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久々の実家

クイークスを問い質しに実家に向かいたかったがまずはルナの救出が先である。騎士団数名と共に馬で連絡のあった場所に向かう。私自身は剣や馬を習ったことはなかったがクイークスの体が覚えていた。


「ルナ嬢!」


目的地に到着して私はボロ小屋のドアを蹴破った。腰の剣を手に取り、ルナに猿轡をしている男達を牽制しながら騎士にルナの救出をさせる。猿轡を外されたルナは必死に涙を堪えていた。しかし、騎士と私が男を捕えて私がルナを抱きしめると目からポロポロと涙を流して震える手で私を掴んだ。


「クイークス様」


きゅ、と抱きしめられて胸が苦しくなり、ルナをさらに強い力で抱きしめる。

私の乗ってきた馬の前に乗せて王宮まで連れて帰り、身の安全が確保されるまでは王宮で保護することが決まった。

ルナを部屋に案内した私は実家に先触れを出した。今から向かうのでよろしく。要約すればそのような意味の手紙を書いてすぐに向かった。


「クイークス様!」


久々の実家はやはり懐かしく早く入れ替わりが解消しないかと思ってしまう。何度もクイークスに言っているのに「まだその時ではない」なんて言っているから。入れ替わりを解消する方法は既に見つかっていると言っていたのに、なぜ解消してくれないのか。理解に苦しむ。

応接間で待機していたクイークスは口の端を悪そうに上げて微笑んだ。


「来たか」


クイークスはメイド達を応接間から追い出してドアを少しだけ開いた。優雅に紅茶を飲んでいるがその姿が無性に腹が立つ。自分の姿ではあるが。


「何をしているのですか、ルナ嬢は平民とは言え女ですよ?男をけしかけるなんて何を考えているのですか。あと、私の立場を悪くしないでください。入れ替わり解消後に婚約破棄をなさりたいのならば私は抵抗もせずに受けますから」


「ほう、私が婚約破棄を」


「ええ、世に出回っている王宮物語では元からいた婚約者のしでかしてきた悪行を並べ立てて婚約破棄をする断罪が流行っています。クイークス様はそれをなぞらえてこのような行動をとっていらっしゃるのでしょう?」


「断罪を」


「国外追放、修道院に入る等は少々嫌ですのでせめてどこかのお宅に嫁に行かせてください」


「どこかに?」


「はい、そこに愛がなくても良いので」


「なるほど、断罪か。面白い」


良いことを思いついたので帰ってくれ。

そう言ってクイークスは私を追い出した。私は怒りをどこにぶつければ良いのか分からなくなり、小さく唸って王宮に戻った。


それから、卒業シーズンまではクイークスになんの動きもなく、ただただ時間だけが過ぎていった。

あと1、2回で完結です

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