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第三章 説得力
僕は、御米館で起きたことを全て話した。
「普通なら信じられない。けど、現状人狼が居るから、信じるしかなさそうだな。」
「あっくん、辛い思いしてたんだね...いざとなったら私が守ってあげるけん。」
話が終わった頃には、もう学校中が沈黙に覆われていた。人数が減り、生き残った人たちは息を潜めているのだろう。
ピンポンパンポーン
放送が入った。
『学校内に生き残っている生徒が十数名になりましたね。もうしばらくすれば校門を開きましょうか。』
いつの間にかそこまで減ったそうだ。ゆっくり教室の外に出てみると、そこは血の海と化していた。
とりあえず三人で行動することにした。同じ場所で居るより、歩き回っている方が万が一人狼を見つけたときに逃げやすい、という翔くんの考えだ。
ただ、人狼に見つかっても、こっちから把握し辛いと言うのはある。
万が一、人狼に先に見つかったら。
その万が一が、来てしまったみたいだ。
最初に気づいたのはゆう兄だった。翔くんの方へ振りかぶられた人狼の爪を、ゆう兄が受けた。
「ゆう姉!」