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卒業パーティー

3年の学生が卒業する時期が訪れた。クイークスはそのまま私の体に居座って色々とやらかしまくった。世間には、私はクイークスを狂おしい程に愛している、という認識が持たれ、クイークスはルナの事を好いており、私を邪険に扱っているという認識がされていた。


「どうあがこうとも、貴方は私と結婚する運命なのですよ?」


ルナと楽しく女子トークを楽しんでいた時、通り過ぎざまにルナのティーカップをわざと落としてルナのスカートを汚したり、授業の際に私の隣に座ったり。

そろそろうんざりだ。私の体を返してほしい。皇太子の執務は楽しいがやはり激務であることには変わりなく、もともと王妃教育がなされているとはいえ温室育ちの私にとってはきついことだった。

だから、正当な理由をつけて入れ替わりを解消させようと機会を狙っていた。そんな中、丁度良い機会が訪れた。


3年の卒業パーティーの日。

会場に向かおうと思って一応婚約者であるクイークスを迎えに、自宅へと向かった。卒業パーティーのエスコートをするので待っていてほしい、と一週間前に先触れを出していたにもかかわらず、クイークスは私の幼馴染みでクイークスの悪友、現在宰相の息子とつるんでいってしまった。

その知らせを私に長年支えてくれていたメイドから聞いた時、私の顔は般若のようになったという。しかし、何とかそれを抑えて微笑んで馬車に一人戻って学院に向かう。

その途中でルナが歩いて学院に向かうのを見つけた。王宮で保護をしていたが、1ヶ月前に安全が確認されたので家に帰したのだ。

馬車から声をかければルナはちょっとたじろぎつつも挨拶をしてくれた。


「あれ? フィオリーナ様は?」


迎えに行くことを以前から言っていたので馬車にクイークスが乗っていないことにルナは首を傾げた。

私がさっきのことを話し、ため息をつけばルナは怒った顔でクイークスを非難した。


「という事で。一人になってしまったから一緒に卒業パーティーに行ってもらえると嬉しいな」


微笑んで馬車のドアを開けばルナは目を泳がせた。


「え、でも」


微笑みを保ったまま手を伸ばせば躊躇いつつも手を握り締めてくれた。そうしてルナと私は連れ立って卒業パーティーへと向かった。


学院に到着してルナをエスコートすれば道行く人々が何やら囁いていた。


幼い頃はフィオリーナ様を深く愛していたというが、やはり性格があんなになってしまってから愛想を尽かしてしまったんだな。

フィオリーナ様は中身以外は綺麗だからな。婚約者に席が空けば立候補しようかな。

でも、フィオリーナ様がクイークス殿下に興味を持ったと思った時からクイークス殿下がフィオリーナ様に興味をなくすとは、なんと不幸なことだろう。


そんな話が聞こえるが、それは大きな間違いだ。クイークスが私を愛していたことなんてないのだから。精々苛めやすい婚約者という認識だろうし。


卒業パーティーの会場に着き、私は皇太子として挨拶をしてほしいと生徒会長に言われた。かわりばえのない挨拶を済ませたあと、生徒会長にちょっとこの場を借りて言いたいことがあるから良いか、と問うた。生徒会長、私の幼馴染みでクイークスの悪友はあっさり頷いてガヤガヤと煩いパーティー会場を一瞬で静かにさせた。


「この場をお借りすること、まずお詫び申し上げます。このような事をパーティーで言うべきではないと思ってはいますがーー」


ちら、と生徒会長の横に立つクイークスを見た。クイークスはふっと鼻で笑った。大変ムカつく。


「一つ言わせてーー」


くい、とクイークスに腕を引っ張られて私の体は前に傾いだ。そのままクイークスの体は私の体に覆い被さり、ごつんと頭を打ち付ける。頭の後ろが痛み、顔を顰めると目の前にクイークスの顔があった。


「フィオリーナ、この学院には大変喜ばしい噂と喜ばしくない噂が存在するね」


クイークスを起こそうと手を伸ばしたルナを軽くあしらったクイークスは私の腰を掴んで抱き締めた。


「どっちから片付けようか」

体調が優れず、投稿が一時ストップしました。

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