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大人野球   作者: 風
1/1

「grown-up baseball」

 大きな川に隣接する、この街は古くは要人や偉人と言われる方々の別荘地として栄えて

 現在も駅から少し離れれば、大きな松の木が民家の塀や市道をまたぎ佇んでいる。

 私がこの街に住むようになったのは就職して一人暮らしをする際に快速電車が止まる事や駅前を過ぎれば少しゆっくりとした空気が流れていて、少し足をのばせば河川敷へも行ける事など

 腰を据えて住むにはとても良い環境と思えたからでした。


 月日は流れ、この街で妻と出会い結婚をし子供を授かり夫婦で子育てや仕事にと日々の暮らしを

送り長男が小学三年生になり少しずつ学校にも馴染んで来た頃でした。

 「お父さん、野球を始めたい」少し上ずった声で息子が話しかけて来た。

 その一言を聞いた僕は、まさに鳩が豆鉄砲をくらった時そのものでした。

 私自身に少年野球の経験が無い事や少年時代から草野球すら友人とはして来ませんでした

 自身の少年期はアニメの影響がとても凄まじく毎週木曜日にはテレビに被りつき、見終わると翌週放送されるのが楽しみで仕方の無いサッカー番組がとても人気があり私自身も小学生からサッカー部に入り中学卒業まで幽霊部員なが経験していた事もあり息子も小学校一年生から地域のサッカークラブへ入り週末になると親子でグラウンドへ向かっていました。

 もちろん親の趣味や出来る事を押し付けるつもりは無かったのですが「野球」の言葉にあまりにも衝撃を受けてしまったのです。


 息子は続け様に「今週末に体験会があるんだって」

「たかしが入っているから誘われたんだ」と子供ながらに真剣な表情で伝えて来ました。

 たかし君は一年生、二年生の時のクラスメイトで入学した当初は毎日のようにケンカをしていたのですが不思議なもので今では息子がとても信頼している友達になります

 親の目から見ても彼はスポーツ刈りで服装も少しヤンチャなイメージはありますが、時には息子の事を助けてくれる真っ直ぐな性格の持ち主だなと印象がありました。

 

 少し間を開けて僕は「わかった、体験会に行っても良いよ。 でもパパは今週末はサッカーの試合で審判をしなければならないのでママに一緒に行ってもらいなさい」と伝えると笑顔で大きく頷き私から離れて行った

 

「うーん、野球かぁ」ポツリと呟き頭の中で想像をしてみた。

 本人がやりたい事をやらせる事が一番大事なのは分かっているが……

 本音を言うとサッカーのコーチ、他の児童の親御さんと人間関係は出来ていた、審判や簡単な練習のお手伝いも行って来た……

 また最初から少年野球の世界で人間関係を築いていく事に不安、いや面倒くささが頭の大きくは無いが片隅から消えていかない、ぼんやりと残っている

 

 少年野球のイメージは朝から夕方まで練習があり、親も早くからグラウンドでお手伝いをしなければいけない等あまり良いイメージがなかった

 実際に公園に隣接している野球場で監督なのかコーチなのか分からないが厳しい言葉で子供達を指導しているのを見た事があり、こんな言葉を使う人間の元に子供を預けるのはおかしいと思った事が過去にあった

 

 釈然としないまま、その日はそれ以上は考えない事にした。

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