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02 生死の境をさまよう聖女
私はそれからどうやって逃げたのか分からない。
どこかで倒れて、意識を失った事は覚えている。
それから三日三晩眠り続けたらしい。
怪我がひどくて、出血も多量。
おまけに傷口から入った菌が病気を発症させて、ひどい有様になった。
それだけではなく、勇者様の攻撃に付加されていた呪いによって、精神的なダメージもひどかった。
魔王となった勇者様が世界を破滅に導くという悪夢を見ながら、私は生死の境をさまようことになった。
けれど峠を越えて持ち直した私は、三日後に目を覚ます事になった。
「聖女様っ! 目が覚めたんだねっ!」
「たいしょー、大丈夫かっ! 女たいしょーが起きたぞーっ!」
「よく頑張った。気分はどうだい? 悪い所は?」
目を開けた私を覗き込んでいるのは、勇者様以外の仲間の姿だった。