第二章 人狼ごっこ
「この声は、ヘリオさん!?」
『こんにちは、こんばんわ、おはようございます。ヘリオブラウンでございます。』
その放送は、聴いている側の雰囲気がいつもと何か違う。
おかしい。ヘリオさんはあの時、人狼に...トラちゃんに喰われたんじゃないのか?
『いやー皆さん、どうやら私が失踪してるって噂は大分広まってるみたいですね?でも、私ならここに居ますよーどうもー』
ヘリオさんはいつもよりテンションが高い。
『本日の授業はやめて、ゲームといたしましょうか。』
“ゲーム”?
『リアル鬼ごっこです。まあ、鬼ごっこと言っても、“人狼”なんですが。』
人狼...やっぱり...ヘリオさんもそうなんだね...
『学校内に人狼が一匹居ます。捕まって喰われたら死。ある一定時間逃げ続けたら校門が開いて脱出できます。ルールは簡単でしょう?』
教室中からどうせ嘘だ、悪ふざけだという声が上がる。けど、僕はこれが本当だと言うことをわかってる。
「ゆう兄、翔くん、逃げよう!」
そう二人に言った瞬間。
下の階から悲鳴が聞こえてくる。ここは五階。おそらく、今のは一階か二階だろう。まだ説明するだけの余裕がある。
二人には、館で起きた出来事を全て話して、わかってもらおう。