8/8
08 心強い仲間と共に
再び私達は、新たな魔王を討伐するために、魔王城へと向かった。
魔王の座に座る勇者様は、私達の姿を見て悔しそうな顔をする。
「お前が一番俺の敵として脅威だった。やはりこうなったか」
私はどうして、こんな事をするのか問いかけた。
「どうして変わってしまったんですか？ 勇者様。人々の平和のために剣を振るっていた貴方は一体どこへいってしまわれたのですか？」
「お前たちの語る勇者などどこにもいない。人類の希望など、とっくに消えたのだ。滅びるがいい」
私達の話を聞かない勇者様とは戦うしかありませんでした。
だけど、今まで頼もしい味方であった勇者様に剣を向けるのは戸惑ってしまいます。
それは私だけでなく皆も同じでした。
何十人・何百品という人達が倒れていきます。
これ以上犠牲を出してはいけない。
「あの人はもう勇者様ではありません。私達の知る勇者様は消えてしまったのです。目の前にいる彼は魔王なのです」
だからそう言って、仲間達を叱咤激励した。
そして私は覚悟を決めて、聖女の力を解放。
悪しき魔王を浄化するために、魔力を使いました。
仲間殺しの汚名は、今まで築き上げてきた聖女の名前に泥をぬるかもしれない。
それでも、戦いを終わらせたかったのです。
倒れた勇者は、魔力を使い果たして立っているのもやっとの私の様子を見て嗤います。
「魔王にすら慈悲を施す、輝かしい聖女。一点の穢れもない真っ白な聖女。ああ、やっと。汚れてくれたな」
「私は汚れてなどいません。貴方のように歩くべき道を間違える事もないでしょう」
私はたくさんの味方の顔を見ます。
「だって、私にはこんなにも心強い仲間達がいるから、平気なんです」
かつて勇者様だった魔王は、何か眩しい物を見るような顔をして、目を閉じました。
