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ヒロインをいじめる婚約者イベント

「ちょっと。殿下に近づき過ぎじゃないかしら?」


それから、クイークスは悪い感じの令嬢系で私の性格を進めていく事にしたようだ。私の姿で人をいじめないで欲しかったので何度も仲裁に入り令嬢方に感謝された。そこに熱っぽい色があった事には気づかなかった事にする。いくら外見が男であるとはいえ、中身は女なので。


そしてその日もクイークスは私と親しくしたいルナをいじめていた。波長があったのか、きつめの顔をした令嬢方を侍らせたクイークスは威圧感が半端ではなかった。怖かった。


「ちょっと。何で貴女が殿下と一緒にお食事をしているの?お昼は私と過ごすと決めているのに」


ヤンデレっぽいのが少々気になるところだ。大丈夫かな。この国の将来の王がヤンデレ気質疑われる人で。


「お言葉ですが!クイークス様はお疲れのようです!連日に渡っての襲撃に精神的にやられているのか、目にクマが……それを労われない貴女はクイークス様に相応しくありません!」


「貴族に向かって何よその言い草は!」


クイークスに取り巻く令嬢の一人が唸る。そして私をチラリと見て尋ねた。


「殿下もそうお思いですよね?身分の低いものが高いものに意見するなど無礼も良いところ」


私に振らないでくれ。


「その考えも大切ではあるね」


ほらみろ、と言いたげな目をルナに向ける令嬢。ルナは信じられない、と言いたげな非難の眼差しを私に向けた。


「でも、学院は自由平等を謳っているし昼食を誰ととろうと私の勝手だよ」


お前、後で覚えておけよ。


そうクイークスの口が動き、鼻を鳴らして去っていった。私ってあんなにふてぶてしかっただろうか……。


「クイークス様」


声を掛けられてルナを見ればちょっと涙を浮かべていた。これがあざと可愛いというやつか。庇護欲をそそられる女とはルナのためにあるのだな、とその時感じた。


「何?」


「あの、クイークス様はフィオリーナ様との婚約を望まれてしたのでしょうか」


うーん、それは私には何ともいえないな。


「何とも言えないね」


そう言えばルナは目を私と合わせて何かを期待するようにじっと覗き込んできた。何だ。


「では、クイークス様はまだ真実の愛を知らないのですね」


「まあ、そういうものだよ。貴族とかそういうのは」


「私は!」


外見と中身が一致していない状況で変に恋愛観を語ってはクイークスに申し訳ないような気がしたので曖昧に濁した発言をしていた。それをルナに遮られ私は目を驚きで大きく見開いた。


「私は!クイークス様のことを!」


「ん?」


不憫に思っているんだよ、とでもいうのか?

そう思ってじっと見つめていればルナは首を振って笑った。


「いいえ、何でもありません。まだ、言うべきではないでしょうし」


なんなんだ、一体。

その様子をクイークスは舌打ちをしそうな顔で見ていたのだった。

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