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プロローグ

安易に始めました。一気に完結目指します

「断罪、というイベントがあると耳にしたことがある」


我が婚約者はとてつもなく険しい顔をして私を睨んでいる。怖すぎて顔が引きっつているであろう。


「今宵、その断罪をしてみようと思う。君のいうところの、『ざまぁ』ってやつを」


真っ黒い笑顔で言い放つ婚約者、この国の皇太子を私はただ見守ることしかできなかった。





「今日から学院が始まるな」


「はい、そうですね」


私の家まで迎えに来た皇太子、クイークスに曖昧な笑みを向ける。


「なんだ、不満そうな顔をしているが」


「滅相もない」


クイークスはとてつもなく綺麗な顔をしている。金髪碧眼で知的な眼鏡を掛けた美青年。幼き頃に結んだ婚約がなければ私はクイークスとこんなに近い距離にいなかっただろう。

一方の私は伯爵家の令嬢ではあるものの、平々凡々な容姿を持つ至ってどこにでも転がっている少女だ。学院でけちょんけちょんにいじめられる未来が見える。お前なんかは皇太子に相応しくない、と言われるに決まっているーー

顔を青くして俯いた私に心配そうな目を向けるクイークス。何か言おうと口を開いた瞬間。

私たちの乗る馬車が大きく傾き、クイークスの頭と私の頭がぶつかった。くらりと目眩がして一瞬世界が暗転する。しかし、すぐに視界は明るくなって隣に座る私の姿を見て安心ーー


ん?


「申し訳ございません!」


御者の声がした。


「大丈夫ですよ」


私の声がすぐに答え、御者がホッとしたように息をついたのが見えた。


ん?


「どうやら入れ替わってしまったようだな」


私がクイークスの口調でそうため息をついた。


「えっと」


私が声を出せばクイークスの低い声が響く。


「仕方ない。このまま学院向かう。幸いな事にクラスは同じだ」


「つまり?」


「入れ替わりが治るまでは皇太子として振る舞え」


足を組み、偉そうに座る私が私に言った。

何がどうなってこうなったのか分からないが、どうやら私の体に殿下の魂が、殿下の体に私の魂が入り込んだようだった。

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