているのは残念ながらそれではない。
「違いますよ、エリザさーん」
「むっ! だったらなんだと言うのですか?」
そこへ突っ掛かっていったのは、何故かリンである。
……というか、ゴールドギルドはここでいったい何をしていたんだ?
「きっとレヴォさんも私たちと同じですよ」
「だからそれはなんだと言っているのです!」
「あれですよね、あれー?」
「おい、リン。エリザを挑発するな」
「はいはーい! きっとレヴォさんは――サブクエストを獲得しに来たんじゃないですかー?」
……へぇ。ゴールドギルド、なかなかやるじゃないか。
「その通りだ」
「ちっ!」
「へっへーんだ!」
「だがなあ、リン。その情報はゴールドからの情報か?」
情報源がどこなのかが気になったが、どうやらその通りらしい。
「なんでも、ゴールドさんしか知らない情報だとかなんとか。まあ、レヴォさんも知っていたなら他にも知っている人はいそうですけどねー!」
「ゴールド……なるほどねぇ」
俺は久しぶりに苛立ってしまった。
おそらく御曹司野郎は、俺がプレイしたゴールドの過去データをなんらかの方法で解析したのだろう。
そして、俺がここでサブクエストを獲得してレアアイテムを獲得したことを突き止めたんだ。
受けられるのは一人のユーザーにつき一度のみ。
それを情報としてギルメンに伝えてレアアイテムの獲得を狙い、さらには独占するために占領しようと考えたのだろう。
「……ちっ!」
「レヴォ様……」
「あー、すまん。気にするなよ、エリザ」
「……はい」
「……むー、なんだかリンだけのけ者ですねー」
いや、実際にのけ者だろうが。
「あなたはゴールドギルドのギルメンでしょう。信じてもらいたいのならば、さっさと脱退するべきではないのですか?」
「あー、そだねー。それじゃあ脱退しよっかなー」
「「……はい?」」
するとリンはその場で何やら画面の操作を始めると、数秒後には――
「はい、脱退完了しましたー。これからよろしくねー」
「「……はあぁぁ~!?」」
いやいや、そんな簡単に脱退ってできるもんだっけか!?
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