表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PARTY  作者: 高野薫
8/14

コウタの部屋

就業時間になり、ビルのエントランスでシュウ兄がエレベーターから降りてくるのを待つ。

何もすることがなくて、手持ち無沙汰に携帯を開き、くるくるとアドレス帳を眺めた。


アキ、シュウ兄、ユウ・・・


その名前が表示された瞬間、ドクリと胸の奥で何かが飛び跳ねた。

ユウちゃん・・・そう心の中で呼びかけると同時に、胸の高鳴りが強くなる。

そんな自分が存在する事自体、信じられない。正直、ここまで惹かれる相手は初めてだった。


彼女が始めて下宿にやってきた日。

ほんわかとした雰囲気とは反対に、アキと盛り上がるほどハキハキとした性格にまず驚いた。

そして、テーブルに空いた皿が出る度に片付けていく気の細やかさ。

その時までは、すごく気の利く人なんだなとしか思っていなかった。だけど・・・


アキが最初につぶれて自室に戻っていき、自分もまたシュウ兄には着いていけないとギブアップした時、ユウちゃんは全てを理解したかのように微笑んだ。

それが俺たち、シェアメイトと初めて会った日だというのに。


そんなユウちゃんの微笑みに、俺は安心して自室に戻ったのを覚えている。

そして、翌朝に二人が抱き合うように眠っているのを見つけて焦っている自分が居た。


何に焦ったのかは自分でも良く分からない。

けれど、シュウ兄とユウちゃん。その二人が抱き合っている事に物凄く苛立っていた。


何がどうなっているのかわからなくて、熟睡していたアキを起こし、リビングまで引き摺っていったことは、未だにアキにネタにされているほどだ。


だけど、それまで女にそれほど興味のなかった俺には、ユウちゃんとの出会いは今までにない大事件だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ