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瀬戸美月 料理教室に通う①

「ごめんなさい、うちではあなたのことはもう面倒見切れないわ」

瀬戸さくらは、自分の長女に告げる。

「見捨てないで、お母さん・・」

娘の瀬戸美月は涙を流しながら、母親に言う。

「もう、無理よ・・あなたが・・あなたが、こんな娘だったなんて・・」

母親は突き放すように言う。

「お母さん・・助けて・・」

ボロボロと涙を流す娘。

「美月、あなた・・・もう、あきらめて・・・」













「初心者向けの、料理教室を探して通いなさい」




キッチンのまな板の上には、みじん切りにしようとして失敗した玉ねぎ。

みじん切り? にしては1センチ角くらいでバラバラの大きさ。

まな板からこぼれ落ちて、床にまで玉ねぎが散乱している。

そもそも、包丁を持つ手も危なっかしい。

というか、いつケガしてもおかしくない。


玉ねぎが目に染みて涙を流す娘に、母親は冷たく言った。

「美月、あなた学校で家庭科の授業何してたの?」

「家庭科の授業?  あはは・・」

美月にとって、思い出したくない黒歴史である。

中学生の時、美月はボッチだったのでみんなが作るのを眺めているだけだった。

高校の時は、親友のミキがなんでもやってくれた。


瀬戸さくらはため息をついた。

「完全に、子育てを失敗したわね」

「そ・・そんなこと言わないでよ・・」

「料理は、初心者向けの料理教室に通って教えてもらいなさい。

 家では、掃除・洗濯とかをやってもらうから。」

「はい・・・」

「ところで、美月。洗濯ってできるの?」

「いやだなぁ、お母さん。全自動洗濯機だよ。できないはずないじゃない」

嘘である。

美月が以前洗濯したのは小学生の時。その時は洗剤を入れすぎて大変なことになった。

「ならいいけど・・・明日、洗濯やってもっらうからね。」

「・・・」

「返事は?」

「・・・はあい」

「今日は、まず料理教室を探しましょう。」

「・・・」

「返事は?」

「お・・・怒られたりしない?」



はぁ・・・

瀬戸さくらは、盛大な・・今日すでに何十回目かのため息をついた。



うちの長女は、24歳にもなってようやく彼氏ができたとのこと。

だが、うちの長女はポンコツ娘。このチャンスを逃すと二度と結婚できないのではないだろうか。

瀬戸さくらは、心から思った。

”彼氏、早いところこの娘もらってくれないかしら”

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