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長政?はつらいよっ!! 静かなる逆襲!!  作者: 山田ひさまさ
~ 浅井はやっぱりハードだねっ!! ~
8/23

賢政、恒興の気魄に兜を脱ぐ

さあ、そろそろ。

面白くなりますよ。

 今、俺は西美濃三人衆の内の一人、稲葉一鉄と交渉をしいている最中である。

安藤守就は、義龍とギクシャクしているらしい。

今回は、『斉藤家』の使者として来ている。


 斉藤家も、織田の脅威がある以上、早く同盟なり不可侵協定締結をしたいのだろう。

関ヶ原ほか『領地の割譲』は、あくまでも停戦合意のための前提条件に過ぎない。 


 先月策定した軍事境界線を提案されている。


 去年、斉藤家側から一方的に攻撃されているので軍事同盟は結ばないが、相互不可侵ということで話をまとめた。

『不可侵協定』、あくまでもお互い戦わないという約束だ。


 もちろんだまし討ちをしたことについて、は厳重に抗議を申し入れている。

お詫びの印に、美濃の特産物、賠償金を受け取った。(けっこう儲けた。)


これにより、浅井家は斉藤家と正式に和睦した。


 信長からの圧力がある為、さすがに義龍もこちらに仕掛ける余裕は無さそうだ。

西美濃三人衆らとしても、背中を晒して尾張勢とは戦いたくないであろう。


 まあ、こちらとしても本音を言えば、交易路を閉ざされるのはかなわない。

それに、あまり展開が早いと新規に得た領地を上手く支配出来ないからな。

暴れ川でもある木曽三川を舐めると痛い目に遭いそうだ。


 今のところは予定以上に進んでいるので欲張る気は無い。

それよりも、西美濃三(四)人衆と信頼関係を築いてしっかりと味方につけた方が良さそうだ。


 軍事的にはともかく商人の往来については、互いに協力をする事を取り決めた。

市場の飢餓感も上手く煽ったし、揖斐川水系や北伊勢、千草越え街道、大垣、方面の商圏に食い込みたい。



 帰り際、稲葉個人にも「義龍・竜興が裏切った時も浅井とは中立しろ」と伝えた。

苦笑いしていた。


 やつには『美濃改め』の際に、千草越えルートでお目こぼしをしてやった。

まあ、利益供与だ!

 うちの商人を稲葉の元に派遣して、そいつらに運ばせてお互いに利益を上げた。

美濃モノを欲しがるヤツは一定数いるから、裏取引で高値で売れた。

これが、『 経済を握る 』 と言うことだ。



 稲葉とほぼ入れ違いで、『恒ちゃん』が来た。

”信長のお使い”と、”戦の掛け持ち”ご苦労様である。


 『美濃改め』を始めて以降、ちょくちょく浅井家(ウチ)に顔を出すようになった。

敵の敵は味方という理論かな?

 とはいえ、さすがにいつまでも経済封鎖はしていられない、思い通りにいかなくてゴメンよ。

美濃との停戦で、縁が切れたかと思ったが……、逆に危機感を持ったらしい。


 よく考えれば、美濃南宮山城に井伊直盛を置いている。

近頃とても有名な、井伊家である。

『井伊家』か、『伊井家』か判りにくいので、”赤地に金の『井』の旗印”を与えた、あの井伊家である。

赤備えの具足は、実は旗を渡す口実おまけである。


 信長にしてみれば、浅井家が井伊家を通じて今川家に協力すれば脅威だろう。

仮に軍事同盟でも組んだら、信長にとって致命傷の一大事だろうな。



なにせ、俺の長男の生母(祐の方、井伊直虎)が、井伊家の嫡流だ。


ああ、だからこんなに焦っているのか。

納得した。


『恒ちゃん』も、顔に疲労の色が出ているわ~。


「……とのことです。」


俺もついつい織田家のことになると入れ込んで、妙に現実感がなくなってしまう。

(しっかり現実を見据えないとな~。)

「はっ?なに…」


「ですから、信長様は、妹を輿入れさせることに決めた由にございます」


「え、誰に?」

(そういえば、妹沢山いたよね~ほとんど覚えていないけれど……)


「ですから、『浅井賢政殿』に『お市様』が、輿入れされます!」


「……うそ?」


「これは、決定事項です!当方は 既に、輿入れの準備を始めております」


「なに言ってんだよ~、恒ちゃん?」


「文句は、信長様に言ってください!」


「よし、お断りの文を出そう!」


「拒否いたします!」


「なら、使者を立てよう!!」


「お断りの使者ならば、間諜として斬るそうです!!」


「じゃあ、正式な使者を立てよう!!!」


「婚儀の御使者として、有無を言わさず、丁重にお迎えいたす所存です!!!」


「俺に拒否権は?」


「ございません! 拙者の首一つで、ご勘弁願いたい」


「それは~、却下かなぁ~」


「ご配慮有り難く頂戴いたします、いやあ、目出度いでござる」


「恒ちゃんのいけず」


というわけで、なし崩し的に婚姻が決まった。


(まあ、史実本来のお嫁さんだし、もらった方がいいのかな?)

そう思いながら、なんとなくOKしてしまった。



秋だ、秋だ~。


収穫の季節だ

米の出来もある程度安定してきたし、余裕がある。

収穫目前に領地が割譲されるとは運がよい。

支配地域の余剰人員(3男以下)は近場の所で優先的に土地をあたえ、比較的開墾の楽な近郊の開拓に廻している。

ただし、徴兵義務はもちろんある。


 浅井領は近年戦乱が少なく実りが多い為、噂を聞いた人が集まってきている。

(いくさは実質3日で終わらせた。対象を美濃に搾った、限定的な経済封鎖のみ実施した。

そもそも騒ぎとなった肥田城は、もとは浅井領では無い。)


 領内に流入した者達を囲い込み開拓団を結成し、滋賀北東部の山、大野木や、古橋、関ヶ原の山の方の開墾をさせている。

 木材を大量に確保しつつ、畑と牧場(豚・山羊・羊・牛・馬)を作る予定だ。

飼いやすい豚を先行させる積もりだ。

革もそうだが、肉を味噌漬け保存して『栄養源の食料』としたい。


 開墾中心の開拓団とは別に、『屯田兵』として、有事の際には足軽として戦わせる部隊を作っている。

50から100人規模で集団作業に従事させていく。

 いまのところ5千人規模の開墾兵部隊だ。

黒鍬に対して白鍬か?赤鋤、青斧、白鎌とでも名付けようか。

(いや、センスがないな。)

それよりも、環境破壊にならないように配慮しないといけないな。


 西美濃領に関しては、堅実な経営をしていく方針だ。

一応、耕作地の拡大を視野に入れているが、守りやすい佐和山以北、そして関ヶ原を優先する。

南宮山以東は一応敵地である、武力介入はかなり厳しい。

家臣の領地の農家の庶子を雇い入れ大規模開発を行いたいが、事前協議や準備がいるので今は調整中だ。


 簡単な検地をおこない戸籍管理をおこないたい。

石田・小堀にマニュアル作りと係員の教育指導を命じている。

寺から引き取った、小姓達が意外と役に立つ。


 経済的余裕が出てきたので、配下の武将の次男以降を知行貫高制サラリーで召し抱える事を推進している。

兵農分離の下準備の下準備を行う。


 兵は、工兵として土木作業にも従事させる、というかそちらがメイン。

目指すは『戦う土建屋』だ。

 後は運送業、戦が無くても『働く騎馬隊』(別名小荷駄とも言うが有事は戦わせる方針なのだ)。

輸送メインの関船艦隊。

漁業従事の小早衆。


笑える!冗談? いや真面目です。


 人を殺しても、何も生みだしはしないのだ、太平の世の中でも食えるようにしてやろう。

江戸時代になってから、俺の配慮のありがたみが判るだろう。


 従来の兵農分離とは一線を画すが、俺的には、純粋な常備兵を持つほどの戦争はしたくないのだ。

だから必要時に動員可能なように、仕事をあたえながら浅井家配下にしておく。

その指揮官となるのが、今回召し抱える者達の役割だ。

有事の際の動員と生産の維持を図る為の仕組みを検討している。


 別に戦国時代に転生したからといって、大戦や虐殺をしなければならないという決まりはない。

というか、する必要がないようにしたい。

理想主義だろうけれど、なるべく平和裏に日本を統一したい。

 その為の努力だと思っている。


とはいえ、俺だって死にたくはないから、綺麗事だけで済ませるつもりは無いけどね。




これも、押しかけ女房でしょうか?


後、数話で

『お市がようやく登場します』

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