ゾディアック・サイン番外編「鬼の目にも涙」
今回は、
この物語に関わった一般人《鬼塚綾》にスポットライトを当てた物語です。
彼女と由香の友情の理由とは!?お楽しみください^^
小学校時代。あたしは荒れに荒れていた。
男子が嫌いだった。いっつも女子に意地悪する男子が嫌いだった。
いや、違うな女も嫌いだった。意地汚くて、卑怯で、陰口ばっかり叩いてる奴らが嫌いだった。
あたしは昔から喧嘩が強かった。男子ともよく遊んで、よく喧嘩した。
逆に女子からは距離を取られていった。影でこそこそ言ってる女子を一喝すると、余計に避けられた。
容姿がまた裏目に出てしまった。お世辞にも可愛いとは言えない。
鋭い眼光に長身の身長、まるで不良のような風貌。喧嘩も強かったし、気に食わない先生には当たっていた。
あたしの風貌と態度だけで全てを決め付けた教師が嫌いだったからだ。
あたしはこの喧嘩の強さを利用して、気に食わないものを殴り倒してきた。
決して悪いことをしていたわけではないし、勉強はちゃんとしていた。なのに風貌と性格があたしの枷になる。
そして、陰口を言う女子の集団に虐めを受けた。
もちろんあたしはすぐに奴らに反抗した。そしたらあたしが逆に虐めをやったと教師達に突きつけられた。
それはおかしいだろ?あたしは悪くない。いじめをやめさせようとか言ってる教師が、加害者を庇ってどうする。
頑張って抵抗した被害者を注意してどうする?矛盾してるんじゃねぇのか??なぁ・・・おい!!
そう思った直後、あたしは担任をぶん殴った。
どれだけ殴ったか、覚えていない。
ただその教師は怪我をして入院。あたしは小学生で初めて「停学」を経験した。
停学解除後、一緒に遊んだ男子も離れていった。教師と言う大人を相手に殴りつけたあたしを恐れたのだろう。
その孤独のまま、あたしは小学校を卒業した。
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中学に言ってもこれと言った変化は少なかった。
近所の中学に言ったから、あたしの悪名はすぐに広がって、誰も近づこうとしなかった。
けれどあたしも中学生とは言え大人だ。そんなことで切れたら小学校の頃の二の舞だとわかっていた。
中学のチャラついた先輩に声を掛けられたけれど、無視してやった。
喧嘩吹っかけられたらぶん殴って黙らせたらよかった。向こうも悪名広い奴だ。こっちが攻められることはない。
とにかくあたしは不機嫌だった。あたしのことを何も知らないくせにネチネチと話してる奴らが
勝手にビッチ扱いして話しかけてくる男子共に、本当にイライラしっぱなしだった。
そんなときだったかなぁ………あんたに会ったのは。
「おぉー本当に喧嘩強そうだねぇー!隣の席になった者どおし仲良くしようじゃないか!!」
授業中。あたしの顔を覗き見て、そう言う女子。女子に話しかけられたのはいつぶりだろうか…。
長い髪を下ろしている女子。いかにも普通の明るい女子……って言ったものか。
「あたし神崎由香って言うの!!鬼塚綾ちゃんだよね!?あたしのことは由香でいいから!!」
なぜか馴れ馴れしい女子。神崎由香はそういってあたしに話しかけてくる。
周りがなにやらヒソヒソと話している。あぁ…この子も注目されちゃって……。
「ん?どうしたの??」
何も気付いていないように頭をかしげる神崎由香……。この子、空気が読めないタイプの子か。
「あんまりあたしに話しかけないほうがいいよ。その……不良だから」
「ん?綾ちゃん不良だったの??あぁー茶髪だもんねぇー」
えへへぇーと笑いながら言う神埼由香。この子本当に……天然なのだろうか?
「こら神崎と鬼塚!授業中は喋るなぁー!!」
「あ、すみません……」
えへへぇーっと先生に謝ると、周りがどっと笑いに包まれた。
授業が終わってお昼休み。
「ねぇねぇ綾ちゃん!一緒にお昼食べよう!!」
「………え?」
「だからー!一緒にお弁当食べよう!!」
そういいながら鞄から弁当を取り出そうとする神崎。
「……あたし、パン買いに行くんだけど」
……その取り出そうとした手が止まる。
「じゃああたしも買いにいく!!」
そういいながら弁当の存在をなかったかのように鞄の中に戻す
「おいおい!お前弁当あっただろ!」
思わず突っ込んでしまう。あぁ…やっちゃった。
「え、えぇー何のこと?あたしタコさんウィンナーの入ってるお弁当なんてないよぉー」
あの弁当箱の中にタコさんウィンナー入ってるのか…。
「とにかく!ほらほら!パンを買いに行こう!!」
そういってあたしは半ば強引に引っ張られてパンを買いに行った。
「なんで…あたしなんか構うんだよ」
屋上。そこで買ったパンを食べながら、神崎に話しかけてみた。
「ん?綾ちゃんに構う理由?そんなのあんまりないんだけど…」
「んなわけねぇだろ。あたしと一緒にいるだけで……その、みんなお前と距離取るぞ」
「どうして?」
「お前!あたしが回りにどう思われてるか知ってるんだろ!?」
「……うん。知ってるよ?」
なぜか惚けたように言う神崎。
「でも、それだと綾ちゃんが一人じゃん」
突拍子もないことを言い出す神崎。
「…あたしは……いいんだよ」
「よくないよぉー!だって綾ちゃん可愛いし」
………こいつ、なんていった?
あたしが…可愛い?
そんなとき、チャイムが鳴ってしまう。
「あっ!早く教室戻らないと遅刻だよ綾ちゃん!!」
そういって二人で教室に戻って、そのまま放課後になった。
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翌日。
「……あんた…その髪…」
「うっす!綾ちゃん!!似合ってる??」
そういいながら彼女は…昨日までの黒髪ロングをやめて、茶髪のショートカットになってた。
そしてその手にはなぜかヨーヨー。
「これであたいも不良だぜ!!」
バカ面まるだしのドヤ顔を見せられ、あたしはもうなんとも言えずに失笑してしまう。
「いまどき…!!「あたい」とか言う不良いねぇーよ!!」
「えっ!?そうなのっ!?やっば恥ずかしい……!!」
そういいながら慌ててヨーヨーを片付ける神埼。
こいつなりにあたしに合わせようとしてくれたのだろう。
そこでわかった。こいつは他の男子や女子とは違う。
空気が読めないんじゃなくて、あえて読まなくして、あたしと仲良くしようとしてくれているんだと。
「あぁーお前本当に面白いわ!!」
そこから、あたしと由香の友情が芽生えていったんだ。
「綾ちゃん…頭いいね……」
「こんな成りだから誤解されるけどな」
テストが帰ってきたとき、由香はじろじろとあたしの成績を見て言った。
正直……あたしの勝ちだった。そこに不満があるのだろう。
「きーっ!悔しい!!見てろよ!次はあたしが勝つ!!」
「はいはい。精々頑張ってなぁー」
そんなことを言いながら、あたし達は二人で毎日遊んだ。
カラオケにも行ったし、ショッピングも行ったし、相談にも乗ったし、乗られたし
「綾ちゃーん。高校どうしようかぁー?」
「そうだなぁー……あたしたちの学力なら星陵が妥当じゃね?」
「んー、あっ!ここの文化祭すごいんだって!ここにしよう!!」
「あんたの基準は文化祭だけか……」
あたし達は高校を決めて、受験勉強も一緒にやった。
あたしよりもバカだった由香はどうやら負けず嫌いみたいで、今では由香の方が成績は上だ。
そして受験をして、何とか二人とも合格できた。
「合格おめでとぉー!!!」
うちの中学で星陵高校を受けたのはあたしと由香だけだったが
二人とも無事合格を祝って近所のファーストフード店で宴会をする。
他の高校を合格したクラスメイトも集まった。由香は顔が広くて、あたしを怖がらない友達がたくさん出来た。
「あのね!綾ちゃん!!」
「ん?なんだよ??」
「あたしが綾ちゃんに話しかけた理由…今だから教えてあげようか?」
ポテトを口に入れながら、そんなことを言う由香。なんか緊張する。
「あの日の朝ね!占いで言っていたんだぁー!!
【今日は一生ものの運命の出会いがあるかも!?ラッキーパーソンは隣の席の人】って!!」
「……それだけ?」
彼女の占い好きは、毎年一緒に行く【年間星座占い】とかで知っていたが
そんな理由で、あの頃悪名が高かったあたしに話しかけたのかと思うと……本当に驚嘆する。
「うんっ!でもやっぱり占いは当たるんだよ!運命の出会いしちゃったし!!」
そういってあたしに満面の笑みを浮かべる由香。
「綾ちゃん……これからもあたし達は親友だよ!!」
その言葉を聞いて、あたしはみんなにバレないように外に行って……少し泣いた。
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「そんなことがあったんだよ。あいつは昔から変わってない。他人のためならなんだってする奴だった」
「そうか……神崎のやつらしいけどな」
由香が消失してから丸々5年。
あたしの家で、裕太と二人で話していた。
由香は、レオンのために、自らを星霊として…この世界から姿を消した。
女の命である髪の毛を、あたしと合わせるためにバッサリ切って、染めた由香らしい行動だと今になって思う。
「神崎か…今頃どこで何してるんだろうなぁー?」
「何だぁ?裕太??やっぱり由香が気になるのか??」
あたしは、答えはわかっているのに、意地悪くそんなことを聞く。
こいつの答えは聞くまでもなくわかっている。由香以外で……男であたしを《女》としてみてくれたこいつだから。
「そりゃ気にはなるけど…そういう意味じゃねぇよ。俺にはその……お前がいるし…」
「…そ、そうだな//////」
あたしは何気なくテレビをつける。
朝のニュース番組最後の星座占いをやっていた。
「蟹座の貴方!今日懐かしい出会いをするかも!!」
本当…信憑性のない物だ。誰だよムーンプリンス聖良って…。
そんなときだった。インターホンがなる。
「案外占いってのも…当たるのかもな」
「何言ってんだ裕太?ちょっと見てくるわ」
そういってコーヒーを飲みながら佇んでいる裕太に疑問を抱きつつ、あたしは玄関に向かう。
「はーい。どちら様ですかー?……」
あたしが扉を開けてその客の顔を見る。
あたしは、驚愕としてしまう。
「………ただいま」
そこには、長くなった。中学の頃と同じ…髪型の神崎由香の姿があった。
「……っ!!おかえり!!!」
あたしは思わず涙を流して由香に抱きつく。
「うん……ただいま」
「由香ぁ!心配…っ!したんだからなぁー!!」
あたしはワンワンと泣いて由香を抱きしめる。
「もぉー綾ちゃん、可愛い顔が台無しだよ??」
そういわれても、あたしの涙は止まらなかった。
由香…あんたのことは本当に感謝しているんだよ?
あたしはあんたに会わなかったら今頃きっとあの山西院龍や桐ヶ崎斬璃みたいになってた確信がある。
あんたがあたしに話しかけてくれたから、あんたがあたしと裕太を引き合わせてくれたから……。
「…本当に神崎か?」
「やっほー!毒島くん久しぶりー♪……あれ?こんな朝早くに綾ちゃんの家に…ほぉほぉー」
ニヤニヤと笑う由香。
「ばっ!ちげぇよ!!ちょっと二人でゲームしすぎて夜中だからこいつを泊めてやって…えっと……////」
「あぁー、神崎。報告だ、俺と綾は付き合ってる」
「ばっ!裕太何を軽く言ってんだよ!」
「ほぉほぉー『裕太』ねぇ~♪綾ちゃんがついにねぇーよかったよかった♪そこが心配だったからねぇ~」
「に、ニヤニヤしてんじゃねぇよ!!」
あたしは今もこうして――――――――――――幸せなままでいるんだよ。
ってなわけで結構好きなキャラでした鬼塚綾ちゃん。
声的には声優は美羽さん辺りがいいかな?(笑)
彼女の生い立ち、由香との出会い。そして自分を愛してくれる男性との出会いを
描きました。本当に俺はこの子大好きでしたw本当リアルにいないかな(ぇ
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