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第1話 取材旅行は突然に

あるアパートの一室で、その男は白い原稿用紙を前に途方に暮れていた。

男は求道破戒(ぐどうはかい)というペンネームで活動している小説家なのだが、半年ほど前からスランプに陥り全く小説のアイデアが浮かばなくなってしまったのだ。


「俺の才能は枯れたのかもしれない。」


そう呟いた破戒の背中に


「私が力になりましょうか?」


声がかけられた。


破戒が驚いて、後ろを振り返るとそこには古代ギリシャ風のドレスを着た黒髪の女性が立っていた。


「アンタ誰だ。

なんで、この部屋にいる。」


破戒の質問に、


「私は破戒先生のファンです。

先生の力になりたいからここにいます。

それ以上の説明が必要でしょうか?」


女は少し恥ずかしそうに答えた。


「推し作家の自宅を割るほど熱心なファンってわけか。悪いけど君が俺の執筆の助けになれるような事は無いよ。」


「無理はしなくていいですよ。

先生がスランプを解消できるなら藁にもすがりたい気持ちなのは見れば分かりますから。」


そう言われて破戒はこの女がどう自分の力になる気なのか、興味が湧いた。


「君は具体的に何をするつもりなの?」


「取材旅行して、新しい刺激を得てみるというのはどうでしょうか?」


「取材旅行か。それって、どこにいくか候補とかある。」


「旅行先は異世界です。

正確にはこことは違う宇宙にある別の惑星ですね。」


こんな変な格好で推しの自宅に押しかける女が普通なわけ無かったか。

ここから、どう帰ってもらうかな。

そんな風に思考を切り替えようとする破戒に


「それで異世界取材旅行いきますか?

別にいやなら無理強いはしないんですが。」


女は確認を取ってくる。


「いやまあ、本当に異世界があるならいってみたいとは思うけど「それなら、行きましょう。」


破戒の言葉を最後まで聞かず、女が破戒の手を取ると突然、二人の周囲の空間が歪み出した。

声を出そうとして、自分の身体が自由に動かない事に気付く。


「転移中に動くと危ないですから、動きを止めさせていただいてます。

1分ほどお待ち下さい。」


俺まだ行くと言ったつもりは無いんだけど

これ俺の安全とか大丈夫なやつなんだろうか?


「私の創った世界ソテリア。

(とうと)い破戒先生に見ていただけるなんて夢のようです。」


そう言って、恍惚とした表情をする女を見て厄介ファンって、こういう人を言うのだろうかと破戒は思ったのだった。




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