雨音&よつ葉 カルテNo.3
実習が落ち着いたので、久しぶりに雨音さんが遊びに来てくれる予定です。
雨音「よつ葉ちゃん、こんにちは」
よつ葉「雨音さん、いらっしゃ~い」
雨音さんが、窓から見える桜に気づいた。
雨音「わぁ、よつ葉ちゃんのお部屋から桜見えるだね」
よつ葉「うん! 満開なの」
雨音「わぁ! 綺麗だね! あっ、よつ葉ちゃん? 桜の花言葉って知ってる?」
よつ葉「なぁに?」
雨音「『純潔』だったはず。清らかでけがれのないって意味ね。桜のイメージにピッタリでしょ? 実はね? フランスにも、桜の花言葉があって、『私を忘れないで……』っていうの」
よつ葉「わぁ、素敵。雨音さん詳しいですね」
雨音「桜の花……大好きだから、調べたことがあったの。私を忘れないで……1年の内、たった数日で見頃を終えてしまう花が、散りゆく自分を忘れないで欲しいと願っているのかな? そう考えると、桜を見るのが、何だかとても切なくなってこない?」
よつ葉「花言葉を知ってしまうと、切ないなぁ。って思う」
雨音「だからね? 毎年胸に刻むことにしているんだぁ。 いつでも思い出せるように」
葉月「あの~、私を忘れないで」
雨音「えっとぉ……はじ……」
葉月「……めましてじゃないですよ! 私の役割、お忘れですか? 一応、しか……」
雨音「視界に入らない!」
葉月「違います! そして失礼!」
雨音「じゃあ、しかたない!?」
葉月「何がです? じゃあって何です?」
雨音「あ~! うるさい! よつ葉ちゃん、お花見行こう♪」
よつ葉「はぁーい」
葉月「そうそう、こんな扱いでしたね。 もうこうなったら、やけ酒だぁ」
葉月さんは、ひとりお部屋で窓から見える桜も見ずに酒盛りをするのであった。
冷えたビールを片手に……
葉月「くぅーー、旨い」
よつ葉のお部屋は、葉月さんが飲み散らかしたビールの缶がテーブルに並べられていた。