プロローグ
初投稿作品になります。更新不定期ですが出来るだけ早く更新していく予定です。
「ああ、風が気持ち良い。」
俺は今バイクで走っている。
周りには青く茂った大きな木々と山々が存在し木の葉の隙間から幻想的な光が降り注いでいる、
そう、いわゆる峠道というやつだ。
分かってしまった人もいるだろうが、今日は休日を利用してのソロツーリングに来ている、乗っているのはZZR400Nだ。
目的地は特に無く、カーナビも使用せずに気の赴くままに走っている最中だ。
「そろそろ燃料が少なくなってきたな。」
俺はメーターを見てそう呟いた。
「もう3割を越えている、どこかのガソリンスタンドに寄らないと不味いな。」
そう言いながら俺は路肩にバイクを止めた。
懐からスマホを取りだしカーナビを起動する。
「この周辺に三軒、一番近いのはこいつか?」
呟やきながら俺は一番近いガソリンスタンドのルートを検索する。
「ん、ルートには表示されていないがこっちの方が近いな。……よし、この道で行ってみるか。」
そう言って、俺はバイクを発進させた。
30分後
「これは……失敗したな。」
今俺の前には半分以上崩落した道と大きな倒木が道路を塞いでいた。
「これじゃまるで酷道だな。……幸いバイクなら、何とか通れそうだ、行ってみるか。」
そして俺は崩落現場と倒木の間をすり抜けていく。
ガリッ
「おっと。」
倒木をすり抜けてる時にパニアケースを少し擦ってしまったみたいだ。
「ギリギリだったな、パニアケースも目立った傷は無い、危ない危ない。」
崩落現場を抜けた俺はバイク走らせていく。
……崩落現場から6㎞位走った地点でトンネルに遭遇した。
石造りの小さなトンネルだ、ただ、長さはあるようで出口は見えていない。
俺はトンネルの前でバイクを止める。
「どうやらこのトンネル意外に道は無いようだ、トンネルが何処まで続いているかカーナビを見てみるか。」
俺はカーナビを表示する。
「あれ?道が存在していない?」
カーナビには今走っている道やトンネルがある箇所が真っ白になっている。
「スマホのカーナビでこんなことが起こるなんてな、仕方がないトンネルに入ってみるか。」
俺はトンネルを進む事に決めてバイクを発進させた。
「暗いな、電気も付いていないし空気が冷たい。」
トンネルの中は夏ですら寒く感じる程冷たかった。
40分後
「結構走ったんだが、全く出口が見えない、いったい何処まであるんだ?」
既に8㎞近くは走っている。
トンネルの中は路面も綺麗で人も対向車も居なかったので100以上で走行していた。
「ん?光が見える。」
遠くの方に小さく光が見えた。
「おお、出口だ!」
その光はどんどん大きくなっていき対向車のヘッドライトではない事が分かる。
「そろそろ減速しないとな。」
俺はブレーキかけながら、シフトダウンをしていく。
速度を30㎞位まで落としたタイミングでトンネルの出口を通過する。
「眩しい、見えん。」
しばらく暗い道を走ったせいで、外の光に慣れるのに時間が掛かっているようだ。
ガタガタガタッ
「うおっ!」
いきなり悪くなっている路面の状態、目が慣れてきた俺が下を見ると。
「砂?」
路面はアスファルトでは無く、砂を固めた様な道路だ。
「トンネルを出て直ぐこれとか、事故るだろうまったく。」
俺は呆れた声でそう言いながら、慎重にバイクを走らせて行く。
道は緩やかな下り坂になっているようでタイヤをとられない様に下っていく。
バッサバッサバッサ
何か大きなものが羽ばたく様な音が上から聞こえた。
気になった俺は上を見る。
「………ドラゴン?」
そう、俺の上を飛んでいたのはアニメにでも出てきそうな真っ赤なドラゴンであった。
「あれ、日本ってドラゴン居たっけ?」
そう呟いていた俺の方にドラゴンが向きを変えた。
「向かってくる?まさか…」
こちらに向かって来ているドラゴンの口が大きく開く。
「口を開いている…まさか!!」
ドラゴンが何をしようとしているのか思い至った俺はアクセルを思いっきり回し全速力で離脱する。その直後
ゴウッ
俺がさっきまで居た場所に大量の炎が降り注いだ。
「ドラゴンブレス!生で初めてみたぜ。」
バイクを加速させながら、そう呟く。
ブレスを吹き出し終わったドラゴンは再び俺を追いかけてくる。
「ドラゴンと生身で戦うとか無理だろ、せめて武器があれば。」
俺が心の中で武器の事を考えていると。
ピカッ
俺の前で光が光った、そして光が止んだ直後。
ガンッ
「イテッ」
その光の中から出てきた物がヘルメットにぶつかり、危うく転倒しかける。
「あ、危なかった、でも今出てきたのって?」
ぶつかるまでの一瞬の間に見えた物、それは先程考えていた武器と全く同じ物だった。
「もしかして思い浮かべたから出て来た?」
俺はあり得ないと首をふるが、先程から自分を追いかけている非現実を思い返し、まさかと思う。
「もしそうなら、もう一度試してみれば分かる。」
そして俺は先程思い浮かべた武器を心の中で考える。
(出てこいベレッタM92F)
ピカッ
先程と同じ光が目の前で光り武器が現れる、現れた武器を左手で危うげに掴むとずっしりとした重みが手に伝わってくる。
「成功した!これでッ…‼」
ベレッタを握ったことにより安定性を欠いたバイクが大きな石にタイヤをとられてしまった。
「不味い、体勢を立て直せない!」
ズシャァ
バイクは転倒し滑っていく、俺は何とか受け身を取り滑りながらも立ち上がる。
「ッ、ドラゴンは!」
ドラゴンは低空でホバリングしながら俺を見据えている。
「逃げるのは…無理か、ベレッタで撃ち抜けるとは思えないが…」
そう言いながら俺はベレッタをドラゴンに向けた。
グルォ
ドラゴンは唸り声を上げながら、口を大きく開ける。
俺はベレッタの安全装置を解除し、引き金を弾く。
パァンパァンパァン
発砲した3発の弾丸の内2発がドラゴンの眼球に着弾する。
グルァァ
銃弾が直撃したドラゴンは唸り声を上げながら墜落していく。
ドォォン
大きな落下音を響かせながら墜落したドラゴンは少し経つと動かなくなっていた。
「死んだか?」
そう言いながら俺はドラゴンに近づいていく。
触れれる位に近付くとドラゴンの大きさがはっきりと分かる。
15m位の巨体だ、その巨体の頭部と首もとには命中した弾丸の跡があった。
「?おかしいな、ベレッタではこのドラゴンの鱗を貫通出来るとは思えないが?」
ベレッタM92Fが使用する弾薬は9x19mmパラベラム弾だ。
この弾薬は防弾チョッキですら防げる程だ、到底こなドラゴンの様な分厚く硬い鱗を纏った存在を3発で倒せないだろう。
「これも普通とは違うのかも?」
俺は取り敢えずそう結論付ける事にした。
「さて、これからどうしよう。」
ドラゴンとの戦闘により、俺は現在地が分からなくなっていた。
周囲はブレスとドラゴンの墜落により、道が何処から続いていたのか分からない様な状態だ。
「このまま進んで行くしかないよな、仕方ない。」
俺はバイクの下に向かって歩き出す。
「エンジンガード、付けてて正解だったな。」
そう、バイクには白バイが付けている様なエンジンガードが付いていた、パニアケースにも同じ様なガードが付いており細かい石によって少し傷はついているものの、大したことは無い状態だ。
「よいしょっと。」
バイクを引き起こした俺は、軽く点検を行う。
「異常無し、運転開始っと。」
点検を終え、エンジンを掛けた俺はバイクに跨がる。
「ここが何処かは分からないが、取り敢えず落ち着ける所を探しながら進むか。」
そう言いながら、俺はバイクを発進させた。