エピローグ
ビルが並ぶ都会そこには誰もいない‥‥‥彼女を除いて
真夜中に一人の女性が必死に走っている、後ろから追いかけてくる黒い何かに捕まらないように
女性は叫んだ。助けを求めて しかし誰もこない
いや、彼女以外誰もこの街にいないのだ
彼女はビルの裏道を通って追ってくるものから逃げ切ろうとする しかし不運なことにその道は行き止まりだった 彼女が他の道を探そうとした時、黒い何かが来てしまった
ジリジリと距離を詰められていく 彼女は恐怖で、その場にしゃがみこんでしまった
黒い何かが彼女に襲いかかろうとしたときだった。
ーそこまでだー
誰かが黒い何かに対してそう言ったのだ 彼女は辺りを見渡し、その声の主を見つけた。
声の主は向かいのビルの屋上にいた。顔や姿はハッキリ見え無いが声から男性だという事だけがわかった
彼女は助けが来て少し安心したがすぐに別の考えが浮かんできた。はたしてこの男性がこのバケモノを倒せるのか、そしてあのビルの屋上からここにくるまでに私は生きていられるのか
絶対に無理だ。そう思った時に男性の優しい声が聞こえた
「大丈夫だよ、心配ない。」
そして次の瞬間、男性はビルから飛び降りたのだ
「え」女性の思考は追いつかない 助けに来たと思ったら飛び降り あの高さでは絶対に助からない 訳がわからない
しかし飛び降りた男性の体は地面に着かずこちらに来た
「飛んでいるの⁉︎」
信じられない、そう男性は空を飛んでいる そして目の前の黒いバケモノを一撃で仕留めてしまった
言葉が出ない、女性は今 目の前で起きた出来事にただ呆然とするしかなかった
男性の姿をよく見ると全身に黒い霧が掛かったようにボヤけて見える 男性というより少年かもしれない
「あの、ありがとうございます。」
ハッキリ見え無い恩人に感謝の言葉を述べた
よく見え無い恩人はこちらに近づいて来て女性に告げた
「お礼はいらないよ、だって」
辺り一面が霞んで来た、思考も停止して全てが真っ白くなっていく
ーこれは、夢なんだからー
そうして女性の意識はそこで切れてしまった
ピッピッピッピー
時計のアラームがなっている。女性は時計のアラームを止めて目を覚ました。
夢を見ていた気がする、だがなんの夢だかは思い出せ無い。女性は軽く体を伸ばして出かける準備をする
女性は夢のことをなんかすっかり忘れて