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ゾディアック・サイン 後日談

今回の話は最終章『天使のオフィウクス』から数ヶ月経った

夏の出来事です。出てきていないキャラクターも多いですが


どうかお楽しみください^^




「ふっふ~ん♪」

「ふぁ~」

「あ、おはようレオン、ご飯出来てるよぉー」

「おぉー…」

レオンは寝ぼけなまこで席に座って牛乳を飲む。

「もぉー、髪ボサボサ…」

「あぁー、後で治す」

まだ本調子じゃないのか、ぼーっとした口調でレオンはパンを頬張る。

最近のレオンはどこか変だ。様子がおかしいと言うか…怪しい。

「じー…」

「な、なんだよ」

「なんか…隠してない?」

「っ!?」

あ、今ひくついた。

レオンは嘘をつくのが下手だ。

「っておい!そろそろ時間だぞ!?」

「あ、本当だ。じゃあ行ってくるねぇー♪オフィウクス♪」

あたしはそういいながら、小さな箱から餌を指で摘んで、水槽に入れる。

「お前…本当に趣味悪い名前付けるなぁ」

「えぇー?可愛いと思うけど?ねぇーオフィウクスー?」

そういうと、水槽の中にいた『ウミヘビ』は、まるで返事をするかのように、縦に一回転してくれた。

この子は、少し前、レオン達星霊たちで行った「親睦会の海水浴」に行ったときに見つけ

まだ子どもなのかすごく小さくて、あたしの後をずっと付いてくるので、それが可愛くて仕方なく

しかも、毒持ちだというのにあたしにまったく威嚇してこず、他のみんなにも静かだった。

ただし………。

「シャー!!」

「…だからこいつは嫌いなんだ」

レオンにだけはまったく懐いていない。

まああたしはこの子を家で買うように決め、名前は

あたしのことを支えてくれた星霊の名を、この子に名付けたのだ。


オフィウクスの出迎えを受け、あたしとレオンは家を出た。





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「でね?やっぱり怪しいと思いません?」

「んーそうねぇ…。レオンは基本バカだから、隠してるのは明白ね」

喫茶店。

あたしはここでパートをしている形になる。

掃除などの主婦業も一応あるので

それの時間を作りつつ仕事が出来るのはここ『喫茶店あくえりあす』だけだ。

「んー、まあ…由香ちゃん。気にしないでいいと思うよ?」

あたしが水奈アクエリアスさんが話していると、グラスを磨きながらイケメンの海徒さんがそう言った。

「なんでですか?」

「あぁー、海徒何かわかったんでしょー?」

「んー…水奈がキスしてくれたら教えるかなぁー」

「もぉー。またそんなこと言って~。しても教えてくれないくせに」

「あ?バレちゃった?」

「でも……試そうかな♪」

「ん?」

その瞬間、水奈さんが走って海徒さんの下に行き抱きついてキスをした。本当にこの二人は…////

「ん?由香ちゃんも家ではこうじゃないの?」

「少なくても人の前でそんなことしませんっ!!」

「…じゃあ二人きりのときはしてるんだね?」

「…////」

二人のペースに飲まれてまた変な暴露しちゃった。


「お、もう開いてるか?」

そんなこんなやっていると、扉の鈴の音が響き渡る。客が入ってきた合図だ。

「お、タウロスいらっしゃい。いつものでいい?」

「あぁ、頼む…」

タウロスさんはそのまま座って溜め息を吐いた。

「…どうしたんですか?溜め息なんか吐いて」

あたしは思わずタウロスさんに訪ねてしまう。

「あぁ…ほら、うちの桜も…もう10歳だろ?」

「あぁー、そうですね」

「男、出来てないか不安で……」

「あぁー……」

あたしは思わず黙ってしまった。

この人とも、占い中は会ったことなかったけど、こんなキャラだったんだ……。

「なんか娘さんに変化でもあったんですか?」

明らかに年下であろう海徒さんがコーヒーを渡して、タウロスの相談に乗ろうと話しかけてきた。

「変化……はっ!!」

タウロスさんが、思い出したかのような表情をする。

まあ、10歳と言えば段々自我が芽生える時期だよね。

「…「パパ」じゃなくて「お父さん」になってる」

「「「……え?」」」

みんな思わず絶句する。

もっとこぉー「お風呂一緒に入ってくれない」とか

「パンツは別にして洗ってとか」そういうこと言われてるのかと。


「ち、ちなみにタウロス?あんた桜ちゃんと一緒にお風呂は??」

「あぁ?入ってるけどどうした??」

「桜ちゃんは嫌がらないんですか?」

「何言ってるんだ。俺が入ってるときに桜が勝手に入ってくるんだ」

あたし達はそれからもう何も言えなかった。

うん…タウロスさんの心配は恐らく大丈夫だろう。きっと娘さんの好きな男は貴方ですよ。


「あ、タウロスさんレオンから何か聞いてま―――」

「ぶふっ!!」

「「……っ」」

あたしの言葉を聞こうとした瞬間に飲んでいたコーヒーを噴出した。あぁ…この人レオンと同類だ。

「ターウーロース?あんた、なんか知ってるでしょ?」

「さ、さーって!コーヒーも飲んだし、部屋の掃除とかあるから帰るな!」

そういって都合が悪くなったタウロスは飲んだコーヒー分の金を置いていって逃げるように店を出て行った。





--------------------------------------------------------------------------------




「あ、由香ちゃん!どうしたの?」

「あのぉーレオン来てない?」

あの後あたしが行ったのは、現在のレオンの就職場所である工場。

キャンサー君と雅樹さんが指揮を取っている会社だ。そこで平社員として働いてくれている。

他にもバイトを重ねたりしているらしいんだけど…。

「レオン?レオンなら最近『早めに上がらせてくれ、後日埋め合わせする』

 って言って最近は午前で仕事を終わらせているよ?ねぇー、雅樹?」

「あぁ、あいつは一時間で普通の奴の二時間は働いてくれるからな」

「そうなんですかぁ…」

「それで?なんでレオンを探してるの?」

「あぁーうん。ちょっと最近様子が変だから…何か知らない?」

「うーん、僕は知らないなぁー。雅樹?レオンからその話貰うときに何か聞いてない?」

「あぁ。特に聞いちゃあいねぇが…様子が変ってのはどういうことなんだ?」

「こぉー…あたしに隠し事してるみたいなんですよ」

「隠し事……浮気か」

「っ!?」

「ちょっと雅樹!?由香ちゃんの前でそんなこと言っちゃあダメでしょ!」

「あ、あぁ…そうか。悪い。冗談だ、あの男に関してそれは多分ないだろう」

「た、多分…」

「もぉー!雅樹は空気読んでよ!」

キャンサー君と雅樹さんもこんな口喧嘩をするようになったのか。

しかもキャンサー君の方が説教してる感じ…。

この二人が仲良くしてくれているのがあたしにとって一番嬉しい。

「ん?穣ちゃん。それなんだ?」

すると、雅樹さんがあたしが持っているバスケットを指差して言った。

「あぁ、これはレオンがまだ仕事してたらみんなに差し入れをしようと思って――――」

そう思った瞬間バスケットの重みが消える。気付くとあたしのバスケットは雅樹さんに捕られていた。

「おーい!おめぇら!レオンとこの可愛い嫁さんが飯持ってきてくれたぞぉー!腹立つから喰っちまおうぜ!」

「「「「うぃーっす!!」」」」」

「えっ!?えぇ!?」

「ごめんね由香ちゃん…バスケットは今度返すよ」

「あぁ……うん」

あたしはあのバスケットを持ったまま情報集めをするのもなんだし、

日ごろ夫がお世話になってる人達への心配りをしている感じが出来る奥さんっぽい!って優越感を味わえた。





--------------------------------------------------------------------------------




「え?レオンさん?」

「うん。知らないかな?」

街中を歩いていると、偶然鉢合わせた毒島くんと綾ちゃんに聞いてみる。

「んー、レオンさん自体に僕あんまり会わないからなぁ…」

「あたしも会わないな。あ、たまに近所のコンビニのバイトで会うときあるわ。でもそれぐらい」

「そうかぁ。それで二人はデート?」

「ち、ちげぇよ!!だ、大学の帰りなんだよ!!」

「一緒に帰ってるんだぁー♪」

「ニヤニヤした顔で見てくんじゃねぇよ!」

「ていうか綾ちゃんなんでそんなジャージテイストなの?もっと可愛い服着なよぉー」

「あ、あたしの普段着はこれなんだよ…。知ってるだろ?」

「でもデートのときちゃんと可愛い服来てくれるんだぜ??」

「綾ちゃん…。超可愛い/////」

「ちょ、その顔やめろっ!」


「あ、ねえ毒島くん。

 この前買い物に来てたときにリブラさんと二人でいたのを見たんだけどあれどうしたの?」

「あっ……」

あたしが思い出したかのように毒島君に問いただしてみると、すんごい苦い顔してあたしを見ていた。

「ゆ、ゆぅたぁ?りりり、リブラと会ってた…ってのは…どういうことだ?」

「ちょ、ちょっと待て綾。あれはだな。一人のときに偶然リブラさんが来て、無理やり…」

「無理やり?へぇー無理やり…何されたの?」

「な、何もされてないって!?」

「問答無用!!」

「木刀どこから出した!?」

綾ちゃんはそのまま毒島くんに木刀を振るう。

彼も占い時の戦闘が功を奏したのか、

避ける身体能力を得ていて、少し違うけどいちゃつき始めているみたいだ

「まあ…お幸せにー」

あたしは巻き込まれないように、あたかも他人事のように装ってその場を去った。





--------------------------------------------------------------------------------




「みんなありがとぉー!」

駅前のホームで拍手喝采。


「相変わらずすごいねぇー」

「あ、由香!」

「CDも出たんだって?おめでとう」

「うん。ありがとう」

「美優ちゃん達は?」

「あぁー…この路上ライブはあたしだけでやってるんだ。路上でベースやらドラムは出来ないしね」

「ふぅーん…。ねぇレオン見なかった??」

「レオン?んー、あ…松原李里香と一緒にいるところを見たけど?」

「っ!?」

あたしはそれを聞いて思いたくもない事実を浮かべてしまった。

やっぱり…浮気!?

李里香さん、美人だもんね!今28だっけ?さらに大人になって美人だもんね!

やっぱりこんな今だ21歳の若奥さんじゃあダメなの!?

「あ、あの…由香?」

「ありがとうねバルちゃん。今日は、もう帰るね…」

「あ、ちょっと由香!?」

あたしはもう精神的に滅茶苦茶になってふらふらしながら歩いて帰ろうとする。

「な、なんかあったらあたしに相談してね!ミューともども力になるからー!」

あたしが相当落ち込んでると察してそんな言葉を言ってくれるバルちゃん…

でも、立ち直れそうにないよぉー…。






--------------------------------------------------------------------------------





「ただいまぁー」

夜。周りに電気がないこの丘の家以外は真っ暗だった。

レオンは部屋の電気を付け、見渡すと隅っこで座り込むあたしの姿

「お前、電気も付けずに何やってんだよ」

あたしの気持ちも知らないでそんなことをいうレオン。

「…き者」

「はぁ?」

「…わき者」

「はぁ?」

「…浮気者!スケベ!変態!!バーカ!バーカ!!バーカ!!!」

あたしは目柱に涙を浮かべながらレオンを罵倒しまくる。

絶対そうなんだ!李里香さんが相手かはともかく、絶対に浮気しているんだ!

だからバイトの時間も削ってもらって、女に会いに行ったんだ!

あたしに隠し事してたのも浮気がバレたら困るからなんだ!

「最低だよ!さいて―――ぶっ!」

「何に怒ってんのか知らねぇが、多分誤解だ」

レオンは弁明するどこかあたしに物をぶつけてきた。

「もう!何が誤解だよ!この浮気者!」

「あぁ?浮気だ?誰がするかんなもん」

「じゃあ最近ずっとあたしに隠していたことは何!?最近李里香さんと会ってるのは何!?」

「あぁーもう!とにかく開けろよそれ!!」

ついに逆ギレしたレオンはあたしに叩き付けた袋を指差し、あたしに指図してきた。

あたしは仕方がないのでそれをあけてみることにした…。

「これって…」

「お前、今日誕生日だろ」

「あ…」

あたしがあけた袋の中には髪飾りが入っていた。

「その…あれだ。女子の喜ぶもんがわっかんねぇから、李里香に聞いてただけだ。誤解すんな、阿呆」

少し照れ臭そうに頬を掻いて、何処か視線をそらしてレオンは言う。

「んでその…ほら、お前髪伸ばして前髪邪魔そうだから

 これがいいかと…一応李里香とタウロスのお墨付きだぞ!」

言い訳を必死にする子どもみたいに言うレオンがなんだかとても可愛らしくて

今までの怒りが全て飛んで言ってしまい、代わりに彼への愛情がこみ上げてくるのを感じた。


「うん…ありがと。ごめんね?疑って…」

「ま、いい。俺は疲れた…風呂はいるわ」

「ねぇ、レオン?」

「ん?なんだよ?」

「桜ちゃんね?今でもタウロスと一緒にお風呂入ってるんだって」

「へぇー。だからどうした」

「あたし達も……一緒に入る?」

「ぶっ!」

「ちょ、ちょっとレオン!?」


あたしの言葉を聞いて、レオンは驚きと同時に鼻血を噴出した。



その後、あたしとレオンの夜は……もう少し続いた。




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