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Rad des Fatalität~希望の風~  作者: 甘藍 玉菜
一章【夢幻空疎の楽園聖都市】前篇
7/42

第二話⦅-深い海の殺戮者-⦆1/5

新キャラ続々登場

そしてさらに深まるゲイルのお母さんの謎





「おーうアイギス、ここかぁ?迷子の迷子の駒鳥ちゃんがいるってのは」

「イリア、お前のその軽い態度は例え知り合いであったとしても、改めるべきだと私はそう思うが?」

「・・・誰?」



ヨロヨロと力無く立ち上がった僕に、二人の男が近付いてきた。

うん、前話はほんっっとうに疲れたよ。

それで何ですか?今度は新キャラですか。

どれだけ僕に心労をかけさせるんだこの作者は。

しかもあの人達、一癖二癖どころじゃないような人達に見えるんですけど、気のせいですかそうですか。


作者許すまじマジシスベシ。


さて。

近付いてきたこの二人は、それなりに背が高い。

一人は僕のことを駒鳥と呼んだ男。

あーもー呼び方とか突っ込まない。

どうせ、この店主が教えたか、なにかしたに決まってる絶対。


ともかくこの、イリアと呼ばれたこの男。

180㎝はゆうに超えるぐらいデカい。

そして線はほっそりとしている。細マッチョ?

上は白いチュニック、肩が露出しているタイプ。

何か露出した所から、赤い刺青が見えるんですけどボクハナニモミテナイヨ。

下は濃紺のジーンズのようなものを履いている。あ、あの黒いブーツはかっこいい。

まるで氷を思わせるような透き通った青い髪と、跳ねるような感じのウルフカットの髪の合間からは、髪の色よりは少し濃いめの。しかしながらこれもまた氷を思わせるような、青い狼のような耳が覗いている。

ちなみに尻尾は見えない。


宝石のような桔梗色の瞳は、まるで新しい玩具でも見つけた猟犬のような、そんな感じの愉快そうな面白そうな楽しそうな感じで。目を細めながらこちらを眺めている。


いや・・・・・監視している?


一見人懐っこそうな感じだが、たぶんこの中で一番油断ならない人だと思う。本能的な直感だけど。

たとえ、どこぞのヒーローものとかで見るような、青く長いマフラーを巻いていたとしても、だ。





もう一人は少し低め、170ぐらい。

いやそれでも僕よりかは、充分に背が高いんだけど。


黒いシャツに黒いズボンの全身黒ずくめの格好の男。

服の上からでもわかるぐらいの、ガタイのいい体つきだ。

薄い金色の髪はオールバックでまとめられている。

随分と厳めしめな、厳格な感じの顔立ちだ。それに神経質そう。よくよく見れば、髪の毛1本たりとも耳にかかってない。

腰のあたりまで伸びている後ろ髪は。

んー、どちらかというと襟足に近いかな。

長い髪は、赤い結い紐でまとめられている。


海のような青い瞳は、猟犬のような男を咎めるかの如く睨んでいた。

うーん、僕ならあんな感じに睨まれたら普通に泣きそう。



っていうか、店主の名前アイギスさんっていうのか。



「それ今更過ぎじゃね?」

「え?」


何故今更再び驚いたのか。

それは、今聞こえた声は、変声期を通したみたいな声では無く何一ついじっていない、まさに本人の声だったからだ。


中性的、というよりかは女性に近い高い声。

でもやっぱりちょっとチャラい。

フードを外す気配がないのは少し残念だが。


そんなこんなで考えていると、厳格そうな人が話しかけてきた。


「失礼。それで、君は一体?」

「えーと、僕はゲイル・ヴェントって言います。あの実は先程財布を掏られたみたいで・・・」



そこまで言うと急に、イリアさんが厳格そうな人のシャツを、ちょっと乱暴に引っ張って連れていった。

そしてちょこっと離れたところで、何やらヒソヒソと話し始める。


ナニコレ苛め?

ちなみに会話は聞こえる、ダッテボク人外ダシ。





(以下二人によるヒソヒソ話)

「おいおいクランさんよぉ、アイツ今ヴェントって言ったよな?俺の聞き間違いじゃねーよな」

「ああ、確かにそう言ったな・・・・・だがまさか“あの”ヴェントなわけがないだろう。もしもそうだとしたら、世の中狭すぎる」

「だよなぁ・・・」


“あの”ヴェント?あのって一体何だ?

疑問符を浮かべていたら、イリアさんがこちらに顔を向けて話し掛けてきた。


「おーい坊主」 

「え、あ、はい。何ですか?」

「おめーの母ちゃんの名前は、まさかスカーシャとかって言わねーよなぁ?いや言わねーか、ワリィな今の質問は忘れて・・・」



なんでこの人、僕の“母さん”の名前を知っているんだろうか。









「はい。うちの母は確かに、スカーシャ・テンペスト・ヴェントといいますが?」

「「なにぃ!?」」


あ、ハモった。



「ま、まさかやっぱりあの“暴風”スカーシャ師匠・・・の子供だ、と?唐突に風呂場に乱入しては半殺し寸前までギチギチに締め上げられたり、教え子を投げ飛ばして山を三つも半壊させたあの・・・・・・・てか結婚できたのかよあのババァ、そっちの方が驚きだぜ」

「脇腹が・・・蹴り飛ばされた時の脇腹の傷が・・・」

「おい落ち着けクラン!お前の傷はもう塞がってる!!」


母さんの名前を聞いた途端に、二人が一瞬で僕から距離を取る・・・・ってかもの凄い勢いで怯えだした。



・・・母さん、この二人にマジでなにしたんだよ。





ってかイリアさん。

さり気に母さんを、サラリとババァって呼んだなこの命知らずめ。




「あーあ、ほんっっと見てて飽きないよねぇこのコンビ。草生えるわぁぷぎゃめしうま」



ニヤニヤしながら店主――アイギスさんはそう言った。

てか僕はこの人に、さん付けとかしたくないんだけど凄まじく。




・・・・・・・あ、そういえばさっき、ルーンストーンは占いも良しって。



「もしかしてアイギスさん・・・貴方、僕の母が何処の誰で、そして僕が何時この島に来て、どの場所のどのタイミングで財布を掏られて、そして母とトラウマ的な方面で面識のあるあの二人がこの島に来ることを・・・知ってたんですか?」

「さーてね、企業秘密だよ」


いや絶対わかってただろ。

マジデナニモンナンダヨコノヒトマジデコワイ。



「あークッソ、忘れてたわ。そいやぁオメーはそれなりの腕の占い師でもあったんだったっけかぁ・・・あーーーーっしょうがねえなぁったくよぉ。おいアイギス、この坊主の財布を掏ったのは“ロード”の連中で間違いないんだな?」

「そうだよぉ、じゃなきゃわざわざ“君達”を呼ばないよぉ」

「だろうなぁ・・・おい、ちぃと待ってろ坊主。直ぐに終わらせて戻って来るからよ。んじゃあ、ちょっくら行ってくるぜクラン」

「あ、ああ。わかった行って来い、迅速にな」



そういうと、イリアさんは人込みに紛れてながら行ってしまった。

クランさん?は、まだまだ心理的ダメージが回復しないみたいだ。




「・・・これ、僕が着いて行かなくて良かったのかな?」

「こういう展開やそういうのって、大体のラノベとかのド定番だけどさぁ・・・お兄さん一般人じゃーん。普通に考えて足手纏いでしかないでしょ?ココはプロにでも任せておけば?」

「もう突っ込まない・・・・・・ん、今プロって言った?」

「言ったよぉ。今財布を取り返しに行った山犬みたいな人が、ターフェルンデ騎士団・ワイバーン部隊隊長のイリア・ザミュエル。んーで、そこでSAN値直葬中不定の狂気まであと一歩なのが、霧の国近衛兵・王都支部隊隊長のクラン・ク―・フランだよぉ」



あーあ犬って言っちゃったよ、僕が我慢してたことをサラリと言いましたよこの人。

まさかとは思っていたが、想像していたよりもかなりトップの人物だったわ二人共・・・・・・



僕もSAN値直葬しかけたのは言うまでもなく、思い出したくもない。

そんな二人に、母さんは一体何をしたんだよ・・・



とりあえず、未だにダメージから立ち直れないでいるクランさんに話しかける事にする。



「あの・・・大丈夫ですか?」

「あ、ああすまないな。少し昔の事を思い出してしまってね・・・うぐ」


うーん、滅茶苦茶顔色が悪い。最早土気色してる。


「母とは、お知り合いなんですか?」

「知り合い、というよりは、昔若い頃に自分と・・・・・・君の財布を取り戻しに行った、あの男と共に弟子入りをしていた時があって・・・」

「え・・・」

「とても強い御方ではあったんだが、かなりスパルタでね。いきなり休憩中に不意打ちの如く現れては、修業だ何だと本気で殺されそうになったり。下着一枚で火山地帯に連れて行かれたり。真冬の雪山で裸、しかも武器は箸でドラゴン退治とか・・・ははは、ほんとマジで死ぬかと思った」

「えー・・・なんかご愁傷様です」


何だろう、この人は自分と同じニオイがする。

てか母さん・・・マジで凄い人だったんだな。


あと火山地帯に下着一枚とか雪山に裸で、しかも武器が箸でドラゴン退治とか・・・殺す気ですか?

あんまりの内容に思わず遠くを見詰めていると、クランさんはコホンと咳払いをした。




「だが。まあ今の自分がこうしていられるのは、君のお母さんのおかげでもある。かなり厳しかったが・・・それに彼女が体当たりで色々と叩き込んでくれだからこそ、今もこうして生きていられる・・・正直何度も死にかけたけど。だが恨みはしていない。むしろ感謝しているし、尊敬もしている。誇っていい、君のお母さんはとても素晴らしいお人だ」

「ありがとう御座います、クランさん」


身内を褒められるのって、意外とこそばゆい。


それに僕はもう突っ込みは放棄した。








ちなみにその後、クランさんと話をしていると。

白いチュニックを、誰ともわからぬ返り血で真っ赤にしたイリアさんが財布を片手に戻ってきて・・・・・・



クランさんは、今度こそ、ぶっ倒れた。






「ハンターは一般人に手を出しちゃダメなんじゃ・・・」

「モンスター用の武器も防具も、着けてないし、持ってないからセーフセーフ」

「えぇー・・・ってかクランさん大丈夫ですか?」

「あ、後始末・・・始末書・・・」

「全っっ然駄目じゃないですか!」

「やっちゃったぜ」




不穏なタイトルで始まりました第二話。

厳しい修行には、なにか意味があるんだと思います(多分)



余談ですかハーピー種やセイレーン種の女性は皆ひんぬーです。

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