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神剣の祝福  作者: 卯月 未
第二章 家族
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進路相談

5月20日 進路相談室 龍造寺薊の場合


俺は同盟の勉強会を終えて、目標であった中間テストも終わり今に至っている。

今というのは、高校卒業を終えた後の進路などを聞かれる、俗に言う進路相談というやつを受けている。

何を聞かれるのかが予測しにくいのがこの進路相談というやつだ。だからか知らないが俺はこの進路相談というやつが好きではない。


「えーとじゃあ始まるぞー龍造寺。それと下を見過ぎじゃないのか?緊張しているのか?」


「ああ、すみません。あまり先生と一対一で話す状況に慣れてなくて。でも、問題ありません」


「そうか。じゃあまずは形式的な質問からいくぞ。

龍造寺は卒業後の進路はどうするつもりだ?」


まぁ最初はこの質問だろうな…。だがこの質問はくるのが分かっていたので、しっかり答えは決めてある。


「俺は高校卒業したら、公務員になろうかなと思っています」


「そうか。龍造寺の成績なら大学にも行けるし、専門学校も行けると思うんだが行くつもりはないのか?」


「そうですね、今の所行くつもりはありません。

家族にお金の面で迷惑はかけられませんから」


「そうか、そこまで決意があるなら何も言うまいが、まだ時間はあるし充分迷ってくれよ」


「はい、他の進路も一応考えてみようかなとは思います」


「うん。じゃあ話題を変えようか。部活は最近どうだ?」


「そうですね…自分でも上達を感じますし。先輩達から学べることも学べた自信はあります。先輩方が

引退してからも切磋琢磨出来る仲間もいるので、

これからもあまり心配していません」


「そうか、部活も調子が良さそうでよかったよ。

そういえば、テスト前に珍しいメンバーで勉強会をしていたらしいな」


これが予測出来てなかった質問というやつだ。

まさか担任の森先生が参加者ではないと思うので、

隠す必要はないだろう。


「はい。隣のクラスの大友と松永さん、そして一年の佐竹ですね。同じ趣味を持っていて、たまたま知り合ったんですよ」


「そうだったのか。まぁ龍造寺はよくみんなと会話しているからな知り合いも多いのも納得だな」


その後、俺の進路相談はときどき脱線しながらも無事に終わることになった。


5月20日 進路相談室 竹中龍司の場合


「よここそ竹中。さっそくだけど最近の調子はどうだ?最近ぼーとしていることが多い気がしてな」


「そうなんですよ。最近なんかぼーとすることが多いんですよね。まぁそこまで支障は無いですから気にしてませんけど」


「本人が気にしてないならいいんだが…無理はするなよ」


「分かってますよ。それに俺これでも体力に自信はありますので大丈夫です」


「そうだったな。それで卒業後の進路だけどお前はどうするつもりだ?」


「う〜ん。特に決めて無いんですよね…。しいて言えば地元に残りたい思いもあるんで、それを軸に考えていければいいなと思ってます」


「まぁ急いで決めると言っている訳ではないからな。竹中は運動が得意なんだからそれを生かすのも良いと思うがな」


「確かに運動には自信がありますけど…。なんせ俺って片目なんでそれでハンデがあるんで、なかなかね」


「そうだったな。つい、すまない」


「いや、大丈夫ですよ。人にいちいち気にされてたらきりがないですから」


「…それにしても竹中が地元に残るってことは意外だな。地元が好きなのか?」


「そういうわけではないんですけど‥。ここの人々と関わるのが楽しいからですね」


「そうか。私も地元で良い学校や仕事を探して置くから、それも参考にしてくれ」


「わざわざ、ありがとうございます」


5月21日 進路相談室 大友真の場合


「で、大友さっそくだが、卒業後だがどんな進路にする予定なんだ?」


「僕は剣道が出来る大学に行きたいですね。それでいて自分の学力に合っている大学がいいですね」


実際進路なんてあまり考えてことなんて無いんだよな。今は刃奪戦で忙しくてそれどころじゃないし、

願いは案外、安定した生活とかいいかもしれないな。


「そうだな、お前の剣道の実力は知っているが、剣道で食べていく進路とかは考えていないのか」


自分でも分かっている。人よりは剣道の才能はあるし、昔からやってきたからそんな夢が無いわけではない。でも僕は自分より強いやつを知ってる。だからあいつに勝つまではその夢を抱くつもりはない。


「いや、剣道は少し頑張る程度が僕には似合っているので、大学を出て安定した職業に就けたら良いなと思ってますね」


「そうか、まぁお前の成績なら心配ないとは思うがな。それに大友は真面目だからどんな仕事でも出来そうだな」


「買い被りすぎですよ。僕なんてまだまだ未熟ですから」


「遠慮することはないぞ。よし、こんなもんかな。

大友、帰っていいぞ」


「はい、ありがとうございました」


これを機に多少は自分の進路についても真面目に考えてみようかな。いや、でも、まずは参加者を倒す方を優先にした方がいいよな。


5月21日 進路相談室 松永結衣の場合


私は進路相談が苦手だと思う。なぜならば、私は人生で一度も進路相談を受けたことがないからだ。

ただ将来のことを聞くだけだから警戒する必要はないと思う。多分。


「やっほー先生。進路相談を受けに来ましたよ」


「おいおい松永、そんなテンションで進路相談で来るやつなんていないぞ」


「ごめん、ごめんなさい。すこし緊張してたのでちょっと紛らす為に」


「まぁ別にいいが、じゃあ気を取り直して松永は卒業後どうするつもりなんだ?」


「う〜ん、特に考えてないんですよね。なんか普通の生活が出来ればな〜って感じですかね」


「普通の生活って、漠然としすぎじゃないか?もっとどこかの大学とか専門学校に行きたいとか、もしくは就職したいとかないのか?」


「特に無いんですよね。将来のこと考えてもそうなるとは限らないですから」


「確かにそうだが、目標を持つだけでも大事だと思うぞ。松永は何でも器用にこなすんだから」


確かに自分でも何でも器用に出来る自信はある。なぜならば、昔から何でも出来るように努力だけはしてきたからだ。


「そうですね。確かに目標を持つことは大事ですね。ゆっくり考えたいと思います」


う〜ん目標か。普通の生活をしたいからな。案外お嫁さんになりとかでもいいかな。平和そうだし。


「ゆっくり考えればいいよ。まぁこれぐらいかな、

終わりだよ。帰ってもいいよ」


「はーいありがとうございました。」


5月20日 進路相談室 北条孝太郎の場合


俺はこの進路相談というものが好きではない。

将来のことを決めるやつがほとんどで、それに向かって自分自身で何かをしているのに、わざわざ聞く必要があるのだろうか。まぁ文句をいっていても仕方ないので、覚悟を決めて行くか。


「失礼します」


「おいおい、そんな堅苦しくなくてもいいぞ、もっとゆるくいこうぜ」


「いえいえ、学級委員としてそういう訳にはいきませんよ」


「北条ならそう言うと思っていたけど、とりあえず、卒業後どうするんだ?」


「俺は親父の会社を継ぐために良い大学の経営学部に入ろうと思っています」


「北条の親父さんは大企業の社長さんだしな。良いじゃないのか?北条の成績なら文句のつけようもないし」


「そうですね。親父の後を継ぐためだけにこれまで頑張ってきましたから。手なんて抜いてられませんよ」


「そっか、この調子で頑張ってくれ。北条って親父さんのこと尊敬しているのか?」


「もちろんですよ。会社のために身を粉にして働いて。その上俺や母さんにも優しくしてくれた。

少し無感情な所がありますけど、理想の親父です」


その後俺は担任と話を少し続けて終わった。

終わった後の感想だが、案外悪くないなとは思った。自分の決意を声に出して決意を固くすることが出来るから。


5月27日 バー酒の溜まりどころ 最上帝の場合


俺と喜叶さんは今日も店の開店まで暇をしていた。

二人で昼の内に出来る店のことが出来れば、開店前まで暇になってしまう。大体そういう時は店で雑談をするか、気分転換に二人で出かけるのが通例になっていた。


「そういえばよ帝、お前この戦いが終わって生き残っていたら、どうするんだ?」


「終わったらか…。あんまり考えてなかったな。行くあてもないし」


「素直に言ったらどうだ帝。『終わってからもここに喜叶さんと一緒にいたいです〜』って。俺は別にどっちでもいいけどな」


「からかったんですか!喜叶さんだって素直に一緒にいたいって言ってくれたらいいのに。寝る時は『俺と一緒に寝てくれないのか?』とか言って素直に言ってくるくせに」


「寝る前はノーカンだ、ノーカン。それよりとどうなんだよ答えは?終わっても一緒に居てくれるのか?」


本当に喜叶さんのこういう所はずるいと思う。

いつもは男勝りでからかったりしてくるのに、寝る前になると、いつも大人しい感じになって。年下に甘えてくる。それが意識的にしてないって所もほんとずるいと思う。でもそんな所も魅力的だな思えてくる。


「ああ、俺も喜叶さんと一緒にいたいですよ。ずっと一緒に居たいとも思ってますよ」


「ハハ、プロポーズか?でも俺と帝って付き合ってもいないしな〜。良い男だとは思うけどな」


「もっと時間をかけてお互いを知っていこうぜ。

その時に俺と帝の関係を俺の口から言ってやるよ」


ついつい勢いに任せて言ってしまった言葉だったが、嫌われていないようでよかった。でも確かに俺と喜叶さんはどういう関係なんだろうか?友達って感じでもないし、お互いに好きと言った恋人でもない。一緒に寝たり抱き合ったりするだけでキスもしてないから愛人な訳でもない。

確かに気になる。まぁ今聞いても答えてくれないし言ってくれるその時までゆっくり待つか。

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