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Rad des Fatalität~希望の風~  作者: 甘藍 玉菜
一章【夢幻空疎の楽園聖都市】前篇
6/42

4/4




さて・・・

前回はハンターについての説明を大雑把にしたと思うが、今回は、この世界を説明する上でもう一つ大事なこと。

魔力について説明しようと思う


まあ、船漕いでいる間暇だしねぶっちゃけ。

メタいって?ほっとけ。



魔力とは、霧の魔女の教え曰くはーーー



忘れていた。

霧の魔女っていうのは、昔の大戦で活躍したかなり凄い人の事なんだけど。偉人っていうか英雄っていうか。

とにかく、その霧の魔女が言うには。


「この世界に存在するすべてのものに力がある」ということ。

本当はもっと小難しい説明なんだけど、わかりやすく略する。


つまり、僕たちのような人達は勿論。

ドラゴンやワイバーンなどのモンスターや、普通の空を飛んでいる鳥や海を泳いでいる魚。

口に入る野菜や果物や体に悪影響を及ぼす毒草。

そこいらに転がっている石等々etc・・・


兎に角この世界に存在するすべてのものには、魔力という力があるらしい。力の量は、流石にすべて違うけれども。


これらの魔力は、基本的には普段目には見えない。

だけれども、この魔力は僕達の生活になくてはならないものなのだ。



たとえば、よくゲームとかであると思うが。まあゲームで例えるのもあれだが。

食事をすると、様々な様々な効果が得られる・・・というものがあると思う。


特に一狩り行こうぜ系のあれとかそれとか・・・


先ほども言った通り、口に入る野菜や果物、食用として捌かれる肉などにも魔力はあるわけで。

つまりそういった力の込められた食事を摂れば、たとえゲームのような効果は得られなくても簡単な疲労回復とか、安眠とかとかそういった効果が得られるのだ。



そうだな、僕が母さんと今朝作った朝食もいい例だ。

僕と母さんの「今日も家族が一日健康でいられるように」そういう思いが魔力と共に込められた朝食は、今日一日僕たち家族を少しでも健やかに健康にと導いてくれる。

“手当”然り、こういう単純なものが意外と効果が出やすいそうだ。

更に母さんは強い魔力を持っていて、何より僕よりコントロールが上手いので、僕は朝から絶好調でこうやって仕事ができる。


そしてこれはつまり、かなり魔力に精錬された料理人が調理すれば、もっと高い効果が得られると言うことにも繫がる。

生憎ながら、こんな片田舎にそこまでの腕の料理人はいないんだけれども。


王都には凄腕の・・・そういう世界大会とかで優勝を果たした人や、王室御用達の称号をもらった人達がいるらしい。

母さん達を連れて、いつか一緒に行ってみたいなぁ・・・

特に、銀の雫という所が穴場らしい。聞いた話。



さて、話を戻そう。

察した人もいるかもしれないが、この魔力は料理に限らず、服や道具、薬類。

それでこそ鎧甲冑や刀剣類にも同じことが言える。

更にもっと広く言えば。


畑・養殖・牧場・製糸等々・・・


これ言うとかなりキリがなくなるが、まあつまりそういうことだ。



そしてこの魔力、さらに洗練されれば五つの属性に分けられる、らしい。

まあ、僕のような人間以外の他種族は、覚えるのが簡単なんだけどね。

息をして瞬きして・・・それと同じ。

魚が水中でエラ呼吸を必要とするように、僕たち他種族はそれぞれの属性を伴った魔力を必要とすることで、生きていくことが出来るのだ。




でもそれはつまり、言い方を変えれば僕達は、人間より魔力に頼りきりだともいえる。

ひょっとしたら、ある意味生きていく中で属性の魔力をあまり必要としない人間のほうが、生きるということに強いのかも、しれない。



そしてこの属性魔力には、得意属性というものがある。

得意といっても、要は一番覚えやすい真っ先に開花しやすい属性のことだ。


属性魔力は。

火・水・雷・土・風の五つ。

勿論この並びにも理由はある。


火は水に弱く、水は雷に弱く、雷は土に弱く、土は風に弱く、風は火に弱い。

火は水によって消され、水は雷を通し、雷は土を通らず、土は風に飛ばされ、風は火を強くする。


そして、これらの得意属性魔力をさらに強化、つまりは鍛えるとさらに属性の幅が広くなる。

とはいえ、この幅は無限の可能性があるので、あくまでも一例だけ紹介するとしよう。



火 爆発等

水 氷・傷の治癒等

雷 光等(浄化とかの光属性ではなく、ライトの灯りとかの方)

土 草木・鉱物等

風 竜巻・かまいたち等



雪国等に住んでいる種族達は・・・ジャックフロストとか雪女系とか。

彼らは水の段階を吹っ飛ばして、いきなり氷とかができるそうだ。

ちなみに僕はセイレーンの血が混ざっているため、覚えやすいのは水か風。そして真っ先に覚えたのは風だった。


母さんは火・・・え、なんで火?


わが母親ながら本当に謎だ。そして水も風も使える。

それにしても真っ先に覚えたのが火って・・・





再び脱線したので話を戻そう。

僕のこの風の能力は、意外と便利なもので。


例えば転んだとき。

地面とキスをする前に風が体を覆い、防具のような盾のような状態となり、クッションになってくれる。


次に泳いでいるとき。

足に力を集中すれば、モーターボートのように早く泳ぐことが出来る。


勿論こんな感じに、船に風を送って速く走ることもできる。どうやら僕のつくり出す風は、渦を巻いた状態で現れるようだ。


さて、どうやらもうそろそろ凪の島に到着する様子。


この凪の島の特長は、遠目から見ても分かる白をメインとした旧市街の街並みだろうか。


・・・・あるかな、センニンナシ。

朝からナシばっかりだって?

しょうがないじゃん好きなんだから。








──────────────


「え?売り切れ!?」

「すまないねぇ、ここのところカルカロクレスの被害が多くって、商船がこっちまで入ってこないのよ・・・」

「えぇー・・・」


白い屋根のテントの下で、大小様々な果物が山のように籠にのせられて、溢れんばかりに階段のような台の上に並べられている。

籠にも乗りきれなかった果物は、木箱の中に山のように摘まれて石畳の道に置かれている。 


そんな果物屋の店主のおばさんは、申し訳なさそうに僕にそう言った。 


まさかのここでも売り切れ、畜生鮫野郎畜生。

いや、もしかしたら雌もいるかもしれないから、野郎と言うのはやめておこう、うん。


しかしこれで果物屋、通算三件目。

どの店も全て売り切れという、なんとも救いのない現実。


それにしても、いくら魔力の込められたご飯を食べて元気があるといっても。さすがにこうも売り切れ連続で好物が食べられない日々が続くと、いろいろとテンションが下がるわけで・・・・・・・



あーあ、もうマジでサメ共ゆるさーーーん!


まあナシ買えなかった分のお金がちょっと浮いたし、なんかちび達にでもお土産でも買うとするか。

合流時間までは、まだあと2時間はあるしね。


え、フラグ?何が?










ここは凪の島のメインストリート、イビサ通り。

百年以上昔から変わらない、太陽に映える白く眩しく美しい旧市街の街並みは、この島の中心地に位置している。

通りに面した建物のベランダやテラス、壁からは、赤い小さな花が植えられた鉢が吊されている。

モザイク模様の石畳には、ゴミ一つとして落ちてはいない。


このイビサ通りは、本来レストランや土産屋をメインとした建物の並ぶ通りなのだが、早朝5時から昼の12時まで、ここでは青空市場が開かれていて、島の住民達や観光客等で賑わっている。




「いらっしゃーい、さっき捕れたばかりの新鮮な魚だよー!」

「火の国で作られた火鼠の衣、ドラゴンの火球にも耐えるという一級品だよー」

「そこのお姉さん、いい布があるよ」

「イカすお兄さん!彼女にアクセサリーの一つでもどうだい!」

「キュプロス牧場の上質な羊のチーズ、安いよ安いよ!!」



本当は、馬車が2台並んでも余裕で通れるぐらいの、とても大きな通りなのだが・・・

市場のテントが、今の時間帯は所狭しと並んでいる為か、通路が狭くなっていて中々の人込みだ。

僕今思いっきり田舎者丸出しだよねこれ。

ってか羊からでもチーズってつくれるんだ、てっきり山羊とか牛だけかと思った。



さて、この凪の島は前にも言ったとおり、観光にも力を入れているので、市場では風の村では手に入らないような物も取り扱っている。

肉に魚、香辛料やチーズにワイン。そして雑貨や服の店・・・おっと、キノコや唐辛子専門の店もある。


ちょっと待て、唐辛子ジャムって誰得だ?



キョロキョロと見回しながら、屋台のように並べられた店を物色していると、自分の不注意からか他の人に思いっきりぶつかってしまった。



「気を付けろクソガキが!」

「う、ごめんなさい・・・」

「ッチ、クソが」


まあ、よそ見していた自分が完全に悪いので、文句を言える立場ではない、んだよなぁ。

たとえボロクソに言われすぎていても。








そして、とある店の前まで来たとき、僕はその店の店主に不意に呼び止められた。

よそ見をしていて人とぶつかって、ボロクソに言われたすぐ後の事である。



「ねえそこのお兄さん。そこの駒鳥のようなお兄さん、一寸見ていかない?」

「・・・僕?」

「そうそう。お安くしとくよぁ、お兄さん駒鳥みたいで可愛いからさぁ、フフフフフ」

「(鳥肌)」



あー、なんか来た。

なんかぞわっと来ましたよ。

腕とか鳥肌立ってブツブツできてますよ。

セイレーンだけね、ってやかまし!!



そりゃあまぁ僕って細ガリですから、実際年齢より低く見られることもありますけれども。

初対面の人には、きちんとご飯を食べてるのか?とか聞かれますとも。



僕を呼び止めたその店の店主は、フードを深くかぶっていて顔がわからない。

アニメとかでよく見る、街角の隅でひっそりとしているような怪しい占い師。そんな感じの格好だ。

声も、まるでボイスチェーンジャーでも使っているかのような、なんか変な感じ。


っていうか、そもそも何のお店だし。


そろりと恐る恐る覗き込むと、赤と白の縞模様の屋根に、店のテーブルの上には大小さまざまの籠がおいてあり、その中には色とりどりの石が入っていた。



なんかまるで、お祭りとかで見るような飴屋の屋台みたいだ。




「今、飴屋の屋台みたいって思いましたぁ?」

「え・・・い、いや何も・・・」


なにこの店主超怖ー、なんか怖ー!

店主はニヤニヤと、まるでチシャ猫のように笑いながら僕を見て言った。


「これはですねぇ、ぜぇんぶルーンストーンなんですよぉ。こっちは水晶ですけど、こっちはアレキサンドライト。こっちは化石から作られたオパール、その名もヴァージンブライド」

「ひぃ」


さらりと手に取り、ポーンポーンと遊んでいるが、確か後者の二つってかなり貴重な宝石じゃなかったっけ?

ダイヤモンドより高いんじゃなかったっけ??

恐らくは何らかの巨大生物の牙の化石、であろうそれは店主が手の上で遊ぶ度に、日の光を浴びてキラキラと虹色に輝いている。


オパールなんて、初めて生で見た。




「ちなみにダイヤもありますよぉ、全部天然です。ほ~らコレでーすよー」


今度はジャラッと掬うようにいくつか手に取って、こちらに見せてくる。どれもソテツの実と同じぐらいの大きさだ。

え、デカくね?

やめろ触らせようとするな。


僕だってこの世界の天然のダイヤモンドも、現代に負けず劣らずなくらい高価なのは知っている。特にそんなにデカいのはな!


だからニヤニヤ笑って、こっちに寄越すな!

てかコイツ、絶対嫌がってる理由をわかっててやってるだろ!!


数分続いた小さな攻防戦は、店主の飽きということで直ぐに終わりを告げた。






「でもお兄さん、ルーンストーンいいですよぉ?占いにも良し、お守りにも良し、人探しにも良し、詩にも良し、攻撃にも良し、防御にも良しの、超絶的優れものですぉ~?」

「恐ろしい程に便利だな。でもそもそも僕、ルーンストーンとかあんまりわからないんだけれど」


えー、マジっすかぁと笑いながら店主は水晶の石を一つ手に取った。

なんか、チャラいような、ふざけてるような、ギャルのような喋り方だなぁ。



「あ、この先は説明回だから、グダグダするのが嫌な人はページ飛ばしちゃってもオッケーですよぉ~」

「いやそれ僕の台詞だから」










「まあざっくりと言っちゃえば、力を持った文字ってことですかねぇ」

「文字が力を持つんですか?」

「違う違う、それだと“後から”文字に力が宿ったように聞こえるでしょ?言霊みたいなね。あれって単語とか文章になって初めて力が宿るもんじゃん?。そうじゃなくって、文字一つ一つに元々魔力が込められているのよ。例えばこーれ」


店主が籠の中から石を一つ取りだすと、その石を握り締めて自身の魔力を籠め始める。

そしてそばにあった、水の入ったコップの中にその石を落とした。


変化は直ぐに訪れた。

コップの中の水はみるみると、石を中心に凍り付いていく。



「こぉんな感じになったりとか。ああ、今使ったのはこれね、『I』(イサ)」

「いさ・・・」

「そして更にこれをこうすると・・・」


カランと、コップから凍った塊を取り出すと再び握りしめて力を籠める。

そして、誰も人のいない場所の壁へと投げつけた。


「あ!」


壁にぶつかると、パキンっと塊は軽い音を立てて弾け飛んだ。

いやそれだけじゃない。

弾け飛んだその場所、そして弾け飛んだ小さな破片がぶつかったその箇所が、一瞬で凍り付いたのだ。


「にゃははは、大丈夫大丈夫。魔力を弱めに込めたから、しばらくしたら溶けてなくなっちゃうよ」

「す・・・すごいですね」

「まあ、これは水晶だからね。初心者向け初心者向け、水晶は優しいからね。ほら魔除けとか願いが叶うとか」

「は、はぁ・・・あ、魔除けってことは今の凍り付いた箇所には、魔除けの効果が付与されるって事なんですか?」


付与と言うのは+αの補正のことだ。

この場合、氷の属性に+する形で水晶の持つ魔除けの効果が着いた。と言うことになる。



「そゆこともあるよ、あとはねーえ・・・」


ごそごそと、店主は別の籠から更に一つ取り出す。

今度は石に色がついている。黄色い石だ。若干先程の水晶より、高そうな気がする。


再び石を握り締めて魔力を籠める。今度は少し長いか。

店主が、握り締めていた掌をゆっくりとひらくと、石はモンキチョウのような、小さな可愛い蝶に変化していた。

蝶はそのまま羽を動かすと、ヒラヒラとどこかへと羽ばたいていってしまう。



「あれには、一体どんな効果があるんですか?」

「んー・・・も少ししたらわかるよ、お兄さん」


飛んでいった蝶の行く末が気になるが、これは確かに凄い。凄いんだが・・・・・・・・・・




店主のこの軽さ、それで色々と台無しだ。

それよりも、これって刻まれている石の種類によって、付属の効果が微妙に違うのかな?



「あー、それはねぇ」

「それ。僕の考えをを読んでいるのも、ルーンストーンってやつなんですか?それとも何か別の魔法かなんかですか?」

「なーいしょ」


昔の某ゲーム会社のCMの、会社名と同じ発音で言われても正直可愛いとは思えない。



「まあまあ、落ち着いて落ち着いて餅ついてぇ~・・・お手軽に行きたいんなら、こういうのもありー」


ひょいっと、今度は台の上にはなかった一寸汚れた箱を、店主が取り出した。

え、いつの間に?



「ゴカイチョーー」


ぱかりと箱を開けると、そこには様々な飾り紐やタッセルが入っていた。

よかった、形容しがたきタコみたいな邪神とか触手とかが出てこなくて。



「ペンダントにーピアスにーブレスレットにー・・・石だけ持っているよりも、こうやって装飾品にしたほうが持ち歩きしやすいんですよねぇ。お兄さんご家族さんとかに、おひとつずっこどーお?」



へらへらと笑いながら、店主は四つの飾り紐を取り出した。梅結びとかいうんだったっけ、これ。

下のほうに丸く削られたルーンストーンがついている。

ストラップのように、括り付けられる紐も付いている。


店主が僕に見せてきた石の色は、どれも澄んだアメジストのような紫色で、鳥の足のような文字が刻まれていた。



これ、買わなきゃいけない流れなんだろうなぁ。

まあ見た感じ、悪い物でもなさそうだ。店主はアレだけど。




「あの、これいくらですか?」

「んー、そうだねぇ~~・・・一個につき、水フォント一つと黒フォント八つで」


意外と安い、ボッタクリじゃなくってよかった。

ちなみに、フォントというのはお金の単位の事だ。 


この世界では、お金の代わりとして貴石を使う。

碁石がちょっと平ぺったくなったような、そんな感じの物を想像してほしい。


フォントという単位は円やドル、ユーロのようなもの。



ちなみに種類は・・・


黒 1円

白 10円

水 100円

黄 1000円

緑 2000円

赤 5000円 

青 10000円 

紫 1000000円


まあこの円の部分や単位は、あくまでも現代と比較した例えのようなものだと思ってくれ。


この場合。お勘定は、1個につき水フォント一つと黒フォント八つなので、現代風にいうのなら一個108円ぐらいの値段、だろう。


あ、気になったことが一つ。


「ちなみに、一番高いのっていくらするんですか?」

「1E8」

「いっ・・・」


悲鳴を上げなかっただけ誰か褒めてくれマジで。


一体いくらなのか、気になった人は是非ともゆっくりぐぐってね!






とりあえずお財布お財布。こういうのはさっさと払ってさっさと離れるに限る。


えーっと確か財布は左ポケットに・・・・・・ない。

え、いやいやいや僕は確かに財布持ってきたよ!?


島出る前の、持ち物確認シーン再生!!



持っていくのは、櫂・携帯ラジオ・ロングブレードのサバイバルナイフ・非常食・水掻き靴下・水中ランプ。


そして財布・・・

ほらぁ、財布持ってきてたぁ!


まさか落としたのか?でも一体何時・・・




「あ、やっと気が付いた?」

「・・・え、今なんて?」

「お兄さん鈍いからさぁ、だからチンピラに目ぇ付けられるんだよ~」

「さっきからなにを」

「ほら。とてもガラの悪いおじさんと、ぶつかったでしょ?さっき」

「・・・あ」



ぶつかった、キョロキョロと余所見してた時。

まさかクソガキだの言われたあの時?!

ひょっとしてあの人がスリ!?




っていうかちょっと待った!!!



「わかった。じゃあ、あっちで待ってるねぇ」

「いやそうじゃなくって!っていうかもう読心術とか突っ込まない。それよりも、知ってたんですか!?あの、呼び止めた、時から!!」

「そうだねぇー・・・うんそういう事になるかなー、そういう事にしておこう。つまりはそういう事だよ、お兄さん」

「なんかいろいろと引っかかる言い方だけどもっ、色々と突っ込みたいけれどもっ、突っ込む時間も惜しいからあえて飲み込むわ!・・・とにかくなんでそれを、その時に教えてくれなかったんですかぁ!!」

「田舎者丸出しで不用心すぎる目を付けられたお兄さんが悪い」

「ぎゃふん」



確かに田舎者丸出しで、警戒心がほぼなかった自分もある意味悪い・・・

悪いけれどもっ!



「それに、お兄さんの財布掏ったおじさん。ココじゃ中々にお役人さんらの手を焼かせてる、不良グループの一人でねぇ。不良グループっていうかぁ、暴力団?掏られた後とかワザと追いかけさせて、誰もいないブラックストリートな裏路地とかに誘い込んで捕まえては、リンチからのリンチからのリンチの後に、更に恐喝って噂だよ~。現にさっきまで、あそこの角でお兄さんの事を様子見してたしねぇ。まあ安心してよぉ、助けはもう呼んだしぃ」

「えー・・・・なんかもう色々突っ込む気力もなくしたぁ」



思わずぐしゃりと、しゃがみこんでしまった。

この僕の今の心中を誰か察してくれ。


もうなんだこの店主、マジで意味分かんない上に足に力が入らない。





そして都会超怖い。








―完―




いやいやいや、終わってたまるかぁ!

そもそもまだ前編も終わってねーわ!!







スリって怖いですねぇ


ここまでお読み頂き有り難うございました。

ぐだぐだと続いた第一話はこれで完結です

「よかった」「面白かった」と思っていただけましたら、感想やブックマークなどお待ちしております。それが次回への励みになります。


※今現在、書き溜めたものを出している形なので暫くは更新は早めです。



キャラへの質問なども受付中です、お気軽にどうぞ。

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