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第五章 護られた命
咄嗟に翔くんを押しのけたが、その爪は僕の腹に刺さった。
「あつ!何してんだ!」
「翔くん!翔くんのその命は、ゆう兄の命を賭けて救った物だ!そのゆう兄の命を無駄にする気か!?」
「でもっ..."私"...」
「ゆう兄が。『いきるんよ、"翔ちゃん"。』だって。あの時言ってたことだ。今この場では僕の命より翔くんの命の方が大事なんだ。逃げろ。」
「あつっ...」
翔くんは逃げてくれた。
「赤井さんがあの時死んでいた方が、貴方は良かったんじゃありませんか?」
耳元でささやかれる。
「はっ...あの世に行った後、ゆう兄に見せる顔がなくなるじゃんか。」
「空想上の話ですがね...」
だんだん腹から血と共に意識まで抜かれていくような感覚だ。「頑張って...生きろよ...しょ...」
出演
あつ
赤井翔
ゆう
ヘリオブラウン
(何も見えない...何も聞こえない...)
(そうか...これが死か...)