ユウの部屋
散々、私の部屋で待ったりしてからミカは割り当てられた部屋へと帰っていった。
今頃は、真面目に引越しの荷物でも片付けているか、また昼寝しているかのどちらかだ。
間違いなく、昼寝をしているんだろうけど・・・
「はぁ、ん・・・」
欠伸をしながらベッドの上で伸びをする。
ミカから解放されて、ようやく一人になると途端に眠気が襲ってきた。
これじゃ、ミカと大して変わらないな。
ごろんと横向きに寝転がり、ぼんやりと柔らかく差し込む光を見つめる。
ところで、本当のミカの思惑は何なんだろう。
激甘とまではいかなくても、普通よりは甘やかしてくれる両親がいて、仕事にも困ってない。
なのに、突然この下宿に住みたいと言い出したんだから怪しい。
引越し前に何度問いただしても、一人暮らしがしたいとか、でも一人は不安だから、と同じ理由を繰り返すだけだった。
頼むから今の快適な暮らしを掻き乱すのだけは勘弁してほしい。
それに私は見つけてしまったんだから・・・
ふわふわと気持ちよくなってきて、瞼が次第に重くなって閉じかけた瞬間、よく通る声が1階から響いた。
「ユーーーウーーーー!」
家中に響き渡るアキの声に一瞬で目が覚めた。
きっと晩御飯の準備を手伝って欲しいんだろう。
私はベッドから起き上がると、1階にあるキッチンへと向かった。