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断罪イベント

「一気に片付けようか。まず、私はフィオリーナ以外と結婚するつもりも子をもうけるつもりも一切ない」


満面の笑みでルナ、その他の令嬢令息に言い放った。


「断罪、というイベントがあると耳にしたことがある」


我が婚約者はとてつもなく険しい顔をして私を睨んでいる。怖すぎて顔が引きっつているであろう。


「今宵、その断罪をしてみようと思う。君のいうところの、『ざまぁ』ってやつを」


クイークスの友人たちは影で、昔の腹黒い皇子に戻っているな、とつぶやいていた。


「あと、ルナ嬢。あまりフィオリーナのことを悪く言わないで欲しいな。フィオリーナをいじめて良いのは私だけで十分。まあ、もっと言えばフィオリーナが関わる人間も私だけで良いと思っているから」


クイークスが壊れた。私は焦った。入れ替わりの反動で頭のネジが吹っ飛んだのだろうか。


「しかし!フィオリーナ様と離れたい、と言っていたではないですか!それに、今回だって私のことを誘ってくれましたし!」


「口を慎んでくれ、ルナ嬢。私はフィオリーナを侮辱したこと、決して許さない」


とてつもなく冷たい視線をルナに向けてクイークスは鼻で笑った。私に向けている、素がダダ漏れだが、大丈夫なのだろうか。


「あと、フィオリーナがやってきたことはルナ嬢がフィオリーナにしようと考えていた嫌がらせだと聞いている。それを先に実行したフィオリーナを責めることなんてできないのでは?」


クイークスが語った話によれば、美形でとても優しい中身私のクイークスに一目惚れをしてどうにかしてフィオリーナを落として自分が次期王妃になってやろうと考えた。クイークスに近づいて話を聞けばクイークスは婚約者を嫌っているようだ。ならば、フィオリーナがルナに嫌がらせをしたのだという事実を作り、貴族内の評価を落としてしまえ。そう考えて夜な夜な計画を練っていた。そして、自分が裏で手を回すよりも早くフィオリーナはその計画通りに自発的に動いてくれる。だから、何も考えずにただ生活していれば良かったのだ。

しかし、ひとつだけ計画通りに動かなかったものもある。それは、強姦に拐われる計画だ。いくら待てどもそれだけは実行してもらえなかったので仕方なく自分で人を雇って自作自演をした。その際のお金は学校後にしていたアルバイトで稼いだと言う。


「それを知っていながらずっと私に優しくしていたのですか?フィオリーナ様を嫌いだと言って油断させていたのですか?」


ルナは唇を噛んでクイークスの真っ黒い雰囲気漂う顔を睨んだ。

つまり、肯定。ルナは可愛い顔をして中身は猛獣だったのか。


「事実確認が不十分なので、とりあえず身の潔白が証明されるまでは地下牢の一番良い部屋に入れておけ」


どこからかやってきた城の兵たちがルナを拘束してどこかへ連れて行った。地下牢、ということは城か。きっと私の知らないうちに王には許可を得ているのだろう。


「嫌なほうの噂はこれで終わりだ、フィオリーナ」


蕩けるような笑顔を向けてくるクイークスに背筋がぞわっと震えた。


「さて、良いほうの噂。それはフィオリーナが狂おしいほどに私を愛してくれていて、ルナ嬢に嫌がらせをしていたということ。さて、何を言いたいのかわかるよね?」


きっと、人を傷つけた罪で国外追放だ。私を嫌っているクイークスならやりかねない。でも、いつかこうなるとわかっていたので恐れはない。


「ええ」


私はキリリとクイークスを真正面からみて頷いた。クイークスはそれをみて満足げに笑うのだった。

お久しぶりになります。待ってくださっていた方がいれば良いなあ、と思いつつ更新です。次の投稿で完結です!

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