シュウの部屋
アキとコウタにメールを送信すると、どちらもすぐ、けれど簡潔に返事が返ってきた。
あの二人はいつもそうだ。一言で言うと、そっけない。
だからこそ、あの二人はお似合いだと思うのだが本人たちは微塵もその気がないらしい。
コウタは今こそ会社の後輩だが、元々はアキの中学の同級生だ。
野球部の部員とマネージャー。
青春ぽく、恋愛話に発展すればいいものを、あの二人はなぜか親友ならぬ悪友同士になってしまった。
兄としては異性の親友なんて信用できるか、と思っていたけれど、そんな心配も口にするほど恥ずかしいぐらいに健全だ。
そんな要らぬ心配をしてしまうほど、兄から見てもアキは美人だ。好みなんかは別にして、整ったきれいな顔をしている。
ばさっと竹どころか大木を真っ二つにしたような性格さえ垣間見えなければ、ほとんどの男を魅了するんじゃないかと妹バカのように考えている。
ただ・・・酒は一滴も飲めないけれど。
そんなアキと逆なようで実は似ているのが、大学に入って出来たアキの親友ユウちゃんだ。
ふわふわとした雰囲気で周りを和ますような見た目だけれど、話し出すとアキに負けず劣らずサバサバしている。けれど、そのギャップが魅力なのか人を惹きつけてやまない。
そして、男も負かしてしまうほど酒が強い。
ユウちゃんの歓迎会でその実力を知ったときは驚いたのと同時に嬉しかった。
アキはまったく飲めないし、コウタは相手はしてくれるが自分と同じペースでは飲んでくれない。
けれど、ユウちゃんは最初から最後まで同じペースで、同じテンションで付き合ってくれた。
結局、最後は二人とも飲みつぶれてリビングで重なるように眠ってしまったが、その時のアキとコウタの顔は今でも覚えている。
あぁ、ついに相手を見つけてしまったか・・・と。