二人目 前編
こちらは3作目の、「二人目 前編」となります。
まだ、一人目を読んでいない方は、是非そちらを読んでください!
二人目
俺の名前は悠二。
とある会社に勤めている、ごく一般的な会社員だ。
今の時代、就職が困難と言われ続けており、藁にもすがるような思いで就職した会社も、そこは世で言う「ブラック企業」だったのだ。
上司から部下全員への当たりはとても強く、怒声が鳴り響くのは日常茶飯事だ。給料は安い、休みは少ない、残業は当たり前......この会社には労働基準法なんて関係ない。
そんな日々が続いていくのだから、段々と社員の目は曇り、ストレスが溜まり、体調も悪くなる。
「負」はどんどんと溜まる一方である。
そんな俺悠二は、遂に辞職を決意した。
昨夜は辞職願を書く時間を作るために、会社を早く退勤した。上司からはとても冷たい目で見られたが、今日辞めるのだから関係の無い話だろう。
その日はいつもより早く家を出た。さっさと辞職願を上司に叩きつけ、午後は久しぶりに実家に帰ってゆっくりしようと考えたのである。
家を出て、少し歩いたところで少し困っている様子の老婆と出会った。話を聞いてみると、どうやら道に迷っているらしい。今日は早めに家を出たということなので、時間に余裕はある。しかし、辞職願を一刻も早く出したい......。2つのどちらかを優先するかで俺は迷った。
最終的な自分の判断は、いい事をしてから辞職をすれば、さぞかし気分が良くなるだろうという考えになったのである。老婆が迷っていた道はそんなに入り組んではいないものの、老婆にとってはとても分かりづらいのであろう。自分もこんなことになってしまうのだろうか、という不安を思い浮かべながら、老婆を案内した。
目的地に老婆を案内し終わったところで俺は驚いた......。
【二人目 前編 終】後編に続く
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