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Rad des Fatalität~希望の風~  作者: 甘藍 玉菜
【夢幻空疎の楽園聖都市】中篇
17/42

3/3

まだまだ増えます登場人物




薄暗い・・・とりあえずここはどこだろうか。


さっきまでの嘘みたいな、バカ熱い外の温度から一変して。若干だけれども、まるで地下室を思わせるような、じっとりとしたこもったような。

そんな嫌な空気の場所にいる。



「・・・・どこだ?ここ」


しばらく目をしぱしぱと瞬いていたら、暗闇に目が慣れてきたのか、周囲の様子が若干わかるようになった。





改めて周囲を確認すると、どうやら本当に地下室みたいだ。窓らしいものが見当たらない。

全体的に石造りで、天井は幾重にもアーチが重なったような丸みを帯びている形だ。

こういうのなんて言うんだったっけか。ゴシック建築、だっけ?美術の授業の時にガウディのビデオで見た、確か多分きっとそうだと思う。


ヴォールト天井とかいう名前だった気がする。

テストに出るとか言われていたから、多分きっとそう。





そんな石造りの部屋に、俺はいつの間にか立っていた。

とりあえず、手に持っていた靴に履き替えて、上履きをビニール袋に入れてカバンに仕舞った。


自分の靴とはいえ、流石に直でカバン入れるのは勘弁。



足元を見れば、そこには大きな赤い線が・・・・・・

いや、ただの線じゃない。

幾何学的な模様が幾重にも複雑に絡み合ったような感じのデザインのそんな線だ。


まるで・・・魔方陣の一部、そうだ、魔方陣だ。

赤黒い線で描かれたその魔方陣は、なんだか・・・どこか、嫌な感じがした。



とにかく俺は、そんな魔方陣の中に立っていた。















いや・・・“俺達”は、立っていた。


俺を含めて、その魔方陣の中にいるのは男女合わせて8人程。

知っているのは俺とは正反対の方向にいる女子、名前は確か・・・そうだ、佐曽利。

佐曽利 杪。

同じクラスのクラスメート。


今日の補習にも来ていた子だ。



彼女のいい噂は正直聞かない。男をとっかえひっかえのいわゆるビッチとか、学校中の男は全員喰ったとか・・・

あ、俺は喰われた記憶はないからこれはデマだ。うん。


とにかく、そんなろくでもない噂しか聞かない。

とはいえ俺が苦手としているのは噂の方ではないのだが・・・

俺が苦手としている理由はただ一つ、その服装。


いつも体のラインがわかるような、ぴっちりとしたインナーを着ているせい。

何処のエロゲだよエロゲやったことないけど。


エロゲのOPって時々神曲あるよね。



そんなぴっちりインナーの上に、学校指定の薄ピンクのシャツを着てはいるが。第4ボタンあたりまで御開帳しているし、裾は結んでいてこれインナーを着ていなかったら腹丸出しだし、スカート短いし・・・


とにかくこの服装の面から言って、俺は彼女が苦手だ。

所詮人間見た目と第一印象大事。


ちなみにカバンは、女子っぽいピンクと黒のチェック模様のリュックサック。白いふわふわなボンボンのキーホルダーを下げている。





うん、さすがにここまで慣れてくれば、周囲の状況がだんだんと細かく見えてくる。俺は改めてまわりを見回した。




他の人たちは・・・・・見た感じ、どうやら他校の生徒らしい。

校内で見たことがない顔だし、そもそも着ている制服が違う。

セーラーにブレザーに・・・あ、小学生もいるな。水色のランドセルを背負っているのが見える。



俺の近くにいるのは、茶髪スポーツ刈りの、活発そうなさわやかな青年。

白いシャツと、紺色のズボンを履いていて、学校指定らしき、校章の入ったカバンを背負っている。


中学生だろうか、どこか若干幼い感じがする。




そこより少し斜め前にいるのが、髪をオレンジに染めた不良っぽい青年。面倒くさそうにポケットに手を入れて、しかめっ面をしている。

チラッと耳元に、複数のピアスが光っているのが見えた。


ピアスって、軟骨とかにまで開けてるのとか見てると自分の耳も、すっごい痛くなってくるような感じがする。そんな感じしない?

赤を基準としたユニフォームデザインの半袖パーカーを着ていて、ズボンはグレーと白のチェック柄。


黒いボディバッグを、肩から背負っている。




そこから離れた隅っこにいるのは、どうやら唯一の小学生らしき子。

マッシュルームカットの明るい亜麻色の髪に、紺の白のラインが入ったブレザーと、赤いチェックのリボン。ズボンは赤い半ズボン。


制服を着ているところを見ると、いいところの小学校の子だろうか。

ちなみに、水色のランドセルを背負っている。



俺の後ろにいるのは、学生服の上からでもわかるガタイのいい男。

黒髪の癖のある短い髪。水色のシャツと赤のネクタイ。グレーのズボンを履いている。

肩から下げているのは、茶色のスクールバック。


なんだろう、熊って感じがするな、雰囲気的に。




反対に、俺の前にいるのは狐色の、ふんわりとした癖っ毛のボブショートの髪の子。

黒地に赤いラインの入った、セーラー服。同色のデザインのネクタイ。

スカートは膝よりも長い、赤と白のチェック模様。黒のタイツを履いている。


背中には赤いバックパックを背負っている。

こちらは、どちらかというと狐っぽい。




最後の一人、中央にいるのは黒髪の長いおさげの子。あ、丸眼鏡だ。

グレーのダブルボタンタイプのジャンパースカートに赤い紐リボン。珍しいデザインの制服だな。

白い靴下を履いていて、手に持つタイプの、ペラペラのカバンを持っている。

いかにも優等生って感じだ。







とにかく皆。俺と同じように、何が起こったのかわからないような。情報を処理しようとしても脳、みそが追いついていかないような・・・・・・


そんな顔をしている。












「やった、成功したぞ」


「やりましたな王女様!」


「これで、これでこの国は救われる!」




そして周囲がザワザワとざわめいていて騒がしい。というか反響して五月蠅い。

彼等が騒ぎ出すまで気が付かなかったが、どうやら魔方陣らしきものの外に、黒いローブを着た者たちが数名・・・・・・いや10人ばかしは立っているのが見える。


直ぐに気が付かなかったのは、黒いローブを着けていたからであろうか。

その黒いローブの隙間からは、まるで中世ヨーロッパを舞台にした映画やドラマで見るような服が見えた。

そんな装いだ。


キラリと金色の刺繍が見える辺り、多分いい所の貴族とかそういう感じっぽい。偏見かな?





その全員が、歓喜の声を上げている。


そう、まるでとても大きくて難しい仕事・・・・・・いや難しいかなり難解な使命を見事に達成し、その見事なまでにパーフェクトな成功に、歓喜の声を上げているかのようなそんな感じだ。


要はメチャクチャ喜んでいる。そんで感動してる。

 

お互いに肩を抱いて喜び合っている人。

歓喜極まって泣いている人。

立てなくなって床でうずくまっている人・・・・・・




その中で、そのローブを着た人達の中でも比較的中心のほうにいた人物が、ゆっくりとたどたどしく、それでも芯はハッキリとした足取りでこちらへと歩み寄ってきた。



ローブの裾からは、緑色のドレスが見える。

女性だ。おそらくはこの中では唯一の。


そして一番立場の偉い人・・・俺はそう感じた。

なんというか、他の人達と違って纏ってオーラみたいなのが違う。

威厳というか、どこか気品がある。





彼女は、俺のすぐ傍まで近づいてくると、自分のドレスが汚れてしまうことも躊躇わずにその場で膝をついた。

よくよく見れば、他の歓喜の悲鳴を上げていたローブを着た連中も、いつの間にか膝をついて頭を垂れている。





・・・・・あ、そういえばこの人王女って呼ばれてたな。今更だけど。

やっぱり偉い人みたいだ。







なんか甘い、いい匂いがする。

















「よくぞ・・・よくぞ来てくださいました・・・“勇者”様」



そう言って彼女は、俺の手をギュッと握った。

彼女から花のようないい香りがする。



感想。


傷一つとして見当たらない、すべすべとした滑らかな絹の様な。そう、まるで絹ごし豆腐のような。

俺には一生縁がないであろう、まさにそんな手でした。







あーーー・・・アニメの特番、リアタイで見られなかったなぁ。


きっと一生縁がないであろう女性の手で、ぎゅっと握られながらも・・・・・

俺はそんなことしか考えることができなかった。










その後、俺たちは王様・・・ではなく。

その国の第一王子が待っている応接室へと案内されることになる。













正直、その移動の間のことはあまり覚えていない。


なぜかって?










あの勇者様呼びがあまりにもショッキング過ぎて、何とか正気を保っていた俺の頭の思考回路も、とうとうショートしてしまったからさ。


それはともかく、本当にいい手触りの手でした。










─完─


いやいやいや、まだ終わってたまるか!

ここまでお読み頂き有り難うございました。

始まりました中編の第一話はこれで完結です

「よかった」「面白かった」と思っていただけましたら、感想やブックマークなどお待ちしております。それが次回への励みになります。


※今現在、書き溜めたものを出している形なので暫くは更新は早めです。



キャラへの質問なども受付中です、お気軽にどうぞ。

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